産業界、新自動車政策の慎重な対応求める声明を発出
この発表の要点
- パキスタン政府は、EV化推進と国内製造基盤強化を柱とする新自動車政策を策定中である。
- 政府内で検討されている完成車・部品の関税引き下げに対し、国内自動車産業界はサプライチェーン毀損への懸念を表明している。
- パキスタン日本ビジネスフォーラム(PJBF)は、安定的かつ予見可能な政策枠組みの維持を求め、慎重な政策運営を求める声明を発出した。
企業・自治体への影響
パキスタンで自動車関連事業を展開する企業、特に製造業や部品サプライヤーは、新自動車政策における関税見直しが事業環境に与える影響を注視する必要があります。政策変更は、現地調達戦略、サプライチェーン、およびコスト構造に直接的な影響を及ぼす可能性があり、経営層、経理、調達部門、法務部門は関連情報を継続的に確認し、対応を検討する必要があります。
対応すべきこと
- パキスタン政府の新自動車政策に関する公式発表を継続的に確認し、詳細情報を収集する。
- 自社の事業が関税政策の見直しによって受ける影響について、リスク評価を実施する。
- パキスタンの業界団体やビジネスフォーラム(PJBFなど)を通じて、政策策定プロセスへの意見表明の機会を探る。
- 関係部門(経営層、経理、調達、法務、広報など)と情報を共有し、潜在的な影響と対応策について協議する。
対応優先度: 中 パキスタン政府の新自動車政策は、関税見直しを通じて国内自動車産業およびサプライチェーンに中長期的な影響を与える可能性があり、関連企業は動向を注視し対応を検討する必要があるため。
対象部門: 経営者 法務 経理 広報
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(JETRO) |
|---|---|
| 業界 | 自動車製造 |
| 発表日 | 2026-06-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月16日
パキスタン政府は、近く発表予定の2026/2027年度(2026年7月~2027年6月)連邦予算と並行して、「自動車産業発展・輸出政策(AIDEP)2021-26」の後継となる新政策の策定を進めている。ムハンマド・イスハーク・ダール副首相の主導の下、ハイレベル会合や専門小委員会を通じた関係者協議が継続されており、政策内容は最終調整局面にある。
新政策は、電気自動車(EV)への移行加速、国内製造基盤の強化、輸出拡大、雇用創出を柱とし、2030年までに新車販売に占めるEVおよび新エネルギー車の比率を30%へ引き上げるという野心的な目標を掲げている。この背景には、輸入燃料依存の低減や外貨節約といったマクロ経済上の従前からの課題に加え、中東情勢の不透明化に伴うエネルギー価格高騰への対応がある。
一方で、政策の具体的手段、特に関税政策の見直しをめぐっては、政府内外で見解の相違が生じている。テックジュース、ガルフニュースなど複数メディアによる地元報道によれば、政府内では完成車(CBU)や自動車部品に対する関税の大幅引き下げが検討されているが、これに対し自動車製造業者協会(PAMA)、自動車部品製造者協会(PAAPAM)など国内産業界が強い懸念を示している。これまで国内自動車産業は、現地調達率の向上とともに雇用創出にも寄与してきたが、急な関税合理化が進み部品などの輸入が増加すれば、産業基盤やサプライチェーンの毀損(きそん)につながりかねない、との指摘だ。
こうした状況の中、パキスタン日本ビジネスフォーラム(Pakistan Japan Business Forum、PJBF、注)は6月11日、輸入完成車や現地化部品と同等の輸入部品に対する急激な関税引き下げが、国内製造業およびサプライチェーン全体に深刻な影響を及ぼし得るとして、地元各紙を通じ慎重な政策運営を求める声明を発出した。ムルタザ・マンドビワラPJBF会長は、日本企業を含む長年の投資により形成された製造基盤や技術移転、人材育成の成果について言及し、「安定的かつ予見可能な政策枠組みの維持が不可欠である」と強調した。新自動車政策をめぐっては、政府がEV化の推進と既存産業の保護・育成の間で、バランスをいかに確保するかが重要な論点となっている。
PJBFのムルタザ・マンドビワラ会長(ジェトロ撮影)
(注)PJBFは2001年設立。日本・パキスタン間の貿易・投資促進およびビジネス交流の強化を目的とする、パキスタンに拠点を置く民間組織。日本・パキスタン両国の企業を含む約140社が加盟。
(糸長真知)
(パキスタン)
ビジネス短信 a1586c685fcd3029
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産業界、新自動車政策の慎重な対応求める声明を発出
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/a1586c685fcd3029.html
時系列
- 2001 パキスタン日本ビジネスフォーラム(PJBF)が設立
- 2026-06-11 パキスタン日本ビジネスフォーラム(PJBF)が新自動車政策に関する慎重な政策運営を求める声明を発出
- 2026-06-16 日本貿易振興機構(JETRO)が本記事を公開
主な数値
| 新車販売に占めるEVおよび新エネルギー車の比率目標 | 30% |
|---|---|
| パキスタン日本ビジネスフォーラム(PJBF)の設立年 | 2001年 |
| パキスタン日本ビジネスフォーラム(PJBF)の加盟企業数 | 140社 |
| 新自動車政策の対象期間 | 2026/2027年度 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、パキスタン政府が推進する新自動車政策の策定過程において、国内産業界が抱える懸念を浮き彫りにしています。特に、電気自動車(EV)への移行加速という国家目標と、既存の国内製造基盤およびサプライチェーンの保護・育成との間で、政策的なバランスをいかに取るかが重要な論点です。政府が検討しているとされる関税政策の見直しは、完成車や部品の輸入増加を招き、現地調達率の向上や雇用創出に貢献してきた国内産業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。パキスタン日本ビジネスフォーラム(PJBF)の声明は、日本企業を含む長年の投資によって築かれた製造基盤や技術移転、人材育成の成果を守るため、安定的かつ予見可能な政策枠組みの維持を強く求めています。企業は、新興国における政策変更がサプライチェーンや事業環境に与える影響を常に注視し、政府や業界団体との対話を通じて自社の意見を表明する重要性を再認識すべきです。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-15
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