カナダ政府、米国関税の影響を受ける労働者・企業に75億カナダ・ドルの支援策を発表
この発表の要点
- カナダ財務省が総額75億カナダ・ドルの新規・追加支援策を発表した。
- 中小企業や関税の影響を受ける産業を対象に、地域関税イニシアチブやBDCの流動性支援、多角化基金、雇用主向け研修補助、大企業向け融資制度の緩和などを行う。
- CFIBの調査では、回答企業の約4割が米国関税により輸出に影響が生じると回答し、そのうち約8割が収益減を見込んでいる。
企業・自治体への影響
カナダ国内で事業を展開する企業や米国向けに製品を輸出する企業において、関税措置による資金繰りの悪化や収益減への対策として各支援制度の活用が見込まれる。経営・財務・人事部門において関係する。
対応すべきこと
- 公式出典や詳細窓口にて、自社が各種支援プログラムの対象要件に該当するか確認する
- 資金繰りや事業転換、従業員研修に関する利用可能な補助金・融資制度を社内で共有する
- 必要に応じて申請手続きの準備を進める
対象部門: 経営者 総務 財務 人事
対応期限:公募締切まで
基本データ
| 企業・団体 | カナダ財務省 |
|---|---|
| 業界 | 金融・製造・中小企業等 |
| 発表日 | 2026-09-01 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年09月01日
カナダ財務省は8月25日、米国の1930年関税法338条に基づく対カナダ追加関税(2026年8月24日記事参照)の影響を受ける労働者・企業を支援するため、総額75億カナダ・ドル(約8,550億円、Cドル、1Cドル=約114円)の新規・追加の支援策を発表した。過去18カ月間に実施してきた約250億Cドルの支援策に追加するもので、中小企業や米国の関税の影響を強く受ける産業を重点的に支援する。米国との通商摩擦の解決に向けた先行きが見通せない中、カナダ政府は国内産業保護に向けた支援策の強化を進めている。
支援策は、9月8日から発動予定の対抗関税(2026年8月26日記事参照)と合わせて発表された。主な内容は次のとおり。
地域関税イニシアチブ:地域開発機関(RDA)が15億Cドルを追加投入する。また、非返済型補助金の上限額を従来の100万Cドルから300万Cドルへ引き上げるほか、最大200万Cドルの流動性支援を提供し、中小企業の資金繰りや事業転換を後押しする。
カナダ事業開発銀行(BDC):5億Cドル規模の新たな流動性支援枠「ピボット・トゥ・グロウ・プログラム」を設ける。米国関税の影響で資金繰りが悪化した企業を対象に、25万~500万Cドルの融資を提供する。利払いのみで利用できる期間を36カ月とするほか、申請手続きも簡素化する。さらに、関税関連支援プログラムの利用要件を緩和し、申請企業の最低年間売上高基準を100万Cドルへ引き下げる。
カナダ・ストロング多角化基金:戦略対応基金の新たな支援枠を創設し、20億Cドルを追加拠出する。米国関税措置の影響を受ける企業による設備維持や生産能力強化など、直ちに着手可能なプロジェクトを支援するもので、案件審査・承認の迅速化も図る。
労働者・雇用主向け迅速対応支援:雇用保険(EI)の待機期間免除や長期勤続者向け給付期間延長などの特例措置を延長するほか、従業員維持と再訓練を支援する35億Cドル規模のプログラムを創設する。企業は従業員1人当たり最大1,000Cドルの研修費・管理費補助を受けられる。
大型企業関税融資制度(LETL):大企業向け支援制度の条件を緩和する。流動性支援期間を24カ月から36カ月へ延長するとともに、融資期間の上限を10年から15年へ引き上げる。
カナダ最大の中小企業団体であるカナダ独立事業連盟(CFIB)が実施したアンケート調査(注)によれば、回答企業の約4割が、米国の関税措置により自社製品の輸出に影響が生じると回答した。このうち約8割の企業が収益減のマイナス影響を見込んでおり、米国との通商摩擦の長期化は、カナダ経済の先行き不透明感を高めている。
(注)調査期間は2026年7月28日~8月6日、調査対象はCFIB会員企業1,833社。
(木村勇翔)
(カナダ、米国)
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カナダ政府、米国関税の影響を受ける労働者・企業に75億カナダ・ドルの支援策を発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/5f56f8b0d923eb4d.html
時系列
- 2026-07-28 カナダ独立事業連盟(CFIB)による会員企業アンケート調査開始(~8月6日)
- 2026-08-25 カナダ財務省が米国の追加関税の影響を受ける労働者・企業向け支援策(総額75億Cドル)を発表
- 2026-09-08 対抗関税発動予定日
主な数値
| 新規・追加支援策の総額 | 75億カナダ・ドル |
|---|---|
| 過去18カ月間の実施済み支援策総額 | 250億Cドル |
| 地域開発機関(RDA)追加投入額 | 15億Cドル |
| 非返済型補助金の上限額(変更後) | 300万Cドル |
| 流動性支援(地域関税イニシアチブ)上限 | 200万Cドル |
| カナダ事業開発銀行(BDC)新支援枠「ピボット・トゥ・グロウ・プログラム」規模 | 5億Cドル |
| BDC融資提供額 | 25万~500万Cドル |
| BDC利払いのみの利用期間 | 36カ月 |
| 申請企業の最低年間売上高基準(BDCプログラム) | 100万Cドル |
| カナダ・ストロング多角化基金の追加拠出額 | 20億Cドル |
| 従業員維持・再訓練支援プログラム規模 | 35億Cドル |
| 企業が受けられる従業員1人当たりの研修費・管理費補助上限 | 1,000Cドル |
| 大型企業関税融資制度(LETL)流動性支援期間 | 36カ月 |
| 大型企業関税融資制度(LETL)融資期間の上限 | 15年 |
| 米国の関税措置による自社製品輸出への影響を見込むCFIB回答企業の割合 | 約4割 |
| 収益減のマイナス影響を見込む企業の割合(輸出影響企業のなかで) | 約8割 |
| CFIBアンケート調査対象企業数 | 1,833社 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、米国の追加関税措置およびカナダ側の対抗関税発動という通商摩擦の激化に伴い、カナダ政府が国内の中小企業や労働者を保護するために大規模な財政支援を行うものである。実務上、カナダ国内で事業を展開する企業や米国向け輸出企業にとっては、資金繰りの悪化やサプライチェーンへの打撃を緩和するための重要なセーフティネットとなる。各支援プログラム(地域関税イニシアチブ、BDC融資、多角化基金、雇用主向け研修補助、LETL大企業融資)にはそれぞれ具体的な申請要件や上限額が設定されているため、該当する企業は自社の規模や状況に合致する制度を早期に選定し、公式出典等を通じて要件を確認の上、速やかに手続きを進める必要がある。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-09-01
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