イタリア高速鉄道会社イタロ、2028年にドイツ高速鉄道市場へ参入、36億ユーロ投資
この発表の要点
- イタリアのイタロが2028年半ばからドイツの高速鉄道市場へ参入し、総額36億ユーロを投資する計画を発表。
- 連邦ネットワーク庁の決定により、混雑区間における線路使用枠の1社への割り当てが60〜75%に制限される。
- シーメンス製車両26編成の調達や約2,500人の採用・訓練などを予定。
企業・自治体への影響
欧州市場で事業を展開する鉄道・運輸関連企業やサプライチェーン企業に対し、競争環境の変化やインフラ利用ルールの見直しに伴う影響が生じる可能性がある。経営企画部門や法務部門において海外市場の規制動向の把握が求められる。
対応すべきこと
- 公式出典および関連する規制当局の決定内容を確認する
- 海外市場における競争環境の変化や自社事業への影響を経営・法務部門で共有する
- 鉄道車両・インフラ関連産業における投資動向や採用計画の動向を注視する
対象部門: 経営者 法務 広報
対応期限:2028年ダイヤ適用予定
基本データ
| 企業・団体 | イタリア高速鉄道会社イタロ(Italo) |
|---|---|
| 業界 | 運輸・鉄道 |
| 発表日 | 2026-07-30 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月30日
イタリアの高速鉄道運営会社イタロ(Italo)は7月20日、2028年半ばよりドイツで高速鉄道サービスを開始する計画に総額36億ユーロを投資すると発表した(プレスリリース)。ミュンヘン-ケルン-ドルトムント間およびミュンヘン-ベルリン-ハンブルク間を毎日50便運行する。
ドイツの長距離旅客鉄道市場ではドイツ鉄道(DB)を含む連邦所有鉄道会社による輸送が2025年の輸送実績ベースで92%のシェアを占めた。鉄道市場を管轄する連邦ネットワーク庁によると、新規参入事業者は車両への多額の投資を必要とする一方、十分な線路使用枠を確保できるか見通しにくい状況にあった。
こうした状況を背景にイタロは1月、連邦ネットワーク庁に対し、線路使用枠の配分ルールについて申し立てを行い、新規参入事業者が不利益を被らないような規定の導入を求めた。これを受け同庁は7月17日、DBグループの長距離旅客鉄道事業会社DB Fernverkehrの競合事業者の市場参入条件に関する最終決定を公表した(プレスリリース)。同決定によると線路使用枠の上限が設定された混雑区間で利用希望が競合した場合、鉄道インフラを管理するDBのグループ会社DB InfraGOは、長距離旅客鉄道向け線路使用枠の60〜75%を超えて1社に割り当てることができなくなる。これにより少なくとも1社の競合事業者に運行機会が確保され、同措置は2028年ダイヤから適用予定となっている。
同決定直後の20日、イタロはドイツ事業向けに総投資額を36億ユーロとする計画を発表した。約30億ユーロはシーメンス・モビリティーからの高速鉄道車両26編成の調達と30年間の保守サービス契約に充てる。車両は8両編成で最高時速320キロ。このほか駅およびITインフラへの投資、運行部門と関連産業における約2,500人の採用・訓練などが含まれる。
イタロのジャンバティスタ・ラ・ロッカ最高経営責任者(CEO)は5月のニュースメディア「テーブル・メディア」(5月30日)のインタビューで、イタリアの鉄道市場では、イタロが新規参入したことによって、運賃が平均で40%低下し、需要が2倍超に拡大したと説明し、ドイツでも競争の進展によって需要拡大の可能性があると指摘していた。
一方、公共放送ARD「ターゲスシャウ」(6月14日)は、州交通相会議の議長を務めるバイエルン州のクリスティアン・ベルンライター住宅・建設・交通相が、大都市間の採算性の高い路線だけを重視する「いいとこ取り」は各州交通相の支持を得ていないと述べ、地域の中核都市が長距離旅客鉄道網から切り離される事態への懸念を示したと報じている。
(打越花子)
(ドイツ、イタリア)
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イタリア高速鉄道会社イタロ、2028年にドイツ高速鉄道市場へ参入、36億ユーロ投資
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/281616bb260fd848.html
時系列
- 2026-01-01 イタロが連邦ネットワーク庁に対し、線路使用枠の配分ルールについて申し立てを実施
- 2026-07-17 連邦ネットワーク庁が競合事業者の市場参入条件に関する最終決定を公表
- 2026-07-20 イタロがドイツ事業への総額36億ユーロの投資計画を発表
主な数値
| 総投資額 | 36億ユーロ |
|---|---|
| ドイツ鉄道のシェア | 92% |
| 線路使用枠の上限割合 | 60〜75% |
| 車両調達等への投資額 | 約30億ユーロ |
| 高速鉄道車両の調達編成数 | 26編成 |
| 車両の編成両数 | 8両 |
| 車両の最高時速 | 320キロ |
| 採用・訓練人数 | 約2,500人 |
| イタリア市場での運賃低下率 | 40% |
この事例から確認すべきポイント
本事例は、欧州の鉄道市場において新規参入企業が規制当局への働きかけを通じて参入障壁を緩和させ、大規模な投資と市場参入を実現した事例である。独占的市場における規制緩和や線路使用枠の分配ルール変更は、同業他社やサプライチェーン、インフラ関連産業に大きな構造的影響を与える。企業実務においては、海外市場展開や競合環境の変化に伴う規制動向、インフラ・IT投資の計画策定、また地域社会や利害関係者との合意形成リスクを注視する必要がある。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-30
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