米AIデータセンターの電力供給制約解消に向け、日立など12社が連携
この発表の要点
- ジブランドイ財団がAIデータセンター向け電力インフラ構築のため「データセンター・パワー連合」を発足。
- 日立製作所を含む12のエネルギーパートナーが参加し、発電・蓄電・送電とコンピューティングを一体的に設計する「電力共同開発」を推進。
- AIの急速な普及に伴う電力需要増加と供給制約が背景にあり、電力確保までのリードタイム短縮を目指す。
企業・自治体への影響
AIデータセンターを運営・計画する企業や、電力供給に関わるエネルギー関連企業にとって、新たな連携モデルや技術動向を把握する上で重要です。特に、米国での事業展開を検討する企業は、電力供給制約への対応策を考慮する必要があるでしょう。
対応すべきこと
- AIデータセンター関連事業を展開する企業は、本連合の動向を継続的に注視する。
- 電力インフラの設計・構築に関わる部門は、分散電源統合や「電力共同開発」の概念を検討する。
- 米国でのデータセンター事業展開を計画している企業は、電力供給制約への対応策を事前に調査する。
対象部門: 経営者 情シス 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジブランドイ財団 |
|---|---|
| 業界 | IT・ソフトウェア |
| 発表日 | 2026-07-02 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月02日
米国シリコンバレーのインキュベーターであるジブランドイ財団は6月30日、人工知能(AI)データセンター向け電力インフラの構築を目的とした「データセンター・パワー連合(Data Center Power Coalition)」の発足を発表した。日立製作所を含む12のエネルギーパートナー(注1)で構成され、発電・蓄電・送電とコンピューティングを一体的に設計する「電力共同開発(Power Co-Development)」を推進する。
背景には、AIの急速な普及に伴う電力需要の増加がある。米エネルギー省(DOE)傘下のローレンス・バークレー国立研究所は、米国のデータセンターの電力消費量が2030年に649テラワット時(TWh)に達し、米国全体の電力消費の11.8%を占める可能性があると予測している。これは、AI向けサーバーやAIチップの導入拡大を含む将来のデータセンター設備計画を織り込んだ推計だ。このような需要増加を受け、米国ではデータセンター向け電力の確保が重要な課題となっている。AIインフラ拡大の最大のボトルネックは電力で、新規発電容量の開発は電力制約の影響を受けている。同連合は、太陽光発電や蓄電池などの分散電源を含む電源インフラをデータセンター設計段階から統合することで、電力確保までのリードタイムを数年から数カ月へ短縮することを目指している。
日立のデータセンター事業部門責任者でチーフビジネスオフィサー(CBO)のKJ・ジョシ氏は「データセンターの電力問題は単独企業では解決が難しい。エネルギーエコシステム全体の連携により、AIが求めるスピードと規模で信頼性の高いクリーン電力の供給を目指す」と語った(アクセスニュースワイア6月30日)。
ハイパースケーラー(注2)各社も、自社での長期的な電力確保などを進めている(2025年6月17日記事参照)。AIデータセンターインフラを構築するクルーソー(本社:コロラド州デンバー)が、リチウムイオン電池のリサイクルなどを行うレッドウッド・マテリアルズ(本社:ネバダ州カーソンシティ)の蓄電池を活用し、電源と一体で設計したAIデータセンターの開発を推進する事例もみられる(2025年6月30日記事参照)。
(注1)12社は、アンパーサンド(Amperesand)、ディージー・マトリックス(DG Matrix)、エメラルドAI(Emerald AI)、フロレント(florrent)、グリッドケア(GridCARE)、ハンマーヘッドAI(Hammerhead AI)、ハンファ・データセンターズ(Hanwha Data Centers)、日立、ニューラルワット(NeuralWatt)、プランテッド・ソーラー(Planted Solar)、スケルトン・テクノロジーズ(Skeleton Technologies)、ボルタス(Voltus)。
(注2)大規模なデータセンターを運営し、人工知能(AI)などを含むクラウドサービスを提供する事業者。
(芦崎暢)
(米国、日本)
ビジネス短信 c7136d80d83e59c1
関連情報
dummy
もっと見る
ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
米AIデータセンターの電力供給制約解消に向け、日立など12社が連携
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/c7136d80d83e59c1.html
時系列
- 2026-06-30 ジブランドイ財団が「データセンター・パワー連合」の発足を発表
- 2025-06-17 ハイパースケーラー各社が自社での長期的な電力確保などを進めている(記事参照)
- 2025-06-30 クルーソーがレッドウッド・マテリアルズの蓄電池を活用し、電源と一体で設計したAIデータセンターの開発を推進する事例がみられる(記事参照)
主な数値
| 参加企業数 | 12社 |
|---|---|
| 予測電力消費量(2030年、米国データセンター) | 649TWh |
| 予測電力消費割合(2030年、米国データセンター) | 11.8% |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、AIの急速な普及がもたらす電力需要の増大と、それに伴う電力供給制約という喫緊の課題に対し、業界横断的な連携を通じて解決を図る動きを示しています。単独企業では解決が困難な大規模インフラ問題に対し、発電・蓄電・送電・コンピューティングを一体的に設計する「電力共同開発」というアプローチは、今後のAIデータセンター構築における新たな標準となる可能性があります。特に、データセンター設計段階からの電源インフラ統合によるリードタイム短縮は、AIインフラ拡大のボトルネック解消に貢献すると期待されます。また、太陽光発電や蓄電池などの分散電源の活用は、クリーンエネルギーへの移行と電力安定供給の両立を目指す点で注目されます。ハイパースケーラー各社が自社での電力確保を進める動きとも連動し、AI時代の電力インフラ構築における多様なアプローチが加速していることを示唆しています。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-02
関連事例
- シーメンス、ジョージア州に1億8,500万ドル超を投資、データセンター向け電力機器を生産
- 京都フュージョニアリング、ORNLと米テネシー州に核融合の実用化に向け試験施設建設へ
- 非在来型天然ガス開発に向けた専門家委員会の暫定勧告を発表
- 米ゼネラルモーターズ、EVバッテリー事業を韓国サムスンに売却
- スタンダード・チャータード銀行、GIFTシティーで新たな資産運用サービスを開始
自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?
無料でプレスリリースを掲載する