第210回労働政策審議会労働条件分科会 議事録(2026年7月14日)
この発表の要点
- 資金移動業者の口座への賃金支払制度における指定代替口座の必置要件の見直しが議論された。
- 個人情報保護に関する第三者機関認証(プライバシーマークまたはISMS認証)の要件緩和の是非が論点とされた。
- 1円以上1円単位での現金化要件についても議論が行われた。
企業・自治体への影響
賃金のデジタル払いを導入済みまたは検討中の企業は、指定代替口座の運用、個人情報保護体制、現金化要件に関する制度変更の可能性に留意する必要があります。特に、外国人労働者を雇用する企業は、代替口座の要件見直しが実務に影響を与える可能性があります。
対応すべきこと
- 厚生労働省のウェブサイトで、本分科会の今後の議論の進捗を継続的に確認する。
- 賃金デジタル払い制度の要件変更が自社の賃金支払いシステムや規程に与える影響を評価する。
- 個人情報保護に関する第三者機関認証要件の緩和動向を注視し、自社の情報管理体制を見直す。
- 関係部門(経理、人事、法務、総務)と情報共有し、制度変更への対応方針を検討する。
対象部門: 経営者 総務 法務 人事 経理
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | 厚生労働省 |
|---|---|
| 発表日 | 2026-07-14 |
| 分類 | 制度・法令改正 |
発表された内容
2026年7月14日 第210回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
2026年7月14日 第210回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
労働基準局労働条件政策課
日時
令和8年7月14日(火) 14:00~16:00
場所
AP新橋 Aルーム
(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス 3階)
出席者
公益代表委員
川田委員、神吉委員、黒田委員、首藤委員、原委員、水島委員、山川委員
労働者代表委員
亀田委員、佐藤(好)委員、椎木委員、菅村委員、春川委員、古川委員、松田委員
使用者代表委員
加藤委員、佐藤(晴)委員、鈴木委員、田中委員、田上委員、鳥澤委員、福本委員
事務局
岸本労働基準局長、尾田審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、松本審議官(労災、賃金担当)、松下総務課長、川口労働条件政策課長、西海監督課長、田邉労働条件確保改善対策室長、大野賃金課賃金支払制度業務室長、田上労働条件政策調整官、内村労働関係法課長補佐、下田労働条件企画専門官
議題
(1)資金移動業者の口座への賃金支払制度について
(2)労働市場改革分科会等について(報告事項)
議事
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第210回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の分科会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で開催とさせていただいております。
本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の櫻田あすか委員、使用者代表の兵藤美希子委員、公益代表の安藤至大委員が御欠席と伺っております。
カメラ撮りがありましたら、ここまでとさせていただきます。
○山川分科会長 それでは、早速、本日の議事に入りたいと思います。
議題の(1)は「資金移動業者の口座への賃金支払制度について」ということでございます。事務局から説明をお願いします。
○大野賃金課賃金支払制度業務室長 賃金課でございます。
それでは、私から資料№1「資金移動業者の口座への賃金支払制度について」、御説明させていただきます。
1ページ目を御覧いただければと思います。前回5月13日の労働条件分科会における主な意見をまとめたものです。
制度の見直し(全般)に関する御意見と、破綻時の資産保全要件について項目を分けています。前回の分科会で特に御議論いただいた破綻時の資産保全要件についてですが、制度の中核的要件であり、労働者保護の観点から6営業日以内に口座残高を全額弁済するという要件は重要であり、堅持すべき、また、資金移動業者のコスト削減のみを目的に制度見直しをすべきではないが、資金移動業者が破綻しても6営業日以内に労働者の債権を全額弁済できる確実な方法が別途存在するのであれば分科会で議論してもよいのではないかといった御意見、また、改正資金決済法の直接返還では、破綻時の具体的な弁済期限は定められていないが、賃金のデジタル払いの要件は労働政策審議会の議論を経て賃金支払いの安全性や確実性を担保するために設けた不可欠な要件であり、維持すべき等の御意見を頂きました。
2ページ目をおめくりいただければと思います。本日御議論いただきたい事項を記載しております。
1つ目が指定代替口座の必置要件について、2つ目が、その他の要件として、(1)個人情報の取扱いに係る第三者機関による認証の取得要件、(2)資金移動業者の口座から現金で払出しを行う場合、1円以上1円単位で行えるとしている要件でございます。
3ページ目をおめくりいただければと思います。以降は、本日御議論いただきたい事項に関する制度概要、論点等を記載したものでございます。
まず、指定代替口座の必置要件についてです。制度の概要ですけれども、資金移動業者の口座への賃金支払いを希望する労働者は、口座残高が受入上限額を超えた場合の超過分の送金、また、指定資金移動業者の破綻時における弁済のため、制度利用時にあらかじめ預貯金口座等を登録するとされております。このため、日本の預貯金口座等を開設していない場合、制度利用に当たって預貯金口座等を開設する必要があるところです。
現時点で指定を受けている資金移動業者の口座の受入上限額は、企業により異なりますが、10万円から30万円となっておりまして、この上限額を超えた給与が支払われるケースは十分起こり得る状況になっております。また、資金移動業者の破綻時には、労働者に資金が確実に返還される必要があることも踏まえつつ、送金先の運用を見直す必要があるかといった論点を記載しております。
下の点線囲みは、関連する規制改革実施計画の該当箇所を抜粋したものです。以降のページでこの部分の記載内容に関連する補足説明をさせていただきます。
4ページ目をおめくりください。外国人に対する預貯金口座の開設状況についてまとめたものです。
まず、前提として預貯金口座を開設する場合は、マネー・ローンダリング等の観点から利用者情報を確認することとなりますが、外国人の場合について、一般的には在留カード等の提出を求め、確認しているところです。これらの法令・実務上の取扱いは資金移動業者の口座開設に当たっても同様となります。
