米GM、カナダに11億カナダ・ドル投資へ、労働組合と新労使協定を締結
この発表の要点
- 米GMがカナダ事業に総額11億カナダ・ドル(約1,265億円)を投じる新労使協定が承認された。
- オシャワ工場でのシエラ・ヘビーデューティー生産や、セントキャサリンズ工場での次世代トランスミッション生産(2029年後半まで)が計画されている。
- 米国の追加関税措置や2027年1月からの関税率引き上げの動きなど、通商政策の不透明感が自動車産業に影響を与えている。
企業・自治体への影響
北米市場に関連する自動車製造業やサプライチェーンを持つ企業に対し、米国の関税政策変更や労使動向が生産体制や経営計画に直接的な影響を及ぼす可能性がある。経営企画・法務・調達部門において情報収集とリスク評価が必要となる。
対応すべきこと
- 公式出典および関連する通商・関税政策の最新情報を確認する
- 自社の北米サプライチェーンへの影響範囲を関係部門で共有する
- 今後の関税率引き上げや労使交渉の動向を継続して管理する
対象部門: 経営者 総務 法務 経理
対応期限:2027-01-01(関税引き上げ予定日)
基本データ
| 企業・団体 | ゼネラルモーターズ(GM) |
|---|---|
| 業界 | 製造 |
| 発表日 | 2026-09-02 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年09月02日
カナダの労働組合ユニフォーは8月30日、米国のゼネラルモーターズ(GM)のオンタリオ州にある工場(注1)を対象とする新たな労使協定を承認したと発表した。米国とカナダの通商摩擦を受け、カナダ国内の自動車産業の動向に注目が集まる中、今回の労使協定により、GMはカナダ事業に総額11億カナダ・ドル(約1,265億円、Cドル、1Cドル=115円)を投じる方針を示した。
GMは、オシャワ工場に1億4,400万Cドルを追加投資し、次世代GMCシエラ・ヘビーデューティーの生産を計画する。さらに、セントキャサリンズ工場に2億1,500万Cドルを投じ、2029年後半までに次世代トランスミッションの生産を開始する方針を示した。一方、インガソールにあるカナディアン・オートモーティブ・マニュファクチャリング・インク(CAMI)組立工場では生産停止が続いているが(2025年4月16日記事参照)、GMは労使協定の有効期間中、同工場を売却・閉鎖する意向はないとし、ユニフォーは生産再開に向けた働きかけを継続する。
ステランティスは工場売却を検討か
ユニフォーは8月14日、自動車大手ステランティスが、オンタリオ州ブランプトン工場について、売却の可能性について他社と協議する意向を伝えてきたと発表した。背景には、米国の関税措置の影響があるとみられる。同工場は2024年から改修工事を進めていたが、2025年2月に改修作業を停止した。同年10月には、改修後に予定していたスポーツ用多目的車(SUV)「ジープ・コンパス」の生産を米国へ移管する方針を示し、工場は無期限の休止状態となっていた(2025年10月17日記事、2025年10月20日記事参照)。
また2026年9月1日には、ユニフォーとステランティスが、新たな労使協定の締結に向けた交渉を開始したと発表し、今後の展開が注目される。なお、ブルームバーグ(8月31日)は、地元市長の話として、中国の大手電気自動車(EV)メーカーの比亜迪(BYD)が同工場の買収に関心を示していると報じた。
米国はカナダから輸入される自動車・同部品に対し、1962年通商拡大法232条に基づく25%の追加関税と、1930年関税法338条に基づく50%の追加関税を課している(注2)。また、ドナルド・トランプ大統領は8月24日、2027年1月1日からカナダ産の自動車・同部品などに対する関税率を50%に引き上げると自身のSNSに投稿したが、詳細は明らかになっていない。自動車産業を巡る米国の通商政策の先行きに対する不透明感が強まる中、自動車メーカー各社は対応を迫られている。
(注1)今回の労使交渉の対象は、オシャワ、セントキャサリンズ、ウッドストック、インガソールの4工場で働く約4,600人の従業員。
(注2)232条に基づく追加関税は、カナダ・メキシコ・米国協定(CUSMA)の原産地規則を満たさない非米国産部分に適用される。一方、338条に基づく追加関税は、CUSMAの原産地規則を満たした場合でも課されるが、232条に基づく追加関税の対象品目には課されない。なお、CUSMAは、米国ではUSMCA、メキシコではT-mecと呼ばれる。
(木村勇翔)
(カナダ、米国、中国)
ビジネス短信 7d12d772ec9ff5fb
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ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
米GM、カナダに11億カナダ・ドル投資へ、労働組合と新労使協定を締結
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/7d12d772ec9ff5fb.html
時系列
- 2025-04-16 CAMI組立工場での生産停止に関する記事掲載
- 2025-08-14 ユニフォーがステランティスからのブランプトン工場売却に関する協議意向を発表
- 2025-08-24 米ドナルド・トランプ大統領がカナダ産自動車等に対する関税率を50%に引き上げるとSNSに投稿
- 2025-10-17 ブランプトン工場でのジープ・コンパス生産の米国移管方針に関する記事掲載
- 2025-10-20 ブランプトン工場の無期限休止状態に関する記事掲載
- 2026-08-30 カナダの労働組合ユニフォーが米GMのオンタリオ州工場を対象とする新労使協定の承認を発表
- 2026-08-31 ブルームバーグがBYDによるブランプトン工場買収関心を報道
- 2026-09-01 ユニフォーとステランティスが新労使協定締結に向けた交渉開始を発表
- 2026-09-02 ジェトロビジネス短信にて本件が発表される
主な数値
| GMカナダ事業への総投資額 | 11億カナダ・ドル |
|---|---|
| GMカナダ事業への総投資額(日本円換算) | 1265億円 |
| Cドル対円レート | 115円 |
| オシャワ工場への追加投資額 | 1.44億Cドル |
| セントキャサリンズ工場への投資額 | 2.15億Cドル |
| セントキャサリンズ工場での次世代トランスミッション生産開始期限 | 2029年後半 |
| 今回の労使交渉の対象従業員数 | 4600人 |
| 通商拡大法232条に基づく追加関税率 | 25% |
| 関税法338条に基づく追加関税率 | 50% |
| トランプ大統領が投稿した関税率の引き上げ時期 | 2027-01-01日 |
この事例から確認すべきポイント
本事例は、北米における自動車メーカーの労使動向と、米国の通商政策(追加関税措置)が密接に連動していることを示している。GMは巨額の投資と新労使協定の締結によりカナダ事業の継続と生産品目の刷新を図る一方、ステランティスは工場売却協議や生産移管など異なる対応をとっており、企業ごとの戦略の分化が確認できる。企業広報や経営企画の実務においては、北米市場への展開やサプライチェーンを持つ製造業において、米国の関税政策の変更リスク(232条・338条および今後の関税率引き上げの動向)が経営に与える影響を注視し、労務環境や生産拠点の再編可能性を含めたリスク管理体制を構築することが重要である。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-09-02
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