日本の5月の「原油および粗油」輸入量は前年同月比57.3%減、中東からの輸入量は61.9%減
この発表の要点
- 日本の5月の原油輸入量は中東情勢の影響で大幅に減少したが、調達先の多様化が進んだ。
- 米国からの輸入増加や新規調達先の開拓により、原油の中東依存度が低下した。
- 6月および7月分の原油調達には一定のめどが立っており、短期的な供給不安は緩和されている。
企業・自治体への影響
エネルギー関連企業、特に石油精製・販売業や商社は、原油調達先の多様化やサプライチェーンの安定性確保が引き続き重要な経営課題となります。製造業全般においても、エネルギーコストや供給安定性の動向を注視し、事業計画に反映させる必要があります。貿易関連企業は、中東情勢が貿易全体に与える影響を継続的にモニタリングし、リスク管理を強化することが求められます。
対応すべきこと
- 自社のエネルギー調達状況とサプライチェーンのリスクを再評価する。
- 代替調達先の確保やサプライチェーンの多角化の可能性を検討する。
- 中東情勢や国際的なエネルギー市場の動向に関する最新情報を継続的に収集する。
- 関係部門(調達、経営企画、経理など)と情報共有し、今後の事業戦略やリスク管理方針を協議する。
対象部門: 経営者 経理 広報 総務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | 石油・エネルギー |
| 発表日 | 2026-06-26 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月26日
日本の財務省が6月26日に発表した2026年5月の貿易統計(輸出確報、輸入速報)によると、日本の5月の「原油および粗油」の輸入量は前年同月比57.3%減少の473万キロリットル(kL)だった。このうち、中東(注1)から同品目の輸入量は前年同月比61.9%減少の397万kLだった。
2月末の米国とイスラエルのイランへの攻撃による中東情勢悪化に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、中東との貿易は減少している(2026年6月24日記事参照)。なお、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)ではホルムズ海峡を通らない代替ルートがあるほか、オマーンとはペルシャ湾を通らず貿易が可能だ(2026年5月21日記事参照)。
日本の中東からの輸入額(全品目)は前年同月比42.7%減の5,153億円、中東への輸出額は32.0%減の2,026億円だった。
一方、半導体関連の貿易などが増加し、5月の日本の世界からの輸入額(全品目)では前年同月比12.5%増の9兆8,909億円、日本から世界向けの輸出額は16.8%増の9兆4,991億円となった。また、世界から揮発油の輸入量は13.7%減、液化天然ガスの輸入量は15.1%減にとどまった。
米国からの原油の輸入増加
5月の国別の「原油および粗油」の輸入量を見ると、UAEやサウジアラビアからは前年同月比で減少した。一方、米国からの輸入量が前年同月比24.0%増の58万kL、輸入額では同2.3倍となった。また、前年5月には輸入していなかったオマーン、ロシア、アゼルバイジャン、マレーシアから輸入した(一部の国は前年の他の月の輸入実績あり)。このため、同品目の中東依存度は前年5月の94.1%から、83.9%まで低下した。
5月の日本の「原油および粗油」の国別輸入量と前年同月比増減率は次のとおり。
UAE:272万kL(前年同月比50.0%減)
サウジアラビア:115万kL(72.0%減)
米国:58万kL(24.0%増)
オマーン:9万kL(全増)
ロシア:6万kL(全増)
ブルネイ:5万kL(0.2%減)
アゼルバイジャン:5万kL(全増)
マレーシア:3万kL(全増)
なお、「中東情勢に関する関係閣僚会議(第10回)」の資料によると、日本の6月分の原油輸入は米国などからの調達増加により、前年平月比(注2)8割相当、7月分は10割相当の調達のめどが立ったという。また、石油化学工業協会は5月の石油化学製品生産は前月から増加したと発表した(2026年6月22日記事参照)。
中東情勢と世界各国の動きは「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、ホルムズ海峡や代替ルートなどの状況は「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」も参照。
(注1)財務省貿易統計での中東の定義は、イラン、イラク、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、イスラエル、ヨルダン、シリア、レバノン、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、ヨルダン川西岸とガザを含む。トルコは含まれない。
