メキシコのシェインバウム大統領、USMCA合意を楽観視
この発表の要点
- メキシコのシェインバウム大統領が米国とのUSMCA交渉について合意を楽観視していることを表明
- 米国側はメキシコ経由の電子機器等の迂回貿易に懸念を示しており、メキシコ側も理解を示す姿勢
- カナダに対して米国が50%の追加関税を発動し、カナダは9月8日から報復措置を導入予定
企業・自治体への影響
北米地域で事業を展開する製造業やIT機器関連企業において、米墨間の通商交渉やUSMCAの運用方針、迂回貿易規制の強化に向けた動向がサプライチェーンや調達コストに影響を与える可能性がある。関係する経営層、法務、調達部門は動向の注視が必要である。
対応すべきこと
- 公式出典および最新の通商ニュースで米墨間の交渉動向を確認する
- 北米サプライチェーンにおける調達・輸出入ルートの現状と関税リスクを再確認する
- 関連部門へ北米の貿易管理に関する最新情報を共有する
対象部門: 経営者 総務 法務 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 貿易・製造 |
| 発表日 | 2026-08-26 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月26日
添付資料(256 KB)
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は8月24日の早朝記者会見で、カナダのマーク・カーニー首相と8月20日に電話会談したことや、米国との交渉状況について発言した。カーニー首相との電話会談については、米国による1930年関税法338条に基づく対カナダ追加関税に言及した。8月20日時点では「両国(米国・カナダ)の意見の相違なく、全てが合意に至るように見えた」と述べた。結果的に米国とカナダの交