経済・産業トレンド

世界的な石油需要の減少がホルムズ海峡混乱による原油価格上昇を抑制、米EIA予測

米国エネルギー情報局(EIA)は、世界的な石油需要の減少がホルムズ海峡の混乱による原油価格上昇を抑制するとの見通しを発表しました。中東産油国は1日当たり1,100万バレル以上の減産となり、世界の石油在庫は大幅に減少。2026年の世界の石油需要は前年比で1日当たり110万バレル減少すると予測されています。EIAは2026年の年間平均原油価格を95ドル、2027年を79ドルと予測し、2027年には需要が回復する見込みです。天然ガス価格はおおむね横ばいと予測され、世界銀行や国連も関連する経済指標や情勢悪化の影響を指摘しています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

エネルギー関連企業は、原油価格の変動予測と需要減少傾向を事業計画やリスク管理に反映させる必要があります。製造業や物流業など、エネルギーコストが事業に大きく影響する企業は、燃料調達戦略の見直しやコスト削減策を検討するべきです。特にアジア地域で事業を展開する企業は、石油消費の減少が市場に与える影響を注視し、サプライチェーンの最適化を図ることが求められます。

対応すべきこと

対応優先度:  国際的なエネルギー市場の動向と価格予測は、多くの企業の事業計画やコスト構造に中長期的な影響を与えるため、継続的な情報収集と戦略的検討が重要である。

対象部門: 経営者 経理 法務 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 日本貿易振興機構(ジェトロ)
業界 エネルギー・資源
発表日 2026-06-17
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月17日

米国エネルギー情報局(EIA)は6月9日付プレスリリースにおいて、世界的な石油需要の減少が、ホルムズ海峡の混乱による原油価格上昇を抑制するとの見通しを示した。

同プレスリリースによると、ホルムズ海峡の事実上の封鎖による原油生産および輸送への障害が生じてきたため、中東産油国は1日当たり1,100万バレル以上の減産となっていたという。この結果、世界の石油在庫は大幅に減少しており、2026年の第2四半期には1日当たり630万バレルの減少となる見込みだ。OECD諸国の石油在庫は2003年以来の低水準となっている。

一方、石油需要をみると、2026年の世界の石油需要は前年比で1日当たり110万バレル減少するという。特にアジア地域では、石油に関する政策や油価高騰により、石油消費が大幅に減少しているという。EIAは、これらの需要減少が、ホルムズ海峡を経由する中東からの石油供給の制限による石油価格の上昇を抑制する可能性があると指摘した。

実際に5月時点の原油価格は、米国とイランの合意に関する報道や石油需要の減少を受けて下落していた。一方、EIAは6月7日時点で、2026年の年間平均では1バレル当たり95ドル、2027年の年間平均は79ドルになると予測を示した。

2027年の見通しでは、原油価格の下落と中東での石油生産の回復により、石油需要は1日当たり250万バレル増加するとの予測だ。

また、EIAは、北米の代表的な天然ガス指標価格であるヘンリー・ハブのスポット価格が、100万英国熱量単位(MMBtu)当たりで2025年に3.53ドルだったところ、2026年に3.60ドル、2027年に3.46ドルとおおむね横ばいとなると予測する。

世界銀行の発表によると、5月の天然ガス指数が前月比4.9%増(前年同月比21.2%増)となったほか、飲料価格は前月比5.3%、金属価格は3.7%の上昇となったが、食料価格は1.9%の上昇にとどまった(2026年6月3日記事参照)。

国連は、中東情勢悪化がエネルギー部門での供給制約や価格高騰、運賃・保険料の上昇を通じて、世界的なコスト上昇を招いているとした(2026年5月20日記事参照)。

なお、米国とイランの戦闘終結を巡り、仲介国パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は6月15日、和平合意が成立し、6月19日に和平合意の署名式を行うと発表したほか、米国のドナルド・トランプ大統領はホルムズ海峡が開放されると言及している(2026年6月15日記事参照)。

中東情勢と世界各国の動きは「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」も参照。

(井澤壌士)

(中東、世界)

ビジネス短信 48782ba1ae77ce6a

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世界的な石油需要の減少がホルムズ海峡混乱による原油価格上昇を抑制、米EIA予測

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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/48782ba1ae77ce6a.html

時系列

主な数値

中東産油国の減産量 1100万バレル/日
世界の石油在庫減少見込み(2026年第2四半期) 630万バレル/日
OECD諸国の石油在庫低水準 2003年以来
2026年の世界の石油需要減少(前年比) 110万バレル/日
2026年の年間平均原油価格予測 95ドル/バレル
2027年の年間平均原油価格予測 79ドル/バレル
2027年の石油需要増加予測 250万バレル/日
ヘンリー・ハブ スポット価格(2025年) 3.53ドル/MMBtu
ヘンリー・ハブ スポット価格(2026年) 3.60ドル/MMBtu
ヘンリー・ハブ スポット価格(2027年) 3.46ドル/MMBtu
世界銀行発表 5月の天然ガス指数 前月比増 4.9%
世界銀行発表 5月の天然ガス指数 前年同月比増 21.2%
世界銀行発表 5月の飲料価格 前月比増 5.3%
世界銀行発表 5月の金属価格 前月比増 3.7%
世界銀行発表 5月の食料価格 前月比増 1.9%

この事例から確認すべきポイント

本発表は、国際的なエネルギー市場の複雑な動向を理解する上で重要な情報を提供しています。ホルムズ海峡の地政学的リスクによる供給制約と、世界的な石油需要の減少という相反する要因が、原油価格に与える影響が詳細に分析されています。EIAの予測は、短期的な価格変動と中長期的な需要回復の見通しを示しており、特にアジア地域での石油消費減少は、関連産業にとって重要な示唆となります。天然ガス価格の安定予測や、食料・金属・飲料価格の上昇傾向も、多岐にわたる産業のコスト構造や事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。中東情勢の緩和に向けた動きは不確実性を低減する要因となり得ますが、企業はこれらの情報を継続的に監視し、サプライチェーンや事業計画への影響を評価する必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-17

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