日本国内の企業で働く外国人労働者の場合は、必要書類がそろえば日本国内の居住期間にかかわらず預貯金口座の開設が可能となっています。
留学生など労働者以外の外国人の場合であっても、必要書類がそろえば口座開設は可能ですが、日本入国後6か月未満の場合、国内送金が国際送金として取り扱われる等、預貯金口座の機能に一部制限が加わるといったことがある旨、確認しております。
なお、金融庁から金融機関に対しては、外国人顧客対応の優良事例等の周知、マニュアル等の整備を求めるなど、外国人口座開設等に関する取組を進めていると承知しております。
また、下のグラフは、民間企業の調査ではございますが、在留外国人に対する預貯金口座の開設状況に関する回答です。預貯金口座を開設していないと回答した割合は本調査では0.3%でございます。
続きまして、5ページ目を御覧ください。資金の送金先に関する補足あるいは前提といたしまして、外国人労働者が保有する海外の銀行口座への賃金支払いについて現行制度の状況を説明するものです。
まず、労働基準法では、賃金の通貨払いの原則を定めた上で、同法施行規則において銀行その他の金融機関に対する預貯金の振込が認められております。ここで銀行とは、銀行法の免許を受けた銀行を指しておりまして、この中には日本国内で銀行業を営んでいない外国銀行は含まれないことから、日本に居住する外国人の賃金支払いに当たって、外国の銀行口座を利用する場合には、日本国内で銀行業を営む外国銀行の国内支店に対する振込のみが認められているところでございます。
続きまして、6ページ目を御覧いただければと思います。ATMによる現金受取サービスについての説明です。
一部の資金移動業者では、提携する銀行のATMから現金を受け取ることができるサービスを提供しておりまして、銀行口座を開設していない利用者であっても、メールアドレス等に届いた認証番号の情報等によりまして、現金を受け取ることが可能となっております。このように、銀行口座を保有しない利用者の方も含めて現金受取の選択肢となっているサービスでありますが、ここに記載しておりますとおり、例えば受取上限として数万円から数十万円の上限が設定されていること、受取期限として数日から数十日の受取期限が設定されていること、サービスを提供する企業が破綻した場合の保護の取扱いについて資金決済法に基づき資金が返還されることなど、預貯金口座と異なる取扱いとなっている面があるところです。
以上、指定代替口座の運用先の御議論に当たっての補足説明でございます。
続きまして、7ページ目を御覧いただければと思います。ここからは2つ目の課題のその他の要件について、補足となる制度説明や論点を記載したものです。
1つ目が、個人情報の取扱いに係る第三者機関による認証です。
まず、前提といたしまして、資金移動業者は、個人情報保護法令等に基づきまして、利用者情報の安全管理措置等を講じることとされております。個人情報の取扱いに関して法令上求められる措置は銀行と同様となっております。
その上で、資金移動業は銀行業と異なり、他業との兼業禁止規制がない中で、賃金の受取、決済、送金といった個人情報が扱われるようになることを踏まえ、ガイドラインではプライバシーマークまたはISMS認証のいずれかを取得することを要件としているところです。この要件については、プライバシーマークを取得していないので申請は検討していないといった資金移動業者の声があったことを受けまして、規制改革実施計画においては、第三者機関による認証を求めないということについて見直しの要否を含め検討することとされております。
論点としましては、銀行の場合、賃金支払いに当たって同様の要件は設けられていないことを踏まえ、本要件を緩和することについてどう考えるか、また、制度創設時の御議論においては、プライバシーマークまたはISMS認証等を取得していることを要件とすることについて了承いただいた経緯がございますけれども、必ずしもプライバシーマークまたはISMS認証に限定しないとしても、引き続き、これらに準じた個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備していることの第三者機関認証を求めることについてどう考えるか、記載しております。
次に、8ページ目を御覧いただければと思います。その他の要件の2つ目、1円以上1円単位での現金化の論点につい
出典: 厚生労働省
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75380.html
時系列
- 2026-07-14 第210回労働政策審議会労働条件分科会が開催されました。
- 2026-05-13 前回の労働条件分科会が開催され、主な意見がまとめられました。
主な数値
| 資金移動業者の口座受入上限額 | 10万から30万円 |
|---|---|
| 預貯金口座を開設していない在留外国人の割合 | 0.3% |
| ATM現金受取サービスの上限 | 数万から数十万円 |
| ATM現金受取サービスの受取期限 | 数日から数十日日 |
この事例から確認すべきポイント
労働政策審議会労働条件分科会では、資金移動業者の口座への賃金支払制度に関する重要な議論が進行中であり、既存の要件見直しが検討されています。特に、指定代替口座の必置要件、個人情報保護に関する第三者機関認証の要件緩和、および1円単位での現金化要件は、賃金デジタル払いの普及と労働者保護のバランスを考慮する上で重要な論点です。企業は、これらの議論の動向を注視し、将来的な制度変更に備える必要があります。特に、外国人労働者を雇用する企業や、資金移動業者との連携を検討している企業は、要件変更が実務に与える影響を早期に評価し、社内規定やシステム対応の準備を進めるべきです。個人情報保護に関する要件緩和の議論は、企業が個人情報管理体制を再確認する機会となります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-07
関連事例
- 第76回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会
- 第6回労働基準法における「労働者」に関する研究会 議事録
- 第130回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料
- 第262回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)を開催します
- 平成30年食品衛生法改正の施行後5年を目途とした検討のとりまとめ
自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?
無料でプレスリリースを掲載する