経済・産業トレンド

日本の5月の貿易額、中東からの輸入は前年同月比42.7%減、中東向け輸出は32.0%減

日本の財務省が発表した2026年5月の貿易統計速報によると、世界からの輸入額は前年同月比12.5%増、輸出額は17.0%増となった。一方、中東からの輸入額は42.7%減の5,153億円、中東向け輸出額は32.0%減の2,027億円と大幅に減少した。この減少は中東情勢悪化に伴うホルムズ海峡の混乱が影響しており、特に原油・粗油の輸入と自動車の輸出が大きく落ち込んだ。代替調達先の確保や一部地域での輸出入の増加も見られた。

この発表の要点

企業・自治体への影響

製造業(特に自動車、石油化学、鉄鋼関連)は、中東地域への輸出入においてサプライチェーンの混乱やコスト増加のリスクに直面する可能性がある。エネルギー関連企業は、原油・LNGなどの調達先の多様化や代替ルートの確保が喫緊の課題となる。商社や物流企業は、中東情勢の変動による貿易量の減少や輸送ルートの変更に対応する必要がある。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 総務 法務 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 日本貿易振興機構(ジェトロ)
発表日 2026-06-24
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月24日

日本の財務省が6月17日に発表した2026年5月の貿易統計(速報値)によると、日本の世界からの輸入額は前年同月比12.5%増の9兆8,902億円、世界向けの輸出額は17.0%増の9兆5,116億円だった。日本の中東(注1)からの輸入額は、42.7%減の5,153億円と大幅な減少をみせた。

中東情勢悪化に伴うホルムズ海峡の混乱を受け、カタール、クウェートからの輸入は急減した。一方、代替ルートがあるアラブ首長国連邦(UAE)からの輸入は前年同月比28.1%減、サウジアラビアからは44.7%減にとどまった。さらにホルムズ海峡を通らないオマーンからの輸入は9.4%増だった。

5月の中東主要国からの輸入額と前年同月比増減率は次のとおり。

UAE:3,120億円、28.1%減

サウジアラビア:1,576億円、44.7%減

オマーン:215億円、9.4%増

カタール:11億円、98.3%減

イラン:1億3,900万円、66.0%減

クウェート:8,700万円、99.9%減

中東からの輸入品目は、「原油および粗油」が輸入額のシェア86.5%と最多で4,458億円だったが、前年同月比37.3%減だった。中東からの輸入シェア2.6%の石油製品(主に揮発油)は85.3%減、シェア2.3%の液化天然ガスも67.9%減だった。

なお、「中東情勢に関する関係閣僚会議(第10回)」の資料によると、日本の6月分の原油輸入は米国などからの調達増加により、前年平月比(注2)8割相当のめどが立ったという。また、石油化学工業協会は5月の石油化学製品生産は前月から増加したと発表した(2026年6月22日記事参照)。

中東向け自動車輸出額は7割減
ホルムズ海峡混乱の影響により、5月の日本から中東向け輸出額も前年同月比32.0%減の2,027億円と落ち込んだ。一方、サウジアラビア向けは同2.5%増とわずかに増加した。

5月の日本の中東主要国向け輸出額と前年同月比増減率は次のとおり。

UAE:1,007億円、23.0%減

サウジアラビア:527億円、2.5%増

クウェート:97億円、65.4%減

オマーン:65億円、58.4%減

カタール:39億円、79.6%減

イラン:6,300万円、89.7%減

輸出品目別にみると、5月の中東向け輸出額の品目別シェア24.9%を占める自動車は504億円で前年同月比70.0%減だった。なお、4月時点の90.8%減から減少幅は緩和した。シェア5.9%の原動機は25.6%増だったが、シェア3.6%の自動車の部分品が38.4%減、シェア2.5%の建設用・鉱山用機械が5.2%減、シェア2.4%の鉄鋼が55.8%減と落ち込んだ。

中東情勢は「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、ホルムズ海峡や代替ルートの状況は「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」参照。

(注1)財務省貿易統計での中東の定義は、イラン、イラク、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、イスラエル、ヨルダン、シリア、レバノン、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、ヨルダン川西岸とガザを含む。トルコは含まない。
(注2)「前年同月比」とほぼ同義。季節変動が大きい品目などのデータ系列との比較で用いられることがある。

(井澤壌士)

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラン、日本)

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日本の5月の貿易額、中東からの輸入は前年同月比42.7%減、中東向け輸出は32.0%減

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/52d3ca5d12ca18b7.html

時系列

主な数値

日本の世界からの輸入額 9兆8,902億円
日本の世界からの輸入額前年同月比増減率 12.5%増
日本の世界向けの輸出額 9兆5,116億円
日本の世界向けの輸出額前年同月比増減率 17.0%増
日本の中東からの輸入額 5,153億円
日本の中東からの輸入額前年同月比増減率 42.7%減
中東からの輸入品目「原油および粗油」の輸入額 4,458億円
中東からの輸入品目「原油および粗油」の輸入額前年同月比増減率 37.3%減
日本から中東向け輸出額 2,027億円
日本から中東向け輸出額前年同月比増減率 32.0%減
中東向け輸出品目「自動車」の輸出額 504億円
中東向け輸出品目「自動車」の輸出額前年同月比増減率 70.0%減

この事例から確認すべきポイント

本発表は、中東情勢の不安定化が日本の貿易に直接的かつ具体的な影響を与えていることを示唆している。特にホルムズ海峡の混乱が、中東からの原油・粗油輸入および中東向け自動車輸出の急減に繋がっており、サプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにしている。企業は、地政学的リスクを考慮した調達・販売戦略の柔軟性確保が喫緊の課題となる。代替ルートや調達先の多様化(米国からの原油調達増加、オマーンからの輸入増など)が、供給リスク軽減策として機能する可能性も示唆されており、特定の地域への依存度が高い企業は、代替市場の開拓や物流ルートの多角化を検討する必要がある。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-24

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