中国のCATL、オランダのAlfenとナトリウムイオン蓄電分野で協力、欧州展開を加速へ
この発表の要点
- CATLとAlfenがナトリウムイオン蓄電システムで協力し、2027年から西欧で5GWh導入を計画。
- この協力は、リチウム価格変動への耐性強化と蓄電製品のコスト構造最適化を目的とする。
- CATLは欧州電力網での運用実績を積み、ナトリウムイオン電池技術の欧州展開を加速する方針。
企業・自治体への影響
エネルギーインフラ企業、電池メーカー、再生可能エネルギー開発企業は、ナトリウムイオン電池技術の進展と市場導入の加速に注目すべきです。この動きは、将来の蓄電システム選定、サプライチェーン戦略、および研究開発の優先順位に影響を与える可能性があります。
対応すべきこと
- エネルギー関連企業は、ナトリウムイオン電池技術の動向と市場への影響を注視する。
- 自社の蓄電システムやサプライチェーンにおける電池材料の多様化の可能性を検討する。
- 欧州市場への展開を検討している企業は、現地の電力網基準への適合状況を確認する。
- 関連部門(経営者、経理、技術開発、広報など)へ本発表の内容を共有し、戦略への影響を議論する。
対象部門: 経営者 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 寧徳時代新能源科技(CATL) |
|---|---|
| 業界 | 製造 |
| 発表日 | 2026-07-28 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月28日
中国の大手電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)は7月16日、オランダのエネルギーインフラ企業のAlfen N.V.(注1)(以下、Alfen)との間でナトリウムイオン蓄電システム展開に向け協力することで合意したと発表した。CATLの発表によると、両社は2027年から、オランダをはじめとする西欧諸国で、CATLの合計5ギガワット時(GWh)の「天恒ナトリウムイオン蓄電システム」を導入する計画だ。
同システムは、CATLが6月22日にドイツ・ミュンヘンで発表したシステムだ(2026年7月3日記事参照)。同社によると、同システムは25年の長寿命を特徴とし、システム全体の往復効率(RTE)(注2)を約2%向上させることでライフサイクルコストの低減を実現する。また、リチウムイオン電池の一種であるリン酸鉄リチウム(LFP)電池を用いた蓄電システムとの互換性を備え、利用企業は用途や市場環境に応じて電池材料を柔軟に選択できることから、リチウム価格の変動による影響の抑制にもつながるとしている。
両社はこれまで、リチウムイオン電池を活用した蓄電事業で協力関係を構築してきた。2023年に長期的な電池供給パートナーシップを開始するなど、これまでリチウムイオン電池を活用した蓄電事業で協力関係を構築してきたが、今回の合意により、協力分野はリチウムイオン電池からナトリウムイオン電池へと広がることになる。Alfenは今回の新たな協力に関する発表において、電池材料の選択肢を多様化し、蓄電製品のコスト構造を最適化するとともに、リチウム価格変動への耐性を高めることで、欧州の中・大規模プロジェクトにおける競争力向上につなげるとしている。
また、CATLは、ナトリウムイオン電池の欧州電力網での運用実績を蓄積し、欧州の電力網基準への適合を進めることで、同技術の欧州展開を加速させる考えだ。中国の業界メディア「盖世汽車(Gasgoo)」は、今回の協力について、同システムの欧州市場展開を加速させる取り組み、と報じている(「盖世汽車」7月16日)。
なお、CATLは7月21日、ブルガリアの再生エネルギー企業Solarproと総容量2GWhのナトリウムイオン蓄電システム導入で合意したと発表した。CATLによると、両社は2026年末までに、中・東欧で初となる大規模ナトリウムイオン蓄電プロジェクトを開始する計画だ。
(注1)オランダのエネルギーインフラ企業。スマートグリッドや蓄電システム、電気自動車用充電設備の設計・開発・製造などを手掛ける。
(注2)往復効率(RTE、Round-Trip Efficiencyの略)とは、蓄電システムに充電したエネルギー量に対する放電可能なエネルギー量の割合を示す指標。
(西村京子)
(中国、オランダ)
ビジネス短信 118986e780ca5397
関連情報
dummy
もっと見る
ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
中国のCATL、オランダのAlfenとナトリウムイオン蓄電分野で協力、欧州展開を加速へ
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/118986e780ca5397.html
時系列
- 2023 CATLとAlfenがリチウムイオン電池を活用した長期的な電池供給パートナーシップを開始
- 2026-06-22 CATLがドイツ・ミュンヘンで「天恒ナトリウムイオン蓄電システム」を発表
- 2026-07-16 CATLがオランダのAlfenとの間でナトリウムイオン蓄電システム展開に向け協力することで合意したと発表
- 2026-07-16 中国の業界メディア「盖世汽車」がCATLとAlfenの協力について報じる
- 2026-07-21 CATLがブルガリアのSolarproと総容量2GWhのナトリウムイオン蓄電システム導入で合意したと発表
- 2026-12-31 CATLとSolarproが中・東欧で初となる大規模ナトリウムイオン蓄電プロジェクトを開始する計画
- 2027 CATLとAlfenがオランダをはじめとする西欧諸国で合計5GWhの「天恒ナトリウムイオン蓄電システム」を導入する計画
主な数値
| 導入計画容量 | 5GWh |
|---|---|
| システム長寿命 | 25年 |
| 往復効率向上率 | 約2% |
| Solarproとの合意容量 | 2GWh |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、エネルギー貯蔵分野における主要企業間の戦略的提携と、新技術であるナトリウムイオン電池の市場導入加速を示すものです。リチウムイオン電池に代わる選択肢としてナトリウムイオン電池が注目される背景には、リチウム価格の変動リスク低減とコスト構造の最適化という経済的要因があります。CATLとAlfenの協力は、欧州市場におけるナトリウムイオン電池の運用実績を積み、電力網基準への適合を進めることで、同技術の普及を促進する狙いがあります。これは、エネルギーインフラ企業や再生可能エネルギー開発企業にとって、将来の蓄電システム選定において、電池材料の多様化とサプライチェーンのレジリエンス強化が重要な検討事項となることを示唆しています。また、長寿命化や効率向上といった技術的特徴は、ライフサイクルコストの低減に寄与し、大規模プロジェクトにおける競争力向上に直結するため、関連企業はこれらの技術動向を注視する必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-28
関連事例
- 中国国務院、知的財産権分野の5カ年規画を発表、4重点任務、12事業を推進
- コロンビアのデラエスプリエジャ大統領が就任、治安対策や民間投資促進を表明
- 米ウィスコンシン州知事選挙の民主党予備選で穏健派クローリー氏が勝利
- トランプ米大統領の純支持率はさらに低下しマイナス29ポイントに、世論調査
- NTTドコモビジネスとコデルコ、光通信技術活用の鉱山遠隔操業実証を開始
自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?
無料でプレスリリースを掲載する