経済・産業トレンド 耐空証明書発行権限の再開

米連邦航空局、ボーイングによる737MAX・787型機の耐空証明書発行の全面的再開を発表

米連邦航空局(FAA)は、ボーイングに対し、737MAXと787型機の耐空証明書発行権限を7月20日から全面的に再開すると発表した。これは、過去の墜落事故や生産品質問題による権限停止を経て、約8カ月間の安全性および生産データ検証、段階的な運用確認の結果、FAAがボーイングの体制に信頼性を認めたことによる。FAAは今後も厳格な監督を継続する方針。

この発表の要点

企業・自治体への影響

航空機製造業界、特にボーイング社とそのサプライヤー、および航空会社に大きな影響を与える。ボーイングの生産・納入プロセスが正常化に向かうことで、航空会社の機材計画や運航体制に影響を及ぼす可能性がある。また、規制当局による監督強化の継続は、業界全体の品質管理基準への意識を高める。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 広報 法務 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 米連邦航空局(FAA)
業界 航空機製造
発表日 2026-07-17
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月23日

米連邦航空局(FAA)は7月17日、航空機製造大手のボーイングが製造する「737MAX」と「787型機」について、ボーイングによる耐空証明書の発行を7月20日から全面的に再開すると発表した。

耐空証明書は航空機が安全に運航できることを示す書類で、通常はFAAが生産工程の最終段階で発行する。ただし、認定を受けた企業にはFAAに代わって耐空証明書を発行する権限が与えられている。ボーイングはかつてこの権限を有していたが、2018年のライオンエア(インドネシア)および2019年のエチオピア航空(2019年3月12日記事参照)で発生した墜落事故を受けて、FAAは2019年に737MAXについて耐空証明書発行権限を停止した。また、787型機についても、生産品質上の問題を理由に2022年から同様の措置が取られていた。

FAAは、今回の発表に至る約8カ月間、ボーイングの安全性および生産データの検証を行った。その結果、一貫した生産品質の維持を確認し、FAAの監督下でボーイングが耐空証明書を発行する体制は十分な信頼性を備えていると判断した。

FAAは2025年9月から、すでに一部の737MAXと787型機について、FAAとボーイングが交互に耐空証明書を発行する運用を開始していた。その結果、ボーイングとFAAが発行した耐空証明書において、生産品質に関する指摘事項に大きな差は認められなかったため、耐空証明書発行の責任をボーイングに戻すことを決めた。ただし、FAAは今後もボーイングの生産システムに対する検査、監査、監視を継続する。

737MAXは、最大席数172~230席の短~中距離路線向け(航続距離5,740~7,040キロメートル)小型ジェット機だ。従来機に比べて燃費や二酸化炭素排出量を約20%削減でき、航続距離の延伸や貨物積載能力の向上が可能となった。墜落事故を受けてFAAは2019年3月に運航停止命令を出したが、2020年11月に解除した(注)。

FAAのブライアン・ベッドフォード長官は声明で、「安全はFAAのあらゆる活動の基盤であり、今回の措置は安全に実施できると確信したからこそ可能になった」と述べた。FAAの検査官は引き続きボーイングの生産体制や品質管理を厳格に監督しつつ、製造工程のより早い段階で潜在的リスクを特定・是正する活動に重点を置くと説明した。これに対しボーイングは、「すべての耐空性証明要件に適合する、安全かつ高品質な民間航空機を製造するため、引き続きFAAの監督下で取り組んでいく」と述べた(「ロイター」7月17日)。

(注)運航停止期間中も737MAXの新規受注は継続していた。ボーイングの発表によると、相次いだ墜落事故を受けて2019年の受注機数は年間47機まで落ち込んだが、2025年には591機まで回復した。なお、ボーイングは7月20日、三井住友銀行グループの航空機リース会社であるSMBCアビエーションキャピタル(本社:アイルランド)から同型100機を受注したことを公表している。

(大原典子)

(米国、インドネシア、エチオピア、アイルランド)

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/5306cbd52c2558de.html

時系列

主な数値

FAAによる検証期間 8カ月間
737MAXの燃費・二酸化炭素排出量削減率 20%
737MAXの航続距離 5740~7040キロメートル
737MAXの最大席数 172~230席
737MAXの2019年受注機数 47機
737MAXの2025年受注機数 591機
SMBCアビエーションキャピタルからの受注機数 100機

この事例から確認すべきポイント

今回のFAAによるボーイングへの耐空証明書発行権限の全面的再開は、航空機製造における品質管理と規制当局による監督の重要性を示す事例である。過去の重大事故や生産品質問題による権限停止から、約8カ月間にわたる厳格なデータ検証と、FAAとボーイングが交互に証明書を発行する段階的な運用を経て信頼回復に至ったプロセスは、企業が規制当局との関係を再構築する上での参考となる。特に、FAAが今後も検査、監査、監視を継続すると明言している点は、権限再開後も品質維持への継続的なコミットメントが求められることを示唆する。企業は、一度失った信頼を取り戻すためには、透明性の高い情報開示と、実効性のある改善策の継続的な実施が不可欠であることを再認識すべきである。また、規制当局が権限を委譲する際の検証プロセスや、その後の監督体制のあり方についても示唆を与える。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-23

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