経済・産業トレンド

スリランカ、上位中所得国入り、世界銀行が所得分類改定

世界銀行は2026年7月1日、スリランカの所得分類を改定し、下位中所得国から上位中所得国に引き上げました。これは2022年の経済危機後の経済安定化・構造改革の進展を反映したもので、工業生産、製造業、金融サービス、観光業の回復が経済成長を支えました。一方で、上位中所得国の基準をわずかに上回る水準であり、財政改革や債務再編の継続が課題とされています。EUのGSPプラス適用には直ちに変更はないものの、将来的に見直される可能性が指摘されています。この分類は2026年7月1日から2027年6月30日まで適用されます。

この発表の要点

企業・自治体への影響

スリランカとの貿易・投資を行う企業は、同国の経済状況や将来的な貿易優遇制度の変更可能性を注視する必要があります。特に、EU市場への輸出においてGSPプラスを利用している企業は、中長期的な影響を考慮し、サプライチェーンや事業戦略の見直しを検討する可能性があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 経理 法務 広報

対応期限:適用期間あり

基本データ

企業・団体 ジェトロ(日本貿易振興機構)
発表日 2026-07-14
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月14日

世界銀行(世銀)は7月1日、前年の1人当たり国民総所得(GNI)に基づく国・地域別の所得分類を改定し、スリランカを下位中所得国から上位中所得国に引き上げた(注)。スリランカは2019年に上位中所得国に引き上げられていたが、新型コロナウイルス禍や外貨不足、債務危機などの影響を受けて再度下位中所得国に移行していた。今回の引き上げは、2022年の経済危機による債務不履行(デフォルト)後に進められた経済安定化・構造改革の進展を反映したものとなった。

世銀は今回のスリランカの再分類について、工業生産や製造業活動、金融サービス、観光業の回復が経済成長を下支えしたと説明している。特に観光業の回復は外貨収入の増加に寄与し、マクロ経済安定化に向けた取り組みと合わせて経済環境の改善につながったとしている。

一方で、スリランカの1人当たりGNIが上位中所得国の基準をわずかに上回る水準であることも指摘している。今後、スリランカが同分類を維持するためには、財政改革の継続、債務再編の着実な実施、輸出の多角化、生産性向上などが課題となる。

今回の再分類は、2022年の経済危機以降に実施された経済改革とマクロ経済安定化策の成果を示すものといえる。他方、所得分類の上昇が直ちに国民生活の改善につながるものではなく、雇用創出や投資拡大を通じた包摂的な成長の実現が引き続き求められる。

また、スリランカが上位中所得国に再分類されたことで、欧州連合(EU)のGSPプラス(特別特恵関税制度)への影響も注目される。現行のEU一般特恵関税制度(GSP)枠組みでは、世銀によって高所得国または上位中所得国に3年連続で分類された国はGSPの適用対象外とされる〔EU規則(EU)No 978/2012第4条第1項(a)〕ことから、スリランカのGSPプラス利用に直ちに変更は生じない見通しだ。ただ、スリランカが今後も上位中所得国の地位を維持した場合には、将来的なGSPプラスの適格性が見直される可能性があり、輸出競争力の強化や国際条約・規範の履行を継続することが重要となる。

(注)世界銀行は、1人当たりGNIが1,175ドル以下の国を低所得国、1,176ドルから4,635ドルまでの国を下位中所得国、4,636ドルから1万4,375ドルの国を上位中所得国、1万4,375ドル超の国を高所得国としている。今回の国別分類は、2026年7月1日から2027年6月30日まで適用される。

(ラクナー・ワーサラゲー、志鎌大介)

(スリランカ)

ビジネス短信 ae413210a2400558

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スリランカ、上位中所得国入り、世界銀行が所得分類改定

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/ae413210a2400558.html

時系列

主な数値

低所得国の1人当たりGNI基準 1175ドル以下
下位中所得国の1人当たりGNI基準 1176ドルから
下位中所得国の1人当たりGNI上限 4635ドルまで
上位中所得国の1人当たりGNI基準 4636ドルから
上位中所得国の1人当たりGNI上限 14375ドルまで
高所得国の1人当たりGNI基準 14375ドル超
GSP適用対象外となる連続分類年数 3年
今回の国別分類適用期間 2026-07-01から2027-06-30期間

この事例から確認すべきポイント

世界銀行によるスリランカの所得分類改定は、同国が2022年の経済危機以降に進めてきた経済安定化と構造改革の成果を示すものです。工業生産、製造業、金融サービス、観光業の回復が経済成長を牽引したとされており、特に観光業は外貨収入増加に貢献しました。この再分類は、スリランカ経済の回復基調を示す一方で、上位中所得国の基準をわずかに上回る水準であることから、財政改革の継続や輸出多角化などの課題が指摘されています。また、EUのGSPプラス制度への影響は直ちには生じませんが、将来的な適格性見直しの可能性があり、スリランカとの貿易を行う企業は中長期的な視点で関税制度の動向を注視する必要があります。この事例は、国際機関による経済分類が、一国の経済状況だけでなく、国際貿易制度や企業の事業戦略にも影響を与える可能性を示唆しています。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-14

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