経済・産業トレンド 発動

米USTR、ブラジルに対する25%の301条関税発動を発表

米国通商代表部(USTR)は、1974年通商法301条に基づき、ブラジル原産品の輸入に対し25%の追加関税を2026年7月22日より発動すると発表しました。これは、2025年7月に開始されたブラジルのデジタル貿易・電子決済サービス分野に関する301条調査の結果です。追加関税の対象外品目リストは、パブリックコメントを経て修正され、連邦官報で確認可能です。既存の122条課徴金や強制労働産品に関する関税措置との重複については、今後の公式発表を注視する必要があります。

この発表の要点

企業・自治体への影響

ブラジルから米国へ特定品目を輸出する企業、およびそれらの品目を米国で輸入・流通させる企業は、25%の追加関税によるコスト増大に直面します。特に、対象外リストから除外された高純度溶解パルプや特定の化学製品を扱う製造業や商社は、関税負担が増加する可能性があります。複数の関税措置が並行して存在または入れ替わる可能性があり、貿易実務部門や法務部門は複雑な規制環境への対応が求められます。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理

対応期限:施行日まで

基本データ

企業・団体 米国通商代表部(USTR)
発表日 2026-07-21
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月21日

米国通商代表部(USTR)は7月15日、1974年通商法301条に基づき、特定のブラジル原産品の輸入に対して、米国東部時間7月22日午前0時1分以降の通関から、25%の追加関税を課すと発表した(注1)。正式には7月20日付の連邦官報で公示する。USTRは同日、ファクトシートも発表した。

301条は、外国の不公正な政策や慣行が米国の商業に負担や制限を与えるなどと調査を通じて判断された場合に、大統領の指示に従い、外国の製品に追加関税など輸入制限措置を講じる権限や、外国のサービスに料金や制限を課す権限などをUSTRに認めている。一般に、USTRは調査開始から12カ月以内に措置内容を決定し、決定後30日以内に措置を発動する。

USTRは2025年7月に、ブラジルのデジタル貿易および電子決済サービス分野における米国企業に対する措置や制限などの6項目(注2)について、301条調査を開始した(注3)。その後2026年6月に調査を終了し(2026年6月4日記事参照)、対抗措置に関するパブリックコメントの募集や公聴会の開催などを経て決定した。追加関税の対象は、6月の提案と同様、1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の対象品目や、米国で十分な量を栽培・生産できない、あるいはほかの供給源から調達できない品目などは対象外としている。対象外品目の米国関税分類番号(HTSコード)を示すリストは、官報の付属書II(Annex II)から参照可能だ。なお、官報によると、対象外のリストは6月の提案内容をベースとしつつも、パブリックコメントや公聴会を踏まえ、次のとおり修正した。

対象外リストに追加した品目:水酸化アルミニウム、骨董(こっとう)品、収集品、美術品、貴金属または貴金属化合物を含む灰、特定の動物の皮、毛皮、革、特定の水産物、特定の追加医薬品および医薬品原料、特定の木材製品、鉄鋼くず・スクラップ、有機ハチミツ、銑鉄、無香料のインスタントコーヒー、および古着。

6月の提案では対象外としていたが、最終決定では対象外措置をとりやめた品目:高純度溶解パルプ、ならびに医薬品用途でない、特定の化学製品(注4)。

なお、USTRの発表や官報では、トランプ政権が2月に発動した、1974年通商法122条に基づく10%の課徴金への言及がなく、今回の関税措置がこの課徴金に上乗せされるかについては確認できない。課徴金の賦課は、原則7月24日までの時限的措置であり、上乗せされる場合でもその期間は限られるものの、今後の発表が見込まれる大統領覚書(注5)や米国税関・国境警備局(CBP)のガイダンスなどを注視する必要がある。

このほか、USTRは3~6月にかけて、ブラジルを含む60の国・地域に対し、強制労働産品の輸入禁止措置に関する301条調査を実施し、ブラジルには12.5%の追加関税を提案した(2026年6月3日記事参照、注6)。この関税措置についても、122条に基づく時限的措置と入れ替わりで発動される可能性があり、注視が必要だ。

(注1)米国東部時間7月22日午前0時1分より前に積み込み港で船舶に積み込まれ、最終輸送手段で輸送中であり、かつ同7月29日午前0時1分までに通関した貨物については、追加関税の対象外となる。
(注2)電子決済サービス分野における米国企業に対する措置や制限以外の5項目は、特定国に対する不公正な特恵関税の適用、腐敗行為などに対する不十分な取り締まり、知的財産権の不十分な保護や侵害対策、米国のエタノールに対する高関税の賦課、違法な森林伐採に対する不十分な取り締まり(2025年7月17日記事参照)。
(注3)301条に基づく調査や発動の手続きの詳細は、2024年12月10日付地域・分析レポート参照。
(注4)付属書II中の関税措置の対象外品目リストについて、一部品目の「適用範囲の制限(Scope Limitation)」欄に「製薬(Pharma)」という記載がある。これら品目は、医薬品用途の製品のみが関税措置の対象外となる。
(注5)通知では、ドナルド・トランプ大統領が7月15日に大統領覚書を発表し、その中でUSTRに対して関税の発動を指示したとの記載がある。しかし、7月21日時点で覚書はホワイトハウスや連邦官報のHPに掲載されていない。
(注6)USTRは3月より、製造業における過剰生産能力や過剰生産に関連する政策や慣行を巡る301条調査も実施しているが、ブラジルは対象国・地域に含まれていない(2026年5月12日記事参照)。

(滝本慎一郎)

(米国、ブラジル)

ビジネス短信 36164cf3815b2c11

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米USTR、ブラジルに対する25%の301条関税発動を発表

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/36164cf3815b2c11.html

時系列

主な数値

追加関税率 25%
適用法条 301条
301条調査開始時期 2025-07年-月
301条調査終了時期 2026-06年-月

この事例から確認すべきポイント

本発表は、米国が301条を積極的に活用し、特定の貿易慣行に対処する姿勢を示しています。企業は、ブラジルからの輸入に関わるサプライチェーン全体で、25%の追加関税がもたらすコスト増大を評価し、価格戦略や調達計画の見直しを検討する必要があります。特に、対象外リストから除外された品目を扱う企業は、直接的な影響を受けるため、連邦官報の付属書IIで詳細を確認することが不可欠です。また、複数の関税措置が並行して存在し、あるいは入れ替わる可能性が示唆されており、米国税関・国境警備局(CBP)のガイダンスや大統領覚書など、今後の公式発表を継続的に監視し、複雑な貿易規制環境への対応を計画することが、貿易実務および法務部門にとって喫緊の課題となります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-21

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