5月の郷里送金受取額、過去最高水準に到達
この発表の要点
- 2026年5月のパキスタンへの海外送金受取額は43億ドルで、単月として過去最高水準に達した。
- 湾岸諸国(サウジアラビア、UAE)が送金全体の約47%を占め、主要な資金供給源となっている。
- 海外送金はパキスタンの対外収支を支える重要な要素であり、政府の政策誘導や中東での労働力需要、デジタル送金の普及が背景にある。
企業・自治体への影響
パキスタン経済の安定化に寄与するこの動向は、パキスタンと貿易・投資関係を持つ企業、中東地域への労働者派遣や関連事業を展開する企業、および国際金融機関にとって、事業環境やリスク評価に影響を与える可能性があります。特に、外貨収入の安定は輸入コストや為替レートに影響を及ぼすため、関連するサプライチェーンや金融取引に間接的な影響が生じ得ます。
対応すべきこと
- パキスタン経済動向に関心のある企業は、本発表内容を経営企画部門や海外事業部門で共有し、事業戦略への影響を検討する。
- 中東地域への労働者派遣や関連事業を行う企業は、送金動向が労働市場や経済に与える影響を注視し、事業計画に反映させる。
- パキスタンとの貿易・投資を行う企業は、外貨収入の安定化が事業環境に与える影響を評価し、リスク管理体制を確認する。
対応優先度: 中 パキスタンの主要な外貨収入源である海外送金が過去最高水準に達したという経済動向であり、関連企業にとっては事業環境を理解する上で中程度の重要性があるため。
対象部門: 経営者 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | パキスタン中央銀行(SBP) |
|---|---|
| 業界 | 経済 |
| 発表日 | 2026-06-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月16日
パキスタン中央銀行(SBP)は6月10日、5月の海外送金(郷里送金)受取額が、前年同月比15.4%増の43億ドルになったと発表した。前月比でも20.2%増と大幅な伸びを記録した。2025年7月から2026年5月までの累計では381億ドルに達し、前年同期の349億ドルを9.2%上回り、郷里送金が変わらず増加傾向にあることを示した。
湾岸諸国は送金全体の半分近くを占める主要な資金供給源
送金元では、サウジアラビアがトップの約10億2,500万ドル、続いてアラブ首長国連邦(UAE)が約10億660万ドルと、前月に続き2カ国で全体の半分近い約47%を占めた。続いて、英国の約6億4,550万ドル、米国の約3億4,980万ドルとなった。
5月海外送金受取額の43億ドルは単月で過去最高水準に達しており、海外在留パキスタン人による送金が引き続き同国の対外収支を支える重要な要素となっている。送金上位国は従来からパキスタンの送金基盤の中核を担っており、とりわけ湾岸地域への労働者依存構造があらためて確認される結果となった。
月次データをみると、海外送金額は、2024年12月以降は30億ドルを下回ることなく推移しており、おおむね月ごとの輸出歳入を上回っている(注)。足元では2026年4月の35億ドル台から5月には40億ドル超へと急増するなど、犠牲祭と呼ばれるイスラム教の宗教祝日(5月26~28日)の季節要因も反映した上振れが確認される。
パキスタンの郷里送金は、政府による送金インセンティブなどの政策誘導や、中東地域でのインフラ開発などに係る底堅い労働力需要を背景に、近年増加傾向を維持している。また、2020年以降コロナ禍で人々の海外往来が困難になったことを契機に、出稼ぎ労働者によるデジタル送金が普及したことで、送金の見える化が進んだ事実もある。2026年5月の送金額が過去最高額に達したのみならず、この傾向が続けば2025/26年度(2025年7月~2026年6月)通期でも過去最大規模に迫る見通しだ。郷里送金は外貨収入の柱として、同国経済の安定に引き続き重要な役割を果たすことが見込まれる。
(注)パキスタンの2026年4月の輸出歳入は約24億8,000万ドル(暫定値)。
(糸長真知)
(パキスタン)
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ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
5月の郷里送金受取額、過去最高水準に到達
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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/53a3943f3d0e5b03.html
時系列
- 2024-12 海外送金額が30億ドルを下回ることなく推移
- 2025-07 2025/26年度の開始
- 2026-04 パキスタンの輸出歳入が約24億8,000万ドル(暫定値)
- 2026-05 海外送金受取額が43億ドルに達し、単月で過去最高水準を記録
- 2026-05-26 イスラム教の宗教祝日「犠牲祭」開始
- 2026-05-28 イスラム教の宗教祝日「犠牲祭」終了
- 2026-06-10 パキスタン中央銀行(SBP)が5月の海外送金受取額を発表
- 2026-06-16 本発表日
主な数値
| 2026年5月の海外送金受取額 | 43億ドル |
|---|---|
| 2026年5月の海外送金受取額(前年同月比) | 15.4%増 |
| 2026年5月の海外送金受取額(前月比) | 20.2%増 |
| 2025年7月~2026年5月の累計海外送金受取額 | 381億ドル |
| 2025年7月~2026年5月の累計海外送金受取額(前年同期比) | 9.2%増 |
| サウジアラビアからの送金額(2026年5月) | 10.25億ドル |
| アラブ首長国連邦(UAE)からの送金額(2026年5月) | 10.066億ドル |
| 英国からの送金額(2026年5月) | 6.455億ドル |
| 米国からの送金額(2026年5月) | 3.498億ドル |
| 湾岸諸国からの送金割合(2026年5月) | 47% |
| 2026年4月のパキスタン輸出歳入(暫定値) | 24.8億ドル |
この事例から確認すべきポイント
パキスタンへの海外送金が単月で過去最高水準に達したことは、同国の対外収支を支える重要な要素としての役割を改めて浮き彫りにしています。特に湾岸諸国からの送金が全体の約半分を占めることから、中東地域への労働者依存構造が継続していることが確認できます。政府による送金インセンティブ政策や中東でのインフラ開発に伴う労働力需要、さらにはコロナ禍を契機としたデジタル送金の普及が、この増加傾向を後押ししていると分析されます。月次データでは輸出歳入を上回る水準で推移しており、犠牲祭のような季節要因も影響していることが示唆されています。この傾向が続けば、2025/26年度通期でも過去最大規模に迫る見通しであり、パキスタン経済の安定化に不可欠な外貨収入源としての重要性が高まっています。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-16
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