経済・産業トレンド USMCA見直し協議継続中(議会承認の必要性は不透明)

米中間選挙、大幅な関税措置の変更は見込まれない一方、議会の関与は強まる見込み

米中間選挙で民主党が連邦議会上下両院の多数派を奪還した。ただし、拒否権を覆す3分の2以上や、上院のフィリバスターを回避する60議席には届かない見通しとされ、主要政策の大きな転換は限定的との見方が多い。通商面では、301条・232条に基づく関税措置の大幅な見直しは高くないとされる一方、調査の透明性や議会の監視が論点となる可能性がある。USMCA見直しでも議会の関与を求める声が強まりそうだと伝えられている。

最終確認日: 2026-11-06

この発表の要点

企業・自治体への影響

貿易・通商を扱う企業の輸出入・調達部門や、米国向け事業を持つ製造業に関係する可能性があります。関税措置の方向性や、USMCA見直し協議の進展が、取引条件や原産地対応に影響し得ます。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 日本貿易振興機構(ジェトロ)
業界 小売・EC
発表日 2026-11-06
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年11月06日

米国では11月3日に中間選挙の投開票が行われ、民主党が連邦議会上下両院で多数派を奪還した(2026年11月4日記事参照)。もっとも、民主党は大統領の拒否権(注1)を覆すのに必要な議席数や、上院でフィリバスター(注2)を回避できる議席数を確保していない。このため、今後2年間でトランプ政権の主要政策が大きく転換する可能性は限定的との見方が多い(2026年11月5日記事参照)。一方、民主党は議会の調査権限などを活用し、政権への監視を強めるとみられる。

通商政策でも、議会勢力図の変化が政策転換につながる可能性は低い。トランプ政権の関税措置の多くは、大統領や行政府に広範な権限を付与する既存法に基づく。例えば、強制労働関連の追加関税措置は1974年通商法301条に、自動車や鉄鋼・アルミニウムなどへの追加関税措置は1962年通商拡大法232条に基づく(注3)。これらは、ドナルド・トランプ大統領が関税賦課の根拠として初めて用いた国際緊急経済権限法(IEEPA)とは異なり(注4)、長年運用されてきた。このため、301条や232条に基づく関税措置が大幅に見直される可能性は高くない。

ただし、政権が法令上の手続きを適切に履行しているかという「透明性」が論点となる可能性がある(注5)。232条では商務省の調査期間が270日以内と規定されているが、複数の調査で期限内に結果が公表されていないと指摘されている(2026年10月26日記事、2026年10月30日記事参照)。また、トランプ政権2期目では調査結果の多くが公開されていない。民主党は、議会の調査権限を通じてこうした点を追及し、政権の通商政策に圧力をかける可能性がある。

見直し協議が続く米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)でも、議会の関与を求める声が強まりそうだ。今回の中間選挙では、労働者保護を重視するシェロッド・ブラウン氏(民主党、オハイオ州)が上院選で再選を確実にした。USMCAはトランプ政権1期目の2018年11月に3カ国で署名されたものの、ブラウン氏らが、労働者を保護する仕組みが足りないなどとして批判していた。

その後、ブラウン氏や、上院で通商を所管する財政委員会で当時、少数党筆頭理事を務めていたロン・ワイデン議員(民主党、オレゴン州)らが、USMCAに労働者の権利を保護する仕組みを設けるよう、政権との協議を主導した。その結果、「労働迅速対応メカニズム(RRM)」(注6)の導入が決まり、2019年12月に3カ国は、RRMなどを規定した改定議定書に署名した。こうした経緯から、ブラウン氏らはUSMCAへの支持を表明した(注7)。

トランプ政権は、USMCA見直しに際して議会承認は不要との立場を示している。議会承認の必要性は不透明なままだが、今後、民主党の要求が部分的に通商政策に反映される可能性はある。

(注1)大統領が拒否権を行使すると、議会が可決した法案への署名を拒否し、異議を添えて議会に差し戻すことができる。拒否権を覆すには、上下両院でそれぞれ3分の2以上の賛成で再可決した場合、法案は成立する。
(注2)フィリバスターは、上院議員が法案や人事承認の採決を遅らせたり、阻止したりするために用いる手続きを指す。フィリバスターを終了させるには、審議を終了し単純過半数で採否を決定する「クローチャー」の手続きを、上院の5分の3以上の賛成で可決する必要があり、通常は60票が必要となる。今回の選挙の結果、民主党は多数派を奪還したが、54~56議席にとどまる見通しで、クローチャーに必要な60議席には及ばない。
(注3)301条と232条については、2024年12月10日付地域・分析レポート参照。
(注4)IEEPAには「輸入を規制する」との文言はあるが、「関税を課すことができる」とは明示されていない。また、これまでにIEEPAに基づき関税を課した大統領がいなかったため、その合法性が最高裁で審理された。最高裁は2026年2月、IEEPAは大統領による関税賦課を認めていないと結論付けた。現在、IEEPAに基づき徴収された関税の還付手続きが進められている(2026年10月7日記事参照)。
(注5)ジェトロによる通商弁護士への11月4日のインタビューに基づく。
(注6)RRMは、USMCA締約国内の事業所単位で労働権侵害の有無を判定する手続きで、労働権侵害が確認されれば、USMCA特恵措置の適用停止などの罰則が科され得る。ただし、米国・カナダ間には設けられていない(2026年9月30日記事参照)。
(注7)米国では通常、自由貿易協定(FTA)の発効に当たり、協定内容を国内法に反映する実施法を議会で可決する必要がある。

(赤平大寿)

(米国)

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米中間選挙、大幅な関税措置の変更は見込まれない一方、議会の関与は強まる見込み

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/11/9af8eade33dd2d92.html

時系列

主な数値

民主党の上院議席見通し 54~56議席
クローチャーに必要な議席数 60議席
232条に基づく商務省の調査期間 270日以内

この事例から確認すべきポイント

本記事は、米中間選挙後の米国通商政策について、関税措置の大幅な変更は見込まれにくい一方、議会による監視や調査が強まる可能性を客観的に伝えるものです。301条や232条に基づく関税は長年運用されてきた既存法に基づくため、見直しの可能性は高くないとされています。一方で、232条の調査期限(270日以内)が守られていない指摘や、調査結果の非公開が議論になる可能性があり、透明性が論点化するおそれがあります。企業にとっては、関税措置の方向性だけでなく、手続きの透明性や議会での議論の動向にも目を配ることが重要です。また、USMCAの見直し協議については、議会承認の必要性が不透明なままである点も留意が必要です。なお、詳細な背景や追加情報は、取得できた本文からは確認できなかった部分があり、正確な内容は公式出典をご確認ください。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-11-06 / 最終確認: 2026-11-06

執筆・確認主体

この記事は、上記の公式出典を一次情報として PRaze編集部(株式会社スキルマーク)が構造化・要約したものです。 要約と分類の生成にはAIを使用しています。

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編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-11-06

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