経済・産業トレンド

隣国ジョホール州との鉄道開通で消費流出超過に、シンガポール経済団体が試算

シンガポールとマレーシア・ジョホール州を結ぶ高速輸送システム(RTS)の2026年末開通により、シンガポールからジョホール州への年間消費流出が10億5,000万Sドル増加する見込みです。一方、ジョホール州からのインバウンド消費増加は7億5,600万Sドルにとどまり、差し引き2億9,400万Sドルの消費流出超過が予測されています。シンガポール・ビジネス連盟などの共同調査による試算で、シンガポールの小売・飲食セクター、特に郊外地域への影響が懸念されています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

シンガポールで小売業や飲食業を展開する企業は、RTS開通による消費流出の影響を考慮し、事業戦略の見直しが必要となる可能性があります。特に郊外に店舗を持つ企業や、食料品、ドラッグストア、外食、美容サービスを提供する企業は、顧客のジョホール州への流出対策を検討すべきです。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 広報 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 シンガポール・ビジネス連盟(SBF)、シンガポール・レストラン協会(RAS)、シンガポール小売業協会(SRA)
業界 小売・飲食
発表日 2026-07-16
分類 経済・産業トレンド
地域 シンガポール

発表された内容

2026年07月22日

シンガポールと隣国マレーシア南部ジョホール州を結ぶ高速輸送システム(RTS)の開通により、シンガポールからジョホール州へのアウトバンドの年間消費額が10億5,000万シンガポール・ドル(約1,323億円、Sドル、1Sドル=約126円)増加する見通しだ。一方、ジョホール州からシンガポールへのインバウンドの年間消費額の増加額は7億5,600万Sドルにとどまり、差し引き2億9,400万Sドルの消費流出超過と見込まれる。シンガポール・ビジネス連盟(SBF)、シンガポール・レストラン協会(RAS)とシンガポール小売業協会(SRA)の共同調査(注)による試算が7月16日の発表で明らかになった。

シンガポールとジョホール州の州都ジョホールバルは現在、2本の橋で結ばれている。RTSが2026年末までに完成すれば、1時間当たり最大1万人の輸送が可能になり、両国間の交通利便性が大幅に向上する見通しだ(2026年3月5日付地域・分析レポート参照)。同調査によると、公共交通機関を利用してジョホールバルを訪れるシンガポールの消費者の年間平均訪問回数は、RTS開通前の8回から開通後には14回へと70%増加する見込みだ。また、自家用車などを利用する消費者についても、年間平均10回から13回へと31%増加すると予想される。RTS開通後も、訪問の6割以上が日帰りになると見込まれている。

RTS開通による2億9,400万Sドルの消費流出超過額は、2025年のシンガポールの小売売上高(522億Sドル)と飲食売上高(193億Sドル)の合計額の0.4%に相当する。地域別では、都心部よりも郊外でRTS開通の影響を受ける見通しだ。シンガポールの消費者のジョホールバルで支出する品目は食料品が最も多く、ドラッグストア、外食、美容サービスが続く。

今回の調査では、2018年に開通した香港・深センの広深港高速鉄道(XRL)の事例が、比較ベンチマークとして用いられた。新型コロナ禍後にXRLが2023年に運行再開した際には、陸路による越境移動が63%増加した。

(注)SBF、RAS、SRAの共同調査レポート「RTSによるシンガポールの小売り、飲食セクターへのインパクト」はSBFのサイトからダウンロードできる。

(本田智津絵)

(シンガポール、マレーシア)

ビジネス短信 297804e26364ce19

関連情報

dummy

もっと見る

ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

隣国ジョホール州との鉄道開通で消費流出超過に、シンガポール経済団体が試算

ジェトロ公式SNSアカウント

出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/297804e26364ce19.html

時系列

主な数値

シンガポールからジョホール州への年間消費額増加 1050000000Sドル
ジョホール州からシンガポールへの年間消費額増加 756000000Sドル
消費流出超過額 294000000Sドル
RTS完成予定時期 2026年末
RTS輸送能力 10000人/時間
公共交通機関利用者の年間平均訪問回数増加率 70%
自家用車利用者の年間平均訪問回数増加率 31%
消費流出超過額の小売・飲食売上高合計に対する割合 0.4%
2025年シンガポール小売売上高 52200000000Sドル
2025年シンガポール飲食売上高 19300000000Sドル
XRL運行再開後の陸路越境移動増加率 63%

この事例から確認すべきポイント

シンガポールとマレーシア・ジョホール州を結ぶ高速輸送システム(RTS)の開通は、両国間の交通利便性を大幅に向上させ、シンガポールからのジョホール州への消費流出を加速させる可能性が示唆されています。特に、シンガポール・ビジネス連盟などの共同調査では、年間2億9,400万Sドルの消費流出超過が見込まれており、これは2025年のシンガポールの小売・飲食売上高合計の0.4%に相当するとのことです。この影響は都心部よりも郊外で顕著になると予測され、食料品、ドラッグストア、外食、美容サービスといった品目で消費が流出する可能性が高いとされています。過去の事例として香港・深センの高速鉄道(XRL)の運行再開後の越境移動増加がベンチマークとして用いられており、RTS開通後も同様の消費行動の変化が起こりうると分析されています。シンガポールの小売・飲食セクターは、この消費動向の変化を注視し、今後の事業戦略に反映させる必要性が高まっています。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-22

関連事例

自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?

無料でプレスリリースを掲載する