経済・産業トレンド 承認

キューバ、経済・社会改革のための政策パッケージを議会承認

キューバの人民権力全国会議(ANPP)は6月18日、23分野・176項目に及ぶ経済・社会体制改革のための政策パッケージを承認した。6月24日からは閣僚評議会による審査が開始され、今後具体的な規則に落とし込まれる見込み。主な内容は、国営企業の自立性拡大、民間・外資企業の参入規制緩和、行政機構見直し、燃料・金融システムへの民間資本参加拡大、労働・賃金制度変革、税制改革、外国投資規制緩和、財・サービスの輸出促進など多岐にわたる。背景には米国の制裁強化と国内の物資不足があるが、改革の有効性には懐疑的な見方も示されている。

この発表の要点

企業・自治体への影響

キューバとのビジネスを検討する企業(特に貿易、金融、エネルギー、製造業、サービス業など)は、規制緩和の具体的な内容と米国制裁の影響を慎重に評価する必要があります。外国投資や民間資本の参入機会が拡大する可能性がある一方で、米国制裁によるリスクも依然として高く、事業戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 総務 法務 広報 人事 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
発表日 2026-06-29
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月29日

キューバの立法機関である人民権力全国会議(ANPP)は6月18日、23分野・176項目に及ぶ経済・社会体制改革のための政策パッケージを承認した。6月24日からは行政府である閣僚評議会による審査が開始され、今後具体的な規則に落とし込まれていくとみられる。キューバの国営新聞「グランマ(Granma)」によると、政策パッケージの主な内容は次のとおり。

国営企業の自立性拡大、民間・外資企業の参入に対する規制緩和

行政機構の見直し(公共部門の効率化、人員配置の縮小など)

燃料の輸入および販売における、民間・外国資本の参加拡大

労働・賃金制度の変革(インフレに応じた最低賃金の見直しや失業保険の導入など)

銀行・金融システムへの民間資本の参加拡大

税制改革(付加価値税の導入、法人所得税の負担軽減など)

外国投資に関する規制緩和(海外銀行口座開設時の事前許可廃止、人材採用における国営仲介機関の利用義務廃止など)

財・サービスの輸出促進(商標や特許の国際販売の許可など)

政策パッケージでは規制緩和や民間・外国資本の参入に向けたものが目立つが、背景には米国による制裁強化があるとみられる。米国のドナルド・トランプ大統領は対キューバ規制を再度強化する姿勢をみせており(2025年7月2日記事参照)、5月にはキューバ資産管理規則(CACR)の制裁対象を拡大する新たな枠組みも導入した。また、キューバへの主要な石油供給国だったベネズエラが米国の軍事作戦を受け供給停止となった上、米国がキューバに石油を販売する国に対する追加関税措置を発表した(2026年2月2日記事参照)ことで、キューバは深刻な物資不足に陥り、停電が頻発している。このような状況に対し、ディアス・カネル大統領は6月19日、「キューバは今世紀で最も困難な時期にある」とし、今回の政策パッケージは「外部からの攻撃的圧力と内部の不十分さによって引き起こされた危機を克服するために必要だ」と訴えた。

今回の改革はキューバの経済・社会状況を好転させるには不十分という見方もある。政治アナリストのホセ・アゼル氏は「キューバは外国からの投資や資本を必要としているが、これを呼び込むためにはキューバ政府が提供しているものよりもはるかに強い保証が必要」と述べた。また、現状キューバとのビジネスを行うと米国による制裁対象となる可能性が極めて高いことも課題として挙げた(「CNN」6月19日付)。

(加藤遥平)

(キューバ)

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/15307f78947e8796.html

時系列

主な数値

政策パッケージ分野数 23分野
政策パッケージ項目数 176項目

この事例から確認すべきポイント

キューバが承認した経済・社会改革政策パッケージは、米国による制裁強化と国内の深刻な物資不足に対応するための広範な取り組みです。国営企業の自立性拡大、民間・外資企業の参入規制緩和、税制改革、労働・賃金制度の変革など多岐にわたる内容が含まれており、キューバ経済の活性化を目指しています。しかし、政治アナリストからは、外国からの投資を呼び込むには不十分であり、米国制裁が依然として大きな課題であるとの指摘も出ています。企業は、キューバの法制度変更の具体的な進捗を注視しつつ、米国制裁との兼ね合いを慎重に評価する必要があります。特に、燃料、金融、貿易、人材採用など、具体的な規制緩和がどのように実施され、それが米国制裁の対象とならないかを確認することが重要です。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-29

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