インドネシアとシンガポール、現地通貨決済の枠組み運用を開始
この発表の要点
- インドネシアとシンガポール間でルピアとシンガポール・ドルの現地通貨取引(LCT)の運用が8月31日に開始された。
- 指定クロスカレンシー取引仲介者(ACCD)としてインドネシアの銀行9行とシンガポールの銀行3行が指定された。
- 対米ドル依存度の低減や為替変動リスク・ヘッジコストの低減を狙いとしている。
企業・自治体への影響
インドネシアやシンガポールとの間で貿易や直接投資を行う企業において、決済通貨の選択や為替リスクヘッジの方法に影響を与える可能性がある。特に財務・経理部門や海外事業担当部門において、指定金融機関を通じた決済スキームの確認が必要となる。
対応すべきこと
- インドネシア・シンガポール間の取引における決済スキームや指定金融機関の確認を行う
- 財務・経理部門において為替変動リスクやヘッジコストへの影響を評価する
- 公式出典や最新の現地規制情報を継続的に確認する
対象部門: 経営者 総務 法務 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 金融 |
| 発表日 | 2026-09-02 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年09月02日
インドネシア中央銀行(BI)とシンガポール通貨金融庁(MAS)は8月31日、両国間の取引でルピアとシンガポール・ドルを直接使用する現地通貨取引(LCT)の枠組みの運用を開始した(8月31日付BIプレスリリース)。BIとMASは、指定クロスカレンシー取引仲介者(ACCD)として、インドネシアの銀行9行、シンガポールの銀行3行(注)を指定した。経常取引や直接投資などの決済に対応するとしている。
BIとMASは2022年8月にLCT導入に向けた覚書(MOU)を締結し、2026年4月に運用ガイドラインで合意していた。今回の運用開始は、この合意を踏まえた実施段階への移行に当たる。BIは運用開始に先立ち、8月14日付で2026年理事会構成員規則第25号を施行した。
BIがLCTを推進する背景には、対米ドル依存度を低減する狙いがある。BIは7月の理事会後の会見で、貿易・投資での現地通貨利用が対米ドル需要を抑え、国内の外国為替市場の厚みを増すとの見方を示していた(7月22日付「リプタン」)。また、BI金融市場深化局のルース・チュソイ・インタマ局長は、世界的な不確実性が高まり、国際取引システムにおける米ドルの優位が続く中で、LCT協力の強化が一段と重要になっていると指摘した(5月23日付「コンタン」)。
LCT枠組みは、両国通貨の直接相場(クロスレート)の普及を軸とし、第三国通貨を介さない決済を可能にする。BIとMASは、為替変動リスクとヘッジコストの低減につながるとの見方を示した。インドネシアは中国、マレーシア、タイなどとも同様の枠組みを運用している。
BIは8月14日、中国との人民元建てLCT枠組みも改正し、2026年理事会構成員規則第24号を施行した。インドネシア国内の人民元需要は2026年7月時点で389億米ドル相当に達し、BIの年間想定にほぼ到達するペースで拡大している(8月19日付「アンタラ」)。
(注)インドネシアのBCA(バンク・セントラル・アジア)、バンクCIMBニアガ、バンクDBSインドネシア、バンク・マンディリ、バンク・メイバンク・インドネシア、バンク・ヌガラ・インドネシア(BNI)、バンクOCBC NISP、東ジャワ州地方開発銀行(バンク・ジャティム)、バンクUOBインドネシアと、シンガポールのDBS銀行、OCBC銀行、UOB銀行が指定された。
(大滝泰史)
(インドネシア、シンガポール、中国)
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インドネシアとシンガポール、現地通貨決済の枠組み運用を開始
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/baa1893c3f7f9c2e.html
時系列
- 2022-08-01 BIとMASがLCT導入に向けた覚書(MOU)を締結
- 2026-04-01 BIとMASが運用ガイドラインで合意
- 2026-08-14 BIが2026年理事会構成員規則第25号を施行
- 2026-08-31 インドネシアとシンガポール間の現地通貨取引(LCT)枠組みの運用を開始
主な数値
| 指定されたインドネシアの銀行数 | 9行 |
|---|---|
| 指定されたシンガポールの銀行数 | 3行 |
| 中国との人民元建てLCT枠組みにおけるインドネシア国内の人民元需要(2026年7月時点) | 389億米ドル相当 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、インドネシアとシンガポール間における現地通貨取引(LCT)枠組みの運用開始に関するものであり、両国通貨を直接使用することで対米ドル依存度の低減や為替変動リスク・ヘッジコストの抑制を図る動きを示している。指定クロスカレンシー取引仲介者(ACCD)として両国の計12行が選定されている。インドネシアやシンガポールとの間で貿易や直接投資を行う企業にとっては、決済通貨の選択肢や為替管理戦略に影響を与える可能性があるため、指定金融機関を通じた決済スキームの確認や実務上の変更点について情報収集を行うことが重要となる。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-09-02
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