次期フランス大統領選主要候補者7人による初の経済政策討論会開催、財政再建か成長投資か、違い鮮明に
この発表の要点
- フランス大統領選の主要候補7人による初の経済政策討論会が開催され、国家主導の再分配を重視する左派と、財政再建や規制緩和を掲げる中道・右派の違いが鮮明になった。
- MEDEFが実施した6万5,872人の経営者調査では、82%が次期大統領の経済政策に悲観的な見方を示している。
- 経営者層からは企業負担の軽減、再工業化、規制簡素化、歳出削減を求める声が上位を占めた。
企業・自治体への影響
フランス市場に進出する企業や欧州関連事業を持つ企業において、将来的な税制、労働法制、社会保障制度の変更リスクを把握し、経営計画やコンプライアンス体制の見直しが必要となる可能性がある。経営企画部門や法務・総務部門における情報収集が求められる。
対応すべきこと
- フランス大統領選の候補者別の経済政策や公約(税制・労働規制等)の動向を確認する
- 自社の欧州・フランス事業における影響範囲を精査し、関係部門へ情報を共有する
- ジェトロ等の公式情報や現地の規制変更に関する最新動向のモニタリングを継続する
対象部門: 経営者 総務 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 経済・産業トレンド |
| 発表日 | 2026-09-01 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年09月01日
2027年の次期フランス大統領選に向けて8月27日、日本の経団連にあたる「フランス企業運動(MEDEF)」の年次大会(REF)で主要候補7人による初の本格的な経済政策討論会が開かれた。
討論には、ジャン=リュック・メランション氏(極左「不服従のフランス(LFI)」)、ラファエル・グリュックスマン氏(中道左派「プラス・ピュブリック」)、マリーヌ・トンドリエ氏(環境政党「エコロジスト党」)、ガブリエル・アタル氏(中道「ルネサンス」)、エドゥアール・フィリップ氏(中道右派「オリゾン」)、ブルーノ・ルタイヨ氏(保守右派「共和党」)、マリーヌ・ルペン氏(極右「国民連合(RN)」)の7人が参加し、公的債務、年金改革、雇用、再工業化、環境投資などをテーマに持論を展開し、違いが鮮明になった。
左派候補は国家による投資拡大と産業政策を前面に押し出した。メランション氏は、「環境計画」(国家主導で脱炭素化やエネルギー転換を進めるアプローチ)、法人税の累進化、金融取引に対する課税強化を柱とする包括的な政策を提唱し、国家主導の経済転換を主張した。グリュックスマン氏は環境革命、資産や相続に依存する社会ではなく「働く人々の社会」への変革、技術革新を柱とする国の立て直しに向けた「愛国的契約(社会契約)」を提唱し、フランスの産業基盤の再強化を訴えた。トンドリエ氏は法定最低賃金(SMIC)の月額2,000ユーロへの引き上げや中小企業向け支援策、脱炭素投資促進策を掲げた。
一方、中道・右派候補は財政再建と企業競争力強化を重視した。フィリップ氏は次期大統領の最優先課題として財政秩序の回復を挙げ、「まず予算を立て直すべきだ」と主張した。アタル氏は経済成長の重要性を強調し、企業負担の軽減や競争力回復を訴えた。ルタイヨ氏は減税と規制緩和を柱に、週35時間労働制の柔軟化や労働法の適用における企業の裁量権拡大を提案した。ルペン氏は、1,250億ユーロ規模の歳出削減計画を打ち出し、財政再建を重視する姿勢を示した。同時に、企業競争力の強化に向けて、企業付加価値負担金(CVAE)、企業不動産負担金(CFE)、企業連帯社会拠出金(C3S)について、単なる税率引き下げではなく廃止を主張したほか、不要・有害な規制を撤廃すべきだとの考えを示した(注)。
年金改革を巡って各候補の立場は分かれた。ルタイヨ氏は平均寿命に応じた受給開始年齢の調整を提案した。一方、ルペン氏は「20歳未満で就労を開始した人は60歳で退職できる」とした上で、将来的には「42年間の保険料拠出と法定退職年齢62歳」を基準とする制度へ段階的に移行すると主張。メランション氏とトンドリエ氏はマクロン大統領が実施した年金改革の撤回と退職年齢の60歳への引き下げを訴え、アタル氏は保険料納付期間を基礎とする新たな制度の導入を掲げた。
現地の報道によれば、討論会に出席した企業経営者からは、アタル氏やフィリップ氏を高く評価する声が聞かれた一方、グリュックスマン氏も具体的な数値を用いた説明が好意的に受け止められた。一方でルペン氏については、「期待されたほど印象的ではなかった」との声も聞かれた。
MEDEFが8月25日に発表した、6万5,872人の企業経営者を対象に実施したオンライン調査(実施期間:4月15日~7月15日)によると、82%が次期大統領の経済政策に悲観的な見方を示し、66%は現状が続けば自社経営が悪化すると回答した。次期政権への要望としては、企業負担の軽減(83%)、再工業化(81%)、規制・行政手続きの簡素化(75%)、公的債務と歳出削減(75%)が上位を占めた。MEDEFはこの調査結果を基に、企業の投資や雇用を促す政策を大統領選の中心議題とするよう要求し、各候補に経済再建策の提示を求めている。
(注)フランスの法人税やその他税制についてはジェトロウェブサイト「税制」を参照。
(山崎あき)
(フランス)
ビジネス短信 31da6778295b7f39
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次期フランス大統領選主要候補者7人による初の経済政策討論会開催、財政再建か成長投資か、違い鮮明に
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/31da6778295b7f39.html
時系列
- 2026-08-25 フランス企業運動(MEDEF)が企業経営者を対象としたオンライン調査の結果を発表
- 2026-08-27 MEDEFの年次大会(REF)で次期フランス大統領選の主要候補7人による経済政策討論会を開催
主な数値
| 参加候補者数 | 7人 |
|---|---|
| ルペンの歳出削減計画規模 | 1250億ユーロ |
| MEDEFの調査対象者数 | 65872人 |
| 調査実施期間開始 | 04-15月日 |
| 調査実施期間終了 | 07-15月日 |
| 経済政策に悲観的な経営者の割合 | 82% |
| 現状続けば自社経営悪化と回答した割合 | 66% |
| 次期政権への要望(企業負担の軽減) | 83% |
| 次期政権への要望(再工業化) | 81% |
| 次期政権への要望(規制・行政手続きの簡素化) | 75% |
| 次期政権への要望(公的債務と歳出削減) | 75% |
この事例から確認すべきポイント
本事例は、フランスの次期大統領選に向けた主要候補による経済政策の方向性を示すものである。左派は国家主導の投資や増税を訴え、中道・右派は財政再建や規制緩和、企業負担の軽減を掲げており、アプローチが大きく異なる。また、企業経営者を対象とした調査では大半が先行きに悲観的であり、企業負担の軽減や再工業化などを強く求めている。グローバル展開や欧州市場に影響を持つ企業にとっては、今後の政治動向や税制・労働法制の変化リスクを注視し、経営戦略へ織り込む必要がある。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-09-01
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