英国とスイス、自由貿易協定(FTA)交渉で妥結
この発表の要点
- 英国とスイス間でサービス分野を拡大する自由貿易協定が妥結した。
- データ流通の自由化、電子取引の促進、サービス業従事者の移動円滑化が盛り込まれている。
- ライフサイエンス産業のデータ保護期間維持やクリエイティブ産業の著作権保護も含まれる。
企業・自治体への影響
本協定は、英国とスイス間で事業を展開するサービス業、ライフサイエンス、クリエイティブ産業、通信業の企業に直接的な影響を与える。特に、サービス輸出入を行う企業は市場アクセスが改善され、人材派遣を行う企業は従業員の移動が円滑化される。データ関連事業者はデータ流通の自由化の恩恵を受ける可能性がある。
対応すべきこと
- 自社の事業が本協定の対象となるか、公式出典で詳細を確認する。
- サービス輸出入、人材派遣、データ流通、知的財産管理に関わる部門へ協定内容を共有する。
- 協定によるビジネスチャンスや新たな規制環境への適応策を検討する。
- ローミング料金の変更など、通信関連の規定が自社サービスに与える影響を評価する。
対象部門: 経営者 法務 広報 経理 人事 情シス
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 英国政府 |
|---|---|
| 業界 | サービス業 |
| 発表日 | 2026-07-13 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月30日
英国政府は7月13日、スイスとの自由貿易協定(FTA)に関する交渉が妥結したと発表した。この協定は、1972年に締結されたEU・スイス協定に基づく既存の物品に焦点を当てた英国・スイス間の協定を、さらにサービス分野などでの取引拡大のために発展させたものだ。
国家統計局(ONS)によると、英国の経済活動の81%、雇用の83%をサービス業が占めている。本協定により、英国からスイスへのサービス輸出が年間52億ポンド(約1兆1,388億円、1ポンド=約219円)増加すると見込まれている。主な合意内容は次のとおり。
データの自由な流通に対する制限を将来導入しないことも保証する。電子契約、電子署名、電子請求書に関する最新の規定を導入し、電子送信に対する関税を課さない。
英国(注1)のサービス業従事者は、年間最大90日間、ビザを取得することなく、スイスで専門サービスを提供することが可能になる。また、英国企業は最大5年間、従業員を英国拠点からスイス拠点へ派遣すること、および特定のサービス分野でスイス人材を最大3カ月間、英国で勤務させることが可能になる。
両国は相手国で、追加のローミング料金を支払うことなく、携帯電話を利用できるようにする。また、卸売料金の上限設定など、ローミングに関連するさらなる規定を盛り込むとともに、通信事業者に対する保護措置も盛り込む。
そのほか、輸出手続きの負担軽減、許認可・資格認定プロセスの簡素化、およびデジタル決済の導入などを通じて、英国企業のスイス市場への参入をより容易にする。また、英国企業のスイス子会社に対して、スイス国民の雇用や上級管理職・取締役の国籍要件を、将来的に課さないことを約束した。さらに、両国の産官学の代表が一堂に会する「イノベーション作業部会」が設置され、ビジネスチャンスの特定、新たな課題への対応、2国間貿易関係の将来像構築に取り組む。
加えて、英国は、現行の10年間の規制データ保護(RDP、注2)期間および最大5年間の補充的保護証明書(SPC、注3)の保護期間を維持する。これにより、医薬品などライフサイエンス産業のイノベーションを支援する。また、強力な著作権保護も規定しており、英国のクリエーターなどクリエーティブ産業をスイスで保護する。
(注1)英国の海外領土ジブラルタルも含む。
(注2)企業の臨床試験データを一定期間保護し、他社によるジェネリック医薬品の市場参入を制限することで、新薬開発企業による研究開発投資の回収を支援する制度。8年間のデータ独占権と10年間の市場独占権で構成されている。
(注3)英国で医薬品を販売するために必要な規制当局の承認取得に時間を要することで実質的に短縮される特許保護期間を補う制度。
(バリオ純枝)
(英国、スイス)
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EPA/FTA、WTO
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英国とスイス、自由貿易協定(FTA)交渉で妥結
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/f8c7faac3a9a77f2.html
時系列
- 2026-07-13 英国政府がスイスとの自由貿易協定(FTA)交渉の妥結を発表
主な数値
| 英国の経済活動におけるサービス業の割合 | 81% |
|---|---|
| 英国の雇用におけるサービス業の割合 | 83% |
| 英国からスイスへのサービス輸出増加見込み額 | 52億ポンド |
| 英国からスイスへのサービス輸出増加見込み額(円換算) | 11388億円 |
| サービス業従事者のビザなし滞在可能期間(年間) | 90日間 |
| 英国企業による従業員派遣可能期間(スイス拠点へ) | 5年間 |
| スイス人材の英国勤務可能期間(特定のサービス分野) | 3カ月間 |
| 規制データ保護(RDP)期間 | 10年間 |
| 補充的保護証明書(SPC)保護期間 | 5年間 |
この事例から確認すべきポイント
英国とスイスのFTA妥結は、特にサービス分野における国際貿易の新たなモデルを示すものと言える。英国経済におけるサービス業の重要性を鑑みると、本協定は英国の経済成長戦略において中核的な役割を果たす可能性がある。データの自由な流通の保証や電子取引に関する規定は、デジタル経済時代における貿易協定の標準となりつつあり、他国との将来的な協定にも影響を与えるだろう。また、サービス業従事者の移動の自由化や企業による従業員派遣の柔軟化は、グローバルな人材流動性を高め、企業の国際展開を支援する。ライフサイエンスやクリエイティブ産業における知的財産保護の維持は、これらの高付加価値産業のイノベーションを促進し、国際競争力を維持する上で重要である。企業は、自社の事業が本協定の恩恵を受けられるか、または新たな規制環境への適応が必要かを詳細に確認する必要がある。特に、サービス輸出入、人材派遣、データ流通、知的財産管理に関わる部門は、協定の詳細を精査し、ビジネスチャンスの最大化やリスクの最小化に向けた戦略を立案することが求められる。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-30
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