中国、重点産業の省エネ・炭素排出削減強化に関する通知を発表、2028年までにCO2を2億トン超削減へ
この発表の要点
- 中国政府は2028年末までに重点産業のエネルギー効率を大幅に引き上げ、CO2排出量を2億トン以上削減する目標を設定した。
- 鉄鋼、電解アルミ、セメントなどの製造業および石炭火力発電に対し、具体的な設備改造や低炭素技術導入を義務付け、未達設備は淘汰・停止する方針。
- 中央政府による補助金、優遇税制、金融支援、電力価格の差別化、炭素排出権取引市場との連携など、多角的な政策支援が提供される。
企業・自治体への影響
中国国内で事業を展開する製造業(特に鉄鋼、非鉄金属、セメント、石油化学、化学、ガラス)および電力供給事業者は、大規模な設備投資と生産プロセスの見直しが求められます。サプライチェーンを通じて関連する日本企業にも影響が及ぶ可能性があります。
対応すべきこと
- 中国の関連法規・政策動向を継続的に監視し、自社の事業への影響を評価する。
- 中国国内の生産拠点におけるエネルギー効率基準達成状況を確認し、2028年末までの改造計画を策定する。
- 政府の補助金、優遇税制、金融支援制度の活用可能性を検討し、専門家と連携して申請準備を進める。
- サプライチェーン上の取引先が本政策の影響を受けるか確認し、リスク評価と対応策を協議する。
対象部門: 経営者 経理 法務 広報
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | 国家発展改革委員会と工業情報化部など5部門 |
|---|---|
| 業界 | 製造業・エネルギー |
| 発表日 | 2026-06-15 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | 中国 |
発表された内容
2026年06月24日
国家発展改革委員会と工業情報化部など5部門は6月15日、「重点産業における省エネルギー・脱炭素改造に向けた3カ年行動に関する通知」を発表した。通知では、第15次5カ年規画の省エネルギー・脱炭素の目標を達成するために、2028年末までに、鉄鋼、電解アルミ、セメント、板ガラス、製油、エチレン、合成アンモニア、メタノールなどの重点産業において、現行のエネルギー効率基準を達成する生産能力の占める割合を平均20ポイント引き上げる。石炭火力発電についても15ポイントの引き上げを目標とし、基準未達の非効率設備は実質的に解消する方針だ。これにより、累計1億トン標準炭(注)以上の省エネルギー実現と、2億トン以上の二酸化炭素(CO2)排出削減を見込む。
具体的には、産業別に次の改造を重点的に推進する。
鉄鋼産業では、高炉、転炉など主要工程・設備における省エネルギー・脱炭素改造に加え、水素冶金(やきん)など低炭素技術の導入を推進する。余熱・副生ガスの回収・利用を強化し、小規模設備や老朽化した設備の改造を加速する。
電解アルミ産業では、大型電解槽〔500キロアンペア(kA)以上〕の普及拡大や、高性能電極などの導入を進めるとともに、300kA未満の設備や小規模のアルミ用炭素材料プロジェクト、老朽・低効率の自家用石炭火力発電ユニットなどの改造を加速する。
セメント産業では、セメントクリンカーの生産など主要工程における省エネルギー・脱炭素改造を推進し、6段プレヒーターや高効率クーラーの導入、キルンの富酸素燃焼システムの改造、原燃料の低炭素化を進めるとともに、年間生産能力60万トン未満の粉砕ステーションなどの改造を加速する。
このほか、板ガラス、石油化学(製油・エチレン)、化学(メタノール・合成アンモニア)分野でも、低炭素技術の導入や設備改造、電化の推進が求められている。石炭火力発電分野では、既設設備の効率向上や調整能力の強化、再生エネルギーとの統合、バイオマス混焼などによる低炭素化を進める。
また、政策面では、中央政府が対象プロジェクトに対し総投資額の20%を上限に補助を行うほか、優遇税制や金融支援を強化する。電力価格については、地域ごとに差別化料金制度に再編し、エネルギー効率や排出水準に応じた価格インセンティブを付与する。
さらに、企業による省エネルギー改造で削減された排出量は、新規「高エネルギー消費・高排出」プロジェクトの排出枠として活用可能とするなど、炭素排出権取引市場との連携も図る。基準未達設備については2028年末までの改造を義務付け、期限までに改造が完了しない、あるいは改造後も基準に満たない場合は規定に基づき淘汰(とうた)・停止とする方針を示した。
(注)異なるエネルギー(石炭・石油・ガス・電力など)を同じ基準で比較するための換算単位。
(宋青青)
(中国)
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中国、重点産業の省エネ・炭素排出削減強化に関する通知を発表、2028年までにCO2を2億トン超削減へ
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/2dfd4274c3ef1bd3.html
時系列
- 2026-06-15 国家発展改革委員会と工業情報化部など5部門が「重点産業における省エネルギー・脱炭素改造に向けた3カ年行動に関する通知」を発表
- 2028-12-31 重点産業におけるエネルギー効率基準達成割合を平均20ポイント、石炭火力発電で15ポイント引き上げ、基準未達の非効率設備を実質的に解消する目標期限。基準未達設備は改造を義務付け、未完了または改造後も基準に満たない場合は淘汰・停止
主な数値
| 重点産業のエネルギー効率基準達成割合引き上げ目標 | 20ポイント |
|---|---|
| 石炭火力発電のエネルギー効率基準達成割合引き上げ目標 | 15ポイント |
| 省エネルギー実現見込み | 1億トン標準炭以上 |
| CO2排出削減見込み | 2億トン以上 |
| 中央政府による補助金上限 | 20% |
この事例から確認すべきポイント
中国政府が発表した「重点産業における省エネルギー・脱炭素改造に向けた3カ年行動に関する通知」は、製造業およびエネルギー産業における大規模な構造転換を促すものです。2028年末までの具体的な数値目標と、基準未達設備への淘汰・停止措置は、企業にとって無視できない強い規制圧力を意味します。補助金、優遇税制、金融支援といった政策インセンティブと、電力価格の差別化、炭素排出権取引市場との連携は、企業の脱炭素投資を加速させるための多角的なアプローチを示しています。特に、削減された排出量を新規プロジェクトの排出枠として活用できる点は、企業が積極的に省エネ改造に取り組む動機付けとなるでしょう。日本企業を含む中国に進出している企業は、この政策の動向を注視し、自社の生産設備やサプライチェーンへの影響を評価する必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-24
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