ポーランド、国外で成立した同性婚の婚姻証明書の国内身分登録簿への転記が可能に
この発表の要点
- ポーランドで国外成立の同性婚婚姻証明書を国内登録簿に転記する新制度が8月23日に施行された。
- 転記が可能になった一方で、税制や社会保障などの婚姻に伴う権利が一律に付与されるわけではない。
- 2026年5月に可決された登録パートナーシップ制度創設法案は7月に大統領の拒否権行使により法制化に至っていない。
企業・自治体への影響
ポーランドにおいて国外で成立した同性婚を持つ従業員を雇用する企業や赴任者を抱える人事・法務部門において、公的記録の転記可否と税務・社会保障上の取扱いの差異を把握する必要が生じる可能性がある。
対応すべきこと
- 公式出典や現地の最新情報に基づき、現地における法制度や税務手続きの適用範囲を確認する。
- ポーランド現地法人の人事・労務・法務部門へ制度変更の事実を共有する。
- 税務・社会保障等の個別手続きにおける行政判断の動向を注視する。
対象部門: 総務 法務 人事
対応期限:施行済
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 発表日 | 2026-08-31 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月31日
ポーランドで8月23日、国外で成立した同性婚の婚姻証明書を国内の身分登録簿に転記できる新制度が施行された。これにより、全国の身分登記局で同性カップルについてもポーランドの婚姻証明書を取得できるようになった。一方、ポーランド国内で同性婚・パートナーシップを締結することは引き続きできず(注)、転記によって税制や社会保障などの婚姻に付随する権利が一律に認められるわけではない。
制度変更の背景には、EU司法裁判所(CJEU)が2025年11月、他のEU加盟国で合法的に成立した同性婚を、EU市民の出身加盟国も承認する義務があるとの判断を示したことがある。同裁判所は一方で、加盟国に国内法上の同性婚制度の導入を求めるものではないとしている。
現地メディアRadio ZETによると、施行直後の2営業日で、北部グダニスクの身分登記局には計10組の同性カップルが婚姻証明書の転記を申請するため訪れた。これまでにデンマーク、ドイツ、英国、オーストリアで成立した婚姻についてポーランドの婚姻証明書が作成された。
ただし、外国で発行された婚姻証明書のポーランドの身分登録簿への転記は、婚姻に伴う権利の付与を直ちに意味するものではない。税務・関税インフォメーション局(KIS)は6月、英国で結婚したポーランド人男性カップルが個人所得税(PIT)の配偶者共同申告を照会した際、「外国の婚姻証明書は公文書であり、転記の有無を問わず同申告が可能だ」とする彼らの主張は誤りであると見解を述べた。また、外国の婚姻証明書の転記は婚姻に伴う権利を自動的に付与するものではないとした。今回の制度変更で、国外で成立した同性婚をポーランドの公的記録に転記することは可能になったが、税務や社会保障などにおいて異性間の婚姻と同等の扱いとなるかは、引き続き個別制度の確認が必要となる。
(注)従来の婚姻制度とは別に、2026年5月に同性・異性カップルを対象とした登録パートナーシップ制度の創設法案(正式名称「親密な関係にある者の法的地位および共同生活契約に関する法律」)が議会を通過したが、同年7月にカロル・ナブロツキ大統領が拒否権を行使した。拒否権を覆すには下院で5分の3以上の賛成が必要だが、現連立政権は必要議席数を確保していないため、法制化には至っていない。
(金杉知紀)
(ポーランド)
ビジネス短信 2528378796627d8a
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ポーランド、国外で成立した同性婚の婚姻証明書の国内身分登録簿への転記が可能に
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/2528378796627d8a.html
時系列
- 2025-11-01 EU司法裁判所(CJEU)が、他のEU加盟国で合法的に成立した同性婚を出身加盟国が承認する義務があるとの判断を示す
- 2026-05-01 ポーランド議会で同性・異性カップルを対象とした登録パートナーシップ制度の創設法案が通過する
- 2026-07-01 カロル・ナブロツキ大統領が登録パートナーシップ制度創設法案に拒否権を行使する
- 2026-08-23 国外で成立した同性婚の婚姻証明書を国内の身分登録簿に転記できる新制度がポーランドで施行される
主な数値
| 北部グダニスクの身分登記局での申請件数(施行直後の2営業日) | 10組 |
|---|
この事例から確認すべきポイント
本件は、EU司法裁判所の判断を契機として、ポーランドにおける国外婚の公的記録への転記が部分的に認められた法制度の変更事例である。広報・実務上の観点からは、公文書の転記と、それに伴う法的な諸権利(税制・社会保障等)の付与が必ずしも直結しない点に注意が必要である。現地で活動する企業や赴任者を抱える人事・法務部門におかれましては、形式的な登録事実だけでなく、個別の行政判断や税務当局(KIS)の見解など実務上の適用範囲を慎重に確認する姿勢が求められる。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-31
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