経済・産業トレンド

AI普及で水需要増、半導体やデータセンター向け産官学の同盟設置へ

シンガポール公益事業庁(PUB)は、AI普及に伴うデータセンターや半導体プラントの水需要増大に対応するため、産業界や大学と産業用水ソリューション(IWS)イノベーション・エコシステム同盟の設置に向けた覚書(MOU)を締結しました。6月17日にはデータセンター向け、18日には半導体向けにそれぞれMOUが署名され、産官学連携でテクノロジーを活用した解決を目指します。また、研究開発(R&D)5カ年計画「RIE2030」の下、産業用水ソリューションの研究開発に1,200万シンガポール・ドルが拠出されることも発表されました。

この発表の要点

企業・自治体への影響

シンガポールで事業を展開するデータセンター事業者や半導体製造企業は、AI普及に伴う水需要増大と、それに対応するための産官学連携の動きを注視し、水利用効率化技術への投資やサプライチェーンにおける水リスク管理を強化する必要があります。水処理技術や環境ソリューションを提供する企業にとっては、新たな市場機会が創出される可能性があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 情シス 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 シンガポール公益事業庁(PUB)
業界 半導体・データセンター・水処理
発表日 2026-06-25
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月25日

シンガポール公益事業庁(PUB)は6月17~18日、データセンターと半導体業界に特化した産業用水ソリューション(IWS)イノベーション・エコシステム同盟の設置に向け、産業界や大学と覚書(MOU)を締結した。人工知能(AI)普及拡大に伴うデータセンターや半導体プラントの設置拡大によって生じる水資源に関する課題について、産官学連携でテクノロジーを活用した解決を目指す。

MOUは、水処理関連の国際イベント「第11回シンガポール国際ウォーター・ウィーク(SIWW2026、6月16~18日)」の一環として開催された、産業用水ソリューション・フォーラムで署名された。PUBのグルデブ・シン最高エンジニアリング・技術責任者はフォーラムで、国内の水需要に占める非家庭用水の割合が現在の55%から、2065年までに3分の2へ拡大すると述べた。データセンターのサーバー冷却や半導体製造工程での洗浄には大量の水が必要となる。AI普及に伴い、データセンターや半導体プラントの設置が加速し、水需要も急拡大する見通しだ。シンガポール水協会(SWA)の理事を務めるチャールズ・ゴー氏は、「水は基本的な公共インフラから戦略物資へと変化している」と強調した。

PUBは6月17日、シンガポール国立大学(NUS)の持続可能な熱帯データセンター・テストベッド(STDCT、注1)、SWA、テック企業の業界団体「SGテック」と、データセンター向け産業用水ソリューション・イノベーション・エコシステム同盟の設置に向けたMOUを締結した。また、6月18日には、SWA、南洋工科大学(NTU)の分離技術応用研究センター(START)、シンガポール半導体工業会(SSIA)と半導体向け同盟設置でMOUに署名した。

PUB、SWA、STDCT、SGテックの6月17日のMOU署名式。SWAのゴー氏(左端)、PUBのシン最高エンジニアリング・技術責任者(左から2人目)(ジェトロ撮影)

半導体やデータセンター向け水技術研究に1,200万Sドル
ガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は6月16日、2030年までの研究開発(R&D)5カ年計画「研究・イノベーション・エンタープライズ2030年計画(RIE2030、注2)」の下、産業用水ソリューションの研究開発に向けた初期資金として1,200万シンガポール・ドル(約15億円、Sドル、1Sドル=約125円)を拠出すると発表した。同資金は、半導体ウエハー製造およびデータセンター向けの水利用技術に関する研究へ優先的に投入される予定だ。

(注1)STDCTは、高温多湿の熱帯環境における持続可能なデータセンター技術の開発を目的に、NUSキャンパス内に2023年11月に設置された、NUSとNTUによる検証施設。
(注2)RIE2030は、2026年4月~2030年3月までを対象とする国家R&D振興5カ年計画(2025年12月12日記事参照)。

(本田智津絵)

(シンガポール)

ビジネス短信 0fb96db6f6530565

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AI普及で水需要増、半導体やデータセンター向け産官学の同盟設置へ

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/0fb96db6f6530565.html

時系列

主な数値

非家庭用水の国内水需要に占める割合(現在) 55%
非家庭用水の国内水需要に占める割合(2065年予測) 2/3割合
産業用水ソリューション研究開発初期資金 12000000Sドル
産業用水ソリューション研究開発初期資金(日本円換算) 15億円
RIE2030計画対象期間 2026年4月~2030年3月期間

この事例から確認すべきポイント

本発表は、AI普及がもたらす産業構造の変化が、水資源という基本的なインフラにまで大きな影響を及ぼしている現状を示唆しています。シンガポールが産官学連携でこの課題に早期から取り組む姿勢は、水資源を「戦略物資」と捉え、国家的な優先課題としていることの表れです。データセンターや半導体製造に関わる企業は、水利用効率化技術への投資や、サプライチェーン全体での水リスク評価を強化する必要があります。特にシンガポール市場で事業を展開する、または計画している企業は、現地の水政策や技術開発動向を継続的にモニタリングし、事業戦略に組み込むことが不可欠です。また、水処理技術や関連ソリューションを提供する企業にとっては、新たな市場機会が生まれる可能性も考えられます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-25

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