日米韓外相、小型モジュール炉(SMR)の展開に向け、3国間協力覚書に署名
この発表の要点
- 日米韓3カ国が小型モジュール炉(SMR)の第三国展開に向けた協力覚書(MOC)に署名した。
- 米国はSMR技術の責任ある利用のための基盤インフラ(FIRST)プログラムに1,000万ドル超を追加拠出する。
- GEベルノバ、日立製作所など4社が欧州でのBWRX-300型SMR導入拡大で協力に合意した。
企業・自治体への影響
原子力産業、電力インフラ関連企業、およびそのサプライチェーンに属する企業は、新たな国際協力枠組みによる事業機会や技術開発動向に注目する必要がある。特にインド太平洋地域でのSMR導入を検討する国々や、関連する人材育成プログラムに関心を持つ企業・自治体は影響を受ける可能性がある。
対応すべきこと
- SMR関連技術や事業に関心のある企業は、日米韓の協力覚書の内容と進捗を継続的に確認する。
- 原子力産業に携わる企業は、SMRプロジェクトへの民間投資促進や許認可手続きの効率化に関する動向を注視する。
- インド太平洋地域での事業展開を検討している企業は、SMR導入支援や原子力人材育成プログラムの活用可能性を調査する。
- 関連するサプライチェーン企業は、複数炉導入モデル形成による規模の経済実現やサプライチェーン最適化の動きに対応できるよう準備を進める。
対象部門: 経営者 広報 法務 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | エネルギー・電力 |
| 発表日 | 2026-07-08 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月08日
米国務省は7月7日、トルコのアンカラで開催されるNATOサミットに合わせ、日本、韓国ともに、小型モジュール炉(SMR)の第三国での展開に向けた3国間協力覚書(MOC)に署名したと発表した。署名式典には、マルコ・ルビオ米国務長官、日本の茂木敏充外相、韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官が参加した。同覚書は、インド太平洋地域を当面の重点地域とし、安全で信頼性の高い原子力エネルギーの導入を支援するため、3カ国の政府および産業界の協力強化を目的としている。
覚書では、商用原子力分野において相互補完的な強みを有する日米韓3カ国が、各国の原子力産業間の連携を促進するための枠組みを構築すると明記している。具体的には、SMRプロジェクトの開発リスクの低減、規模の経済の実現、民間投資の促進、許認可手続きの効率化やサプライチェーンの最適化などを可能にする、複数炉の導入モデルの形成を目指す。また、3カ国が連携してSMRプロジェクトを推進することで、インド太平洋地域のパートナー国に対し、増加する電力需要を満たすための競争力ある選択肢を提供するとともに、原子力安全、核セキュリティーおよび不拡散に関して世界で最高の水準を維持することが可能になるとした。
署名式典において、茂木外相は、「米韓両国とは、重要鉱物のサプライチェーン強靭(きょうじん)化や北朝鮮のサイバー脅威に対する枠組みなど、これまで具体的な取り組みを進めてきた。SMRに関する協力枠組みについても歓迎する」と述べた。
米国はこの枠組みを支援するため、国務省の「SMR技術の責任ある利用のための基盤インフラ(FIRST)」プログラムに対し(注)、1,000万ドル超を追加で拠出するとも発表した。インド太平洋地域におけるSMRプロジェクトの開発支援や、原子力人材の育成を目的としたSMR地域トレーニングなどに活用される予定だ。
さらに、国務省は同日、産業界主導の新たな取り組みとして、GEベルノバ、日立製作所、韓国のサムソンC&T、およびポーランドのSGEの4社が、欧州におけるBWRX-300型SMRの導入拡大に向けて協力することで合意したと発表した。BWRX-300はGEベルノバと日立製作所の合弁会社である日立GEベルノバニュークリアエナジーが開発を進める次世代SMRだ。同省は産業界の主導により、3カ国間覚書の目標達成と官民連携強化、さらにはエネルギー安全保障の向上につながるとの期待を示している。
(注)同プログラムは、2021年にジョー・バイデン前大統領が主催した「気候変動リーダーズ・サミット」において導入されたプログラムで、SMRやその他先端原子炉技術の導入を検討するパートナー国に対する能力構築プログラム。2022年の第10回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議で発出された同プログラムに関する共同ステートメントには、日本政府も参加している。
(久峨喜美子)
(米国、日本、韓国)
ビジネス短信 6aa54d781384bf8a
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日米韓外相、小型モジュール炉(SMR)の展開に向け、3国間協力覚書に署名
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/6aa54d781384bf8a.html
時系列
- 2021 「SMR技術の責任ある利用のための基盤インフラ(FIRST)」プログラムが導入された。
- 2022 第10回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議で発出されたFIRSTプログラムに関する共同ステートメントに日本政府が参加した。
- 2026-07-07 米国務省が、トルコのアンカラで開催されるNATOサミットに合わせ、日本、韓国とともに、小型モジュール炉(SMR)の第三国での展開に向けた3国間協力覚書(MOC)に署名したと発表した。
- 2026-07-07 米国務省が、GEベルノバ、日立製作所、韓国のサムソンC&T、およびポーランドのSGEの4社が、欧州におけるBWRX-300型SMRの導入拡大に向けて協力することで合意したと発表した。
- 2026-07-08 ジェトロが本件に関するビジネス短信を公開した。
主な数値
| 米国による追加拠出額 | 1000万ドル超 |
|---|---|
| 協力覚書署名国数 | 3カ国 |
| 産業界主導の協力合意企業数 | 4社 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、日米韓3カ国がSMR技術の国際展開に強いコミットメントを示したものであり、特にインド太平洋地域におけるエネルギー安全保障と脱炭素化への貢献が期待される。協力覚書に明記された開発リスク低減、規模の経済実現、民間投資促進、許認可手続き効率化、サプライチェーン最適化といった目標は、SMRの商用化を加速させるための具体的な道筋を示している。米国による追加拠出や、GEベルノバ、日立製作所を含む産業界の連携合意は、官民連携によるSMR導入推進の強力な後押しとなる。原子力産業、電力インフラ関連企業、およびそのサプライチェーンに属する企業は、この国際協力枠組みの進展を注視し、新たな事業機会や技術開発動向、規制環境の変化に対応できるよう、中長期的な戦略を策定する必要がある。特に、インド太平洋地域での事業展開を検討する企業は、SMRプロジェクトへの参画や関連する人材育成プログラムの活用可能性を積極的に探るべきである。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-08
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