メキシコでの大型低炭素メタノール製造計画の説明会開催、日本企業の参画に期待
最終確認日: 2026-11-02
基本データ
| 分類 | 経済・産業トレンド |
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発表された内容
2026年11月02日
米国のトランジション・インダストリーズ(Transition Industries)は10月29日、在日メキシコ大使館で、メキシコ北西部シナロア州アホメ市トポロバンポで計画する低炭素メタノール製造プロジェクト「Pacífico Mexinol」の説明会を開催した。総投資額は50億ドル以上で、2030年の操業開始を予定する。建設時に約6,000人、操業時に直接・間接で約450人の雇用を見込む。
年間生産能力は約212万トン。このうち、天然ガスを原料とする低炭素メタノールが177万トン、非バイオ由来再生可能燃料(RFNBO、注1)とリサイクル炭素燃料(RCF、注2)がそれぞれ17万5,000トンとなる。RFNBOは、再生可能エネルギーによる水電解で製造した水素と工程内で回収した二酸化炭素(CO2)を反応させて製造する。
事業化に向けた契約も進展している。メタノール製造技術では、イタリアのマイレ(MAIRE)傘下のネクストケム(NEXTCHEM)が技術ライセンスを供与する。同技術は、天然ガス改質工程で発生するCO2を回収し、再生可能電力による水電解で製造した水素と反応させ、効率的にメタノールへ転換する。これにより、天然ガス由来メタノールとグリーンメタノールを一体的に製造し、工程からの直接的なCO2排出を大幅に削減する(MAIRE、2025年2月26日発表)。
メタノール製造設備については、サムスンE&A(Samsung E&A)と同社メキシコ法人、テチント・エンジニアリング・アンド・コンストラクション(Techint Engineering and Construction)の企業連合と設計・調達・建設(EPC)契約を締結した(Transition Industries、2025年6月30日発表)。また、グリーン水素設備では、シーメンス・エナジー(Siemens Energy)とテチントが約210メガワット(MW)の水電解設備のEPC契約を締結した(Transition Industries、2026年10月28日発表)。同契約はプロジェクト融資の完了などを条件とする。
販売面では、三菱ガス化学(Mitsubishi Gas Chemical)と年間約100万トンを10年間供給するテイク・オア・ペイ方式の売買契約を締結した。契約は最終投資決定(FID)時に発効する(2025年11月7日記事参照)。原料調達面では、メキシコ電力庁(CFE)傘下のCFEエネルヒア(CFE Energía)との間で、米国産天然ガスを日量約1億6,200万立方フィート(約458万立方メートル)調達する長期契約を締結した(Transition Industries、2026年2月16日発表)。
日本にとっても戦略的なプロジェクトに
同プロジェクトは太平洋岸に位置し、日本などアジア市場への輸送面で優位性を持つ。太平洋航路は日本の船会社にとっても重要な航路だ。海運業界では、現在の液化天然ガス(LNG)燃料船に加え、メタノールやアンモニア、水素などを燃料とする次世代船の導入が検討されている。国際海事機関(IMO)における温室効果ガス排出削減策の議論にも左右されるが、同プロジェクトは化学品原料の輸出拠点に加え、将来的には太平洋航路を運航する日本の船会社にとって、低炭素船舶燃料の供給拠点となる可能性もある。主要契約は整いつつあり、国際金融公社(IFC)も資金調達に関与している。ただし、FIDには至っておらず、建設に必要な融資や出資を確定し、FIDに踏み切れるかが今後の焦点となる。
プロジェクトの進展を説明するロメル・ガジョCEO(在日メキシコ大使館提供)
(注1)RFNBO(非バイオ由来再生可能燃料)は、EUの改正再生可能エネルギー指令、通称RED III〔正式名称:再生可能エネルギーの利用促進に関する指令(EU)2018/2001などを改正する欧州議会・理事会指令(EU)2023/2413〕に基づき、エネルギー含有量がバイオマス以外の再生可能エネルギー源に由来する液体・気体燃料を指す。再生可能電力を用いて製造した水素と回収二酸化炭素(CO2)からつくる合成メタノールなどが該当し得る。
(注2)RCF(リサイクル炭素燃料)は、RED IIIに基づき、マテリアルリサイクルに適さない非再生可能由来の廃棄物流、または産業工程で不可避かつ非意図的に発生する非再生可能由来の廃棄物処理ガス・排ガスから製造される液体・気体燃料を指す。
(中畑貴雄)
(メキシコ、日本)
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メキシコでの大型低炭素メタノール製造計画の説明会開催、日本企業の参画に期待
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公開日: 2026-11-02 / 最終確認: 2026-11-02
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編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-11-02
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