経済・産業トレンド

米ナイロン・マグネティクス、シナノケンシとレアアース不使用磁石を用いたモーター開発へ

米国ナイロン・マグネティクスと日本のシナノケンシ(アスピナ)は、レアアース不使用の窒化鉄永久磁石を用いた高性能モーター開発に向けた供給契約を締結しました。両社は既に共同プロジェクトを開始し、自動車、産業機器、民生機器、宇宙関連分野など多岐にわたる市場での量産化を目指します。この提携は、重要市場における磁石の安定調達と、米国の中国依存低減・国内サプライチェーン強化の動きに対応するものです。

この発表の要点

企業・自治体への影響

製造業、特に自動車、産業機器、民生機器、宇宙関連分野の企業は、レアアース不使用モーターの供給拡大により、調達リスクの低減と製品設計の柔軟性向上が期待できます。サプライチェーンの多様化と強靭化を検討する企業にとって、新たな選択肢となる可能性があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ナイロン・マグネティクス、シナノケンシ
業界 製造
発表日 2026-07-15
分類 経済・産業トレンド
地域 長野県

発表された内容

2026年07月15日

米国で希土類(レアアース)不使用の窒化鉄永久磁石を製造するナイロン・マグネティクス(本社:ミネソタ州)は7月13日、精密モーターやアクチュエーター(注1)をグローバルに展開するアスピナ(日本法人名:シナノケンシ、本社:長野県)と、供給契約を締結したと発表した。対象市場は、自動車、産業機器、民生機器、宇宙関連分野など多岐にわたる。

今回の提携では、アスピナの高精度モーター設計・応用技術と、ナイロン独自の窒化鉄永久磁石技術を組み合わせることによって、レアアースへの依存度を減らしながら、高性能なモーターの開発を目指す。また本契約では、性能、信頼性、および材料調達が極めて重要な、宇宙、自動車、民生用電子機器、およびオートメーション産業向けの、ブラシレスDCモーター、ハイブリッドステッピングモーター、遠心ファン・ブロワー用途製品の量産に重点を置いている。

供給契約の一環として、両社はすでに共同プロジェクトを開始しており、レアアース不使用のモーターの量産化に向けた取り組みを進めている。この動きは、重要市場における磁石の長期的かつ安定調達を重視するOEMメーカーの需要拡大に対応するものだ。

シナノケンシの金子行宏代表取締役社長は「世界中の多様な市場においてモーターソリューションを提供してきた豊富な経験がある」とし、「ナイロンのレアアース不使用磁石技術を活用することで、設計の柔軟性を高め、強靭(きょうじん)で高性能なソリューションを求める顧客を支援できる機会が広がると考えている」と述べた。

米国では、磁石をはじめ、半導体製造などに不可欠な重要素材の調達や加工の中国依存低減と、国内サプライチェーンの強化はトランプ政権の重要課題の1つとなっている(2025年8月19日記事参照、注2)。

米国は、国家安全保障上重要な部品に使われる磁石の90%以上を中国に依存しており、その依存度を低減することが急務となっている。

(注1)電気や空気、油圧などのエネルギーを、物理的な動き(直線・回転・揺動など)へと変換する装置で機械の動作部分に使われる。
(注2)中国特別委員会のジョン・ムーレナー委員長(共和党)とロー・カンナ筆頭委員(民主党)は6月9日、磁石の生産および磁石サプライチェーンを支援するための税額控除を設け、製造の一連のプロセスを国内に回帰させることを目的とした法案を提出した。

(星野香織)

(米国、日本)

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米ナイロン・マグネティクス、シナノケンシとレアアース不使用磁石を用いたモーター開発へ

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/859c894a598a3fc8.html

時系列

主な数値

米国の磁石の中国依存度 90%以上
供給契約締結日 2026-07-13日付

この事例から確認すべきポイント

本発表は、米国企業と日本企業による戦略的提携が、グローバルなサプライチェーン再編と技術革新の潮流の中でいかに重要であるかを示唆しています。特に、レアアース不使用磁石を用いたモーター開発は、資源の安定調達という経済安全保障上の課題と、高性能化という技術的要請の両方に応えるものです。米国が磁石の中国依存度90%以上という現状を鑑みると、この提携は単なる企業間の協力に留まらず、国家戦略的な意味合いも持ちます。日本企業にとっては、先端技術の提供を通じて国際的なサプライチェーンの強靭化に貢献し、新たな市場機会を獲得する可能性を秘めています。企業は、このような国際的な技術提携やサプライチェーン再編の動きを注視し、自社の事業戦略や調達戦略に与える影響を評価する必要があります。また、環境負荷低減や資源リスク回避に資する技術開発への投資の重要性も再認識されます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-15

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