経済・産業トレンド 発効

中小企業向け付加価値税免除基準の引き下げを延期

ロシア政府は、簡易課税制度適用事業者に対する付加価値税(VAT)納税義務の発生基準引き下げを2029年まで延期する連邦法に署名し、即日発効しました。これにより、年間所得2,000万ルーブルの現行基準が維持されます。当初は2026年から段階的に引き下げられる予定でしたが、中小企業からの要望や税制改革による経営環境悪化、倒産増加、違法な事業分割スキームの増加といった背景を受け、大統領指示により延期が決定されました。

この発表の要点

企業・自治体への影響

ロシアで事業を展開する、または進出を検討している日本企業のうち、簡易課税制度の適用対象となる中小企業は、VAT納税義務の発生基準が据え置かれることで、税負担の増加が一時的に回避されます。特に経理部門や経営層は、ロシアの税制変更動向を継続的に注視する必要があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 経理 法務

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
発表日 2026-07-08
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月08日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は7月4日、簡易課税制度の適用事業者に対する付加価値税(VAT)納税義務について発生基準の引き下げを延期する連邦法に署名、即日発効した。今回大統領が署名したのは連邦法第228-FZ号「ロシア連邦国税基本法第2部第145条の改正について」で、これによりVATの納税義務が生じる基準となる年間所得が2029年までの間、現行の2,000万ルーブル(4,000万円、1ルーブル=約2円)のまま据え置かれる。2025年11月の法改正により、2026年分は2,000万ルーブル、2027年分は1,500万ルーブル、2028年分以降は1,000万ルーブルに段階的に引き下げられることになっていた。

同法は、プーチン大統領が6月5日にサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)で、所得基準を現時点の水準で固定するように指示したことを受けて策定されたものだが、もともとは、全ロシア中小企業連盟「オポラ・ロシア」が中小企業に対する税制改革の影響の分析結果を踏まえ、基準を2,000万ルーブルに据え置くよう政府に提案したことがきっかけとなった。同提案は、ロシア産業家企業家連盟(RSPP)やロシア連邦商工会議所、与党「統一ロシア」も支持していた。

税務当局は違法な事業分割の増加を指摘
税制改革に伴う税負担の増加を受け、中小企業の間では事業運営の見直しやコスト削減などの対応を迫られているほか、一部では事業継続を断念する動きもみられる。オポラ・ロシアの調査に回答した零細企業および中小企業の9割超が、税制改革後に経営環境が悪化したとの認識を示した。企業情報データベースサービス「Kontur.Focus」のデータによると、2026年第1四半期の中小企業の倒産件数は20万9,000社にのぼり、前年同期比で約9%増加した(「フォーブス・ロシア」5月14日)。

こうした中、簡易税制の適用事業者にとどまることを目的とした事業分割などの違法なスキームの利用が増えている。連邦税務局のロマン・ホロシェフ分析部長は、オポラ・ロシアの調査で事業分割を行ったと認めた回答が2.6%だったことに関して、「独自の調査の結果では、実際に事業分割を利用している事業者の割合は2桁台に上る」と指摘している(「RBK」6月25日)。

(欧州課)

(ロシア)

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中小企業向け付加価値税免除基準の引き下げを延期

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/153cd890dcd749b6.html

時系列

主な数値

VAT免除基準の据え置き期間 2029年まで年
現行VAT免除基準 2000万ルーブル
中小企業の倒産件数(2026年第1四半期) 20万9000社
中小企業の倒産件数(前年同期比増加率) 9%
オポラ・ロシア調査での事業分割利用申告割合 2.6%

この事例から確認すべきポイント

ロシアにおける中小企業向け付加価値税(VAT)免除基準の引き下げ延期は、税制改革が中小企業の経営に与える影響の大きさを浮き彫りにしています。当初の段階的な引き下げ計画は、中小企業の経営環境悪化や倒産件数の増加、さらには簡易税制適用を維持するための違法な事業分割スキームの横行といった実態を受けて見直されました。これは、政策立案において、経済実態や企業の対応を十分に考慮する必要があることを示唆しています。特に、税制変更が企業の存続や事業活動に与える直接的な影響を事前に評価し、必要に応じて柔軟な対応を取ることの重要性が再確認されます。また、違法なスキームの増加は、税制の複雑さや企業側の適応能力の限界を示すものであり、税務当局と企業間のコミュニケーションや理解促進の必要性も示唆しています。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-08

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