(注2)「前年同月比」とほぼ同義。季節変動が大きい品目などのデータ系列との比較で用いられることがある。
(井澤壌士)
(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、米国、日本、世界)
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日本の5月の「原油および粗油」輸入量は前年同月比57.3%減、中東からの輸入量は61.9%減
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/ee8b35f46d57e7e4.html
時系列
- 2026-02-29 米国とイスラエルのイランへの攻撃による中東情勢悪化に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖
- 2026-05-21 ホルムズ海峡を通らない代替ルートに関する記事が参照された
- 2026-06-22 石油化学工業協会が5月の石油化学製品生産増加を発表した記事が参照された
- 2026-06-24 中東との貿易減少に関する記事が参照された
- 2026-06-26 日本の財務省が2026年5月の貿易統計(輸出確報、輸入速報)を発表
主な数値
| 日本の5月の「原油および粗油」輸入量 | 473万kL |
|---|---|
| 日本の5月の「原油および粗油」輸入量の前年同月比増減率 | -57.3% |
| 中東からの「原油および粗油」輸入量 | 397万kL |
| 中東からの「原油および粗油」輸入量の前年同月比増減率 | -61.9% |
| 中東からの輸入額(全品目) | 5153億円 |
| 中東からの輸入額(全品目)の前年同月比増減率 | -42.7% |
| 中東への輸出額 | 2026億円 |
| 中東への輸出額の前年同月比増減率 | -32.0% |
| 日本の世界からの輸入額(全品目) | 9兆8909億円 |
| 日本の世界からの輸入額(全品目)の前年同月比増減率 | 12.5% |
| 日本から世界向けの輸出額 | 9兆4991億円 |
| 日本から世界向けの輸出額の前年同月比増減率 | 16.8% |
| 世界から揮発油の輸入量の前年同月比増減率 | -13.7% |
| 液化天然ガスの輸入量の前年同月比増減率 | -15.1% |
| 米国からの「原油および粗油」輸入量 | 58万kL |
| 米国からの「原油および粗油」輸入量の前年同月比増減率 | 24.0% |
| 米国からの「原油および粗油」輸入額の前年同月比増減率 | 2.3倍 |
| 「原油および粗油」の中東依存度(前年5月) | 94.1% |
| 「原油および粗油」の中東依存度(5月) | 83.9% |
| UAEからの「原油および粗油」輸入量 | 272万kL |
| UAEからの「原油および粗油」輸入量の前年同月比増減率 | -50.0% |
| サウジアラビアからの「原油および粗油」輸入量 | 115万kL |
| サウジアラビアからの「原油および粗油」輸入量の前年同月比増減率 | -72.0% |
| オマーンからの「原油および粗油」輸入量 | 9万kL |
| ロシアからの「原油および粗油」輸入量 | 6万kL |
| ブルネイからの「原油および粗油」輸入量 | 5万kL |
| ブルネイからの「原油および粗油」輸入量の前年同月比増減率 | -0.2% |
| アゼルバイジャンからの「原油および粗油」輸入量 | 5万kL |
| マレーシアからの「原油および粗油」輸入量 | 3万kL |
| 日本の6月分の原油輸入調達めど | 8割相当 |
| 日本の7月分の原油輸入調達めど | 10割相当 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、中東情勢の悪化が日本のエネルギー供給に与える影響と、それに対する日本の対応状況を示す重要なデータです。2月末のホルムズ海峡封鎖という地政学リスクに対し、日本が原油調達先の多様化を進め、米国からの輸入増加やオマーン、ロシアなど新規調達先の開拓に成功していることが示されています。これにより、中東依存度が低下し、サプライチェーンのレジリエンス強化に貢献していると評価できます。また、6月、7月の原油調達にめどが立っていることは、短期的な供給不安が緩和されていることを示唆します。一方で、中東情勢は依然として不透明であり、エネルギー資源の安定供給確保に向けた継続的な取り組みと、国際情勢の綿密なモニタリングが引き続き不可欠です。半導体関連の貿易増加が全体の輸出入額を押し上げている点も、日本経済の構造変化を示唆しています。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-26
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