イラク炭素経済公社、ドイツ廃棄物処理設備メーカーと協定締結
この発表の要点
- イラク炭素経済公社が独ズートコとバグダッドの廃棄物管理事業に関する基本協定を締結
- 1日約6,000トンの処理能力を持ち、年間約50万トンの有機肥料や日量約100トンのSAF生産を構想
- 中国企業による別の廃棄物発電事業も進行中だが、事業間の役割分担などは未判明
企業・自治体への影響
中東地域の環境インフラ・プラント関連産業において、新たな公的プロジェクトの動向把握に資する。海外インフラ展開やプラント輸出に関わる経営・営業部門にとって、現地市場のパートナーシップや競合動向を確認する材料となる。
対応すべきこと
- イラクおよび中東地域における環境・廃棄物関連のインフラ投資動向を引き続きモニタリングする
- 関連するプラントメーカーや競合企業の現地進捗情報を関係部門へ共有する
対象部門: 経営者 総務 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 製造・環境 |
| 発表日 | 2026-09-09 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年09月09日
イラク環境省傘下の国営企業、炭素経済公社(General Company for Carbon Economics、GCCE)は8月下旬、ドイツの廃棄物処理設備メーカー、ズートコ(Sutco RecyclingTechnik GmbH)と、バグダッドで統合型廃棄物管理事業を開発するための基本協定(Master Agreement)を締結した。ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のイラク連絡事務所(AHK Iraq)によると、調印式にはイラクのサルワ・アブドゥルワーヒド環境相や在イラク・ドイツ大使館関係者も出席した。同プロジェクトでは1日当たり約6,000トンの廃棄物を処理し、資源回収や肥料、持続可能な航空燃料(SAF)の生産などを計画する。
炭素経済公社のハイダル・カーシム・ダラジ総裁によると、事業では年間約50万トンの有機肥料と1日約100トンのSAFを生産する構想もある。ズートコは今回の協定を長期的な協力に向けた出発点と位置付けており、事業費、建設場所、着工・操業時期、資金調達方法などは明らかになっていない。ズートコは1985年から廃棄物の選別・処理設備を開発・建設している。
バグダッドでは廃棄物処理能力の拡充が課題となっている。バグダッド市長がイラク国営テレビ局に2025年3月に出演した際には、バグダッドでは日量9,000〜1万トンの廃棄物が発生し、埋め立てや初歩的な処理が行われていると説明した。今回公表された6,000トンの処理能力は、この発生量の約6〜7割に相当する。
一方、これより先に中国の上海康恒環境(SUS Environment)は、バグダッドのナフラワン地区で1日3,000トンの廃棄物を処理し、100メガワットを発電する廃棄物発電事業を進めている。投資額は約5億ドルで、2025年3月20日にはムハンマド・シヤーウ・スーダーニー首相(当時)の出席の下で起工式が行われた。イラクの独立系日刊紙「アルマダ」(2026年6月26日付)によると、事業用地の引き渡しや地盤試験、契約締結などバグダッド市側に関係する手続きは完了し、電力省との売電や送電網への接続に関する技術的な手続きを残す段階にある。上海康恒環境の事業と今回のズートコとの事業の役割分担は、現時点では明らかになっていない。
(大野晃三、オマール・アル・シャメリ)
(イラク、ドイツ)
ビジネス短信 b38f0065ef7f4d50
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イラク炭素経済公社、ドイツ廃棄物処理設備メーカーと協定締結
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/b38f0065ef7f4d50.html
時系列
- 2025-03-20 中国の上海康恒環境による廃棄物発電事業の起工式がムハンマド・シヤーウ・スーダーニー首相(当時)の出席の下で開催
- 2026-06-26 イラクの独立系日刊紙「アルマダ」が上海康恒環境の事業進捗を報道
- 2026-08-25 イラク環境省傘下の炭素経済公社(GCCE)がドイツのズートコとバグダッドでの統合型廃棄物管理事業に関する基本協定を締結
主な数値
| 廃棄物処理能力(ズートコ事業) | 約6,000トン/日 |
|---|---|
| 有機肥料生産量 | 約50万トン/年 |
| SAF生産量 | 約100トン/日 |
| バグダッドの廃棄物発生量 | 9,000〜1万トン/日 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、イラクの首都バグダッドにおける大規模な廃棄物管理および環境インフラ整備事業の動向を示している。ドイツの専門メーカーとの基本協定締結により、資源回収や持続可能な航空燃料(SAF)の生産といった高度なリサイクル技術の導入が見込まれる一方で、事業費や資金調達方法、スケジュールなどの詳細は未確定である。また、中国企業による類似の廃棄物発電事業も並行して進んでおり、各プロジェクトの役割分担やインフラ市場全体の動向について継続的な情報収集が求められる。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-09-09
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