経済・産業トレンド

決まらぬ次期ペルー大統領、現政権関係者と産業界からは政策継続性の注文

ペルー大統領選挙の決選投票後、開票作業が続く中で、現政権関係者と産業界から次期大統領への政策継続性の要望が表明されています。ホセ・バルカサル大統領は貧困削減や若者雇用創出の重要性を強調し、セサル・キスペ生産相は製造業の経済成長エンジンとしての役割と法的安定性、企業投資拡大、工業団地整備、貿易統一窓口システムの継続を期待。ペルー工業協会(SNI)のフェリペ・カジャオ会長は、経済モデルの維持と5%以上のGDP成長率による貧困削減、中央銀行の独立性確保を求めています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

ペルーに進出している、または進出を検討している製造業、鉱業、および関連サービス業の企業は、次期政権の政策動向が事業環境に直接影響を与える可能性があるため、注視が必要です。特に、法的安定性や投資環境の変化は、企業の事業計画やリスク管理部門に影響を及ぼします。

対応すべきこと

対応優先度:  国の経済政策や法制度の方向性が変わる可能性があり、海外事業展開企業にとっては中長期的な事業戦略に影響を及ぼすため。

対象部門: 経営者 法務 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

発表日 2026-06-15
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月15日

ペルー大統領選挙は6月7日に決選投票が実施され、開票作業が続いている(2026年6月8日記事参照)。開票結果は出ていないが、現政権関係者と産業界から次期大統領に政策の継続性を注文する声が出ている。

製造業で構成され発言力を有するペルー工業協会(SNI)が6月11日に開催した式典に登壇したホセ・バルカサル大統領は、決選投票の集計でケイコ・フジモリ候補とロベルト・サンチェス候補が接戦になっていることを踏まえ「国が分断される状況になっているのは、これまでの政府の取り組みが貧困削減につながっていなかったからだ。汚職対策、教育の充実、若者の雇用機会創出に取り組むことで国が発展する」と述べた。

次期大統領に貧困削減対策を求めるバルカサル大統領(ジェトロ撮影)

セサル・キスペ生産相は、「2026年7月28日に新政権が発足する。われわれ現政権閣僚はまもなく去る立場だが、製造業は前進し続けなくてはならない。製造業が経済成長のエンジンであり、その役割が変わることはない。次期政権でも法的安定性が確保され、企業投資が拡大し製造業の国際競争力が高まることを願う。政府と製造業との対話とコンセンサスにより政策が進められ、生産省が取り組んでいる工業団地整備や貿易統一窓口システム(VUCE)のデジタル化推進が継続されることを期待する」と述べた。

政策の継続性を期待するキスぺ生産相(ジェトロ撮影)

SNIのフェリペ・カジャオ会長は「ペルーは中南米地域でも有数の安定的な成長をとげた国だが、ペルーの企業経営者が期待しているレベルには達していない。2025年の実質GDP成長率は3.4%だったが、貧困削減のためには5.0%以上を目指さなくてはならない。中央銀行はこれまで独立性が確保され、為替の安定などでペルー企業を支えてくれた。鉱業と製造業はペルー経済の柱であり、発展のために政府と企業関係者の対話が必要な時期にある。次の大統領には、経済モデルを変えることなく、任期である5年間継続的な政権運営をしてほしい」と述べた。

サンチェス候補は、憲法と鉱業関連法制度の改正を訴えている。また、選挙運動の当初は中央銀行の総裁と幹部を入れ替えると主張していたが、その後、軌道修正して維持すると発言している。カジャオ氏の発言には、サンチェス氏を牽制する狙いがあったとみられている。ペルーの大統領の任期は5年間だが、2016年以降9人の大統領が就任している。

次期大統領に経済モデルの維持を求めるカジャオSNI会長(ジェトロ撮影)

(石田達也)

(ペルー)

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決まらぬ次期ペルー大統領、現政権関係者と産業界からは政策継続性の注文

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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/ae1fb88b38677dd5.html

時系列

主な数値

2025年の実質GDP成長率 3.4%
貧困削減のために目指すべき実質GDP成長率 5.0%以上
ペルーの大統領の任期 5年間
2016年以降に就任した大統領の数 9人

この事例から確認すべきポイント

ペルー大統領選挙の決選投票後、新政権発足に向けて現政権関係者と産業界から政策の継続性を求める声が上がっている状況は、新興国における政治的移行期に企業が直面する不確実性を示唆しています。特に、製造業を経済成長のエンジンと位置づけ、法的安定性や企業投資の拡大、国際競争力向上を求める声は、海外進出企業にとって投資環境の安定性が極めて重要であることを浮き彫りにします。憲法や鉱業関連法制度の改正、中央銀行の独立性に関する候補者の発言は、政策変更が企業活動に直接的な影響を及ぼす可能性を示しており、進出企業は政治動向を注視し、リスク評価を継続する必要があるでしょう。過去10年間で9人の大統領が就任している事実は、ペルーの政治的安定性の課題を物語っており、企業は長期的な事業計画を策定する上で、政治リスクを織り込む重要性を再認識すべきです。貧困削減と経済成長の両立を目指す中で、政府と産業界の対話とコンセンサス形成が、持続可能な経済発展の鍵となります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-15

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