マカオで知財シンポジウムが開催、デジタル経済に向けた知財政策など議論
この発表の要点
- 中国本土・香港・マカオの知財政策に関するシンポジウムが開催され、デジタル経済における知財保護が主要テーマとなった。
- 中国のデータ知的財産権登録制度は試行地域が拡大し、2025年末までに10万件超の申請と約150億元(約3,600億円)の関連融資・取引実績がある。
- 中国本土では改正商標法(2027年1月施行)や専利審査指南の改正、香港ではAIと著作権ガイドライン策定など、各地域で知財制度強化の動きが進んでいる。
企業・自治体への影響
中国本土・香港・マカオで事業を展開する企業、特にデジタル経済やデータ関連ビジネスに携わる企業は、データ知的財産権登録制度の動向や、改正商標法、AIと著作権に関するガイドラインなどの知財政策の変更が、事業戦略やリスク管理に直接的な影響を与える可能性があります。法務部門や事業開発部門は、これらの制度変更を把握し、自社の知財戦略を見直す必要があります。
対応すべきこと
- 中国本土・香港・マカオにおける最新の知的財産政策(特にデータ知財登録制度、改正商標法、AIと著作権ガイドライン)の詳細を公式出典で確認する。
- 自社のデータ資産やブランド、技術に関する知的財産が、これらの制度変更によってどのような影響を受けるか評価する。
- 関係部門(法務、事業開発、研究開発、広報など)へ本発表の内容と関連する知財動向を共有し、対応方針を検討する。
- 越境ビジネスにおける知的財産権侵害リスクに対し、国際協力の重要性を踏まえた保護戦略を再検討する。
対象部門: 経営者 法務 情シス 広報 経理
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 知的財産・法律 |
| 発表日 | 2026-07-27 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | マカオ |
発表された内容
2026年07月27日
「中国本土・香港・マカオ知的財産シンポジウム2026」が7月16日、マカオ科学館で開催された(注1)。各地域の政府関係者や知的財産権に関わる実務者など約120人が参加し、「中国本土・香港・マカオにおける知的財産の最新動向」「商標保護戦略が支えるブランドの質の高い発展」「デジタル経済の発展と知的財産保護」の3テーマについて議論が展開された。
うち、データの権利登録と流通をめぐる議論においては、中国の国家知識産権局知的財産権発展研究センターの胡軍建副主任から、中国の複数の試行対象地域で導入を進めてきたデータ知的財産権登録制度(注2)について紹介があった。2025年末までに同制度に基づく登録申請は10万件を超え、登録証発行は約5万件に達し、関連する融資・取引額は約150億元(約3,600億円、1元=約24円)に上るという。
香港中文大学法学部教授兼法律イノベーション・デジタル社会研究センター主任の李治安氏は、香港におけるデータ取引市場や知財取引エコシステムの整備状況に加え、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)におけるデータ流通の仕組み作りについて紹介した。
そのほか、中国本土からは、「専利審査指南」の改正(注3)や、2027年1月施行の改正商標法(2026年7月8日記事参照)、悪意の商標出願への取り締まり強化、知財保護センター整備など、知財保護制度強化の取り組みが紹介された。また、著作権分野では、オンラインでの権利保護や海賊版対策の強化、ブロックチェーン技術を活用した著作権保護実証事業などが報告された。このほか、海外サーバーや越境サイトを介した権利侵害への対応は1国のみでは限界があるとして、国際協力の重要性も指摘された。
香港からはさらに、地域の知的財産権取引センター構想の下で進められている知財金融の拡充、特許評価支援制度の整備、人工知能(AI)と著作権に関するガイドラインの策定などの取り組みが紹介された。マカオからは、老舗企業の認定制度を通じた地域ブランド育成や、品質認証制度を活用したブランド価値向上の取り組みが報告された。
中国政府は、2023年には国家データ局を設置し、デジタル経済におけるデータ資源の活用に向けた制度の整備を進めてきた。今回のシンポジウムでは、こうした政策とも関連したデータ知的財産権登録制度やデータ流通促進の取り組みが紹介された。今後のデータガバナンスを巡る動向が注目される。
(注1)中国国家知識産権局、香港特別行政区政府知識産権署、マカオ特別行政区政府経済科技発展局の共催により毎年持ち回りで開催されている。
(注2)国家知識産権局は2022年11月、「国家知識産権局弁公室によるデータ知識産権業務試行地域確定通知」に基づき、北京市や浙江省など8地域でデータ知的財産権登録制度の試行を開始。その後、2024年には試行対象を17地域に拡大し、制度整備を進めている。データの出所や権利関係、加工・分析者の情報を登録する制度で、データ処理活動により創出された付加価値やデータセットの合法性を証明し、その取引・流通を促進することを目的としている。
(注3)詳細は、ジェトロ「専利審査指南」(2026)改正についての仮訳(局令第84号(732KB)、解説(253KB)、改正対照表(514KB))を参照。
(南川泰裕)
(マカオ、香港、中国)
ビジネス短信 db34e1741fd1506b
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マカオで知財シンポジウムが開催、デジタル経済に向けた知財政策など議論
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/db34e1741fd1506b.html
時系列
- 2022-11 中国の国家知識産権局がデータ知的財産権登録制度の試行を8地域で開始。
- 2023 中国政府が国家データ局を設置。
- 2024 データ知的財産権登録制度の試行対象を17地域に拡大。
- 2025-12-31 データ知的財産権登録制度に基づく登録申請が10万件超、登録証発行が約5万件に達する。
- 2026-07-16 「中国本土・香港・マカオ知的財産シンポジウム2026」がマカオ科学館で開催。
- 2027-01 改正商標法が施行予定。
主な数値
| 参加者数 | 120人 |
|---|---|
| データ知財登録申請件数 | 100000件 |
| データ知財登録証発行件数 | 50000件 |
| データ知財関連融資・取引額 | 150億元 |
| データ知財関連融資・取引額(円換算) | 3600億円 |
| データ知財登録制度試行地域数(2022年) | 8地域 |
| データ知財登録制度試行地域数(2024年) | 17地域 |
この事例から確認すべきポイント
本シンポジウムの報告は、中国本土、香港、マカオにおける知的財産政策の最新動向と、特にデジタル経済におけるデータ知的財産権保護の重要性を示唆しています。中国のデータ知的財産権登録制度は、試行地域拡大と登録件数の増加から、データ資源の活用と取引促進に大きな影響を与えていることが伺えます。企業は、中国市場におけるデータ関連ビジネスを展開する際、この登録制度の動向を注視し、自社のデータ資産の保護戦略を検討する必要があります。また、改正商標法や専利審査指南の改正、AIと著作権に関するガイドライン策定など、各地域の知財制度強化の動きは、企業が事業戦略を立案する上で不可欠な情報であり、国際協力の重要性も指摘されていることから、越境ビジネスにおける知財リスク管理体制の再確認が求められます。現時点で取得できた本文からは、各制度の詳細な内容や具体的な適用範囲を確認できませんでした。詳細は公式出典をご確認ください。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-27
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