マニラ首都圏の最低賃金、日額85ペソ引き上げへ
この発表の要点
- マニラ首都圏の最低賃金が日額85ペソ引き上げられ、2026年7月と2027年1月の2段階で実施される。
- 非農業部門は日額780ペソ、農業部門等は日額743ペソに改定される。
- 最低賃金引き上げに伴い、休日手当や残業手当、退職金など基本給に基づく各種給付も調整対象となる。
企業・自治体への影響
フィリピン・マニラ首都圏で事業を展開する企業は、人件費の増加に直面し、特に中小零細企業は雇用や事業拡大、価格設定に影響を受ける可能性があります。人事・経理部門は、賃金改定とそれに伴う各種手当の計算変更に対応が必要です。
対応すべきこと
- 2026年7月25日と2027年1月の賃上げスケジュールを確認し、人件費への影響を試算する。
- 基本給に基づく休日手当、残業手当、退職金などの計算方法を見直し、システムや規定を更新する。
- フィリピン国内の他地域での最低賃金見直しの動向を継続的に監視する。
- 経済団体が指摘するビジネス環境改善やコスト削減策について、自社の事業戦略への影響を検討する。
対象部門: 経営者 総務 人事 経理
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | フィリピン労働雇用省(DOLE) |
|---|---|
| 発表日 | 2026-06-30 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月17日
フィリピン労働雇用省(DOLE)のフランシス・トレンティーノ長官は6月30日、マニラ首都圏の最低賃金を日額85ペソ(約221円、1ペソ=約2.6円)引き上げると発表した。引き上げは、地域賃金生産性委員会(RTWPB)が賃金通達第NCR-27号に基づき決定したもの。マニラ首都圏では、2022年から5年連続で最低賃金を引き上げており、今回はこの5年間で最大の上げ幅になった。
賃上げは2段階に分けて実施される。2026年7月25日に60ペソ引き上げ、2027年1月に25ペソ引き上げる予定だ。これにより、非農業部門の日額最低賃金は695ペソから780ペソに、農業部門と従業員15人以下のサービス業、小売業、従業員10人未満の製造業では、658ペソから743ペソに引き上げられる。
トレンティーノ長官によると、マニラ首都圏では最低賃金で働く労働者が約110万人おり、今回の措置で恩恵を受けると見込まれており、最低賃金を上回る190万人の労働者も賃金調整の対象となる可能性がある。
現地報道によれば、今回の賃上げを巡って経済団体からは懸念の声が上がっている(7月1日付「インクワイアラー」紙)。フィリピン商工会議所のフェルディナンド・フェレール会長は、新たな賃金通達について「現時点で企業にとっては非常に厳しい」と指摘した。また、フィリピン経営者協会のドナルド・リム会長は、「多くの中小零細企業(MSME)は追加的なコスト負担に直面し、雇用や事業拡大、価格設定の判断に影響を与える可能性がある」と懸念を示した。そのうえで、「今後は、ビジネス環境の改善や、物流・エネルギーコストの削減、技能や技術への投資、生産性向上を通じた賃金上昇を実現できる環境づくりなどを通じて、労働者と企業の双方を支援することに焦点を当てるべきだ」と述べた。
なお、DOLEのトレンティーノ長官は7月2日の声明で、最低賃金引き上げに伴い、労働法に基づく休日手当や残業手当、退職金など、基本給に基づいて計算される給付も調整対象となると発表した。あわせて、マニラ首都圏以外の地域でも最低賃金の見直しを進める方針を明らかにした。
(アギラー・パールホープ、西村公伽)
(フィリピン)
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マニラ首都圏の最低賃金、日額85ペソ引き上げへ
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/d0a8f99a42d7b0d0.html
時系列
- 2026-06-30 フィリピン労働雇用省のフランシス・トレンティーノ長官がマニラ首都圏の最低賃金日額85ペソ引き上げを発表。
- 2026-07-02 DOLEのトレンティーノ長官が最低賃金引き上げに伴う各種手当の調整対象化と、マニラ首都圏以外の地域での見直し方針を発表。
- 2026-07-25 賃上げの第1段階として日額60ペソ引き上げを実施予定。
- 2027-01 賃上げの第2段階として日額25ペソ引き上げを実施予定。
主な数値
| 最低賃金引き上げ額 | 85ペソ |
|---|---|
| 第1段階引き上げ額 | 60ペソ |
| 第2段階引き上げ額 | 25ペソ |
| 非農業部門日額最低賃金(改定後) | 780ペソ |
| 農業部門等日額最低賃金(改定後) | 743ペソ |
| 最低賃金で働く労働者数 | 110万人 |
| 賃金調整対象となる可能性のある労働者数 | 190万人 |
この事例から確認すべきポイント
フィリピン・マニラ首都圏の最低賃金引き上げは、現地で事業を展開する企業の人件費に直接的な影響を与えます。特に中小零細企業は、追加的なコスト負担により、雇用や事業拡大、価格設定に影響が出る可能性が指摘されています。基本給に基づく各種手当も調整対象となるため、総人件費への影響は最低賃金の上昇幅以上に広がる可能性があります。企業は、2026年7月と2027年1月に実施される段階的な賃上げスケジュールを把握し、財務計画や事業戦略に織り込む必要があります。また、マニラ首都圏以外の地域でも最低賃金の見直しが進められる方針が示されており、フィリピン全土で事業を展開する企業は、今後の動向を注視し、地域ごとの賃金水準の変化に対応できるよう準備を進めるべきです。経済団体が指摘するビジネス環境改善やコスト削減の必要性は、企業が持続可能な経営を行う上で重要な視点となります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-17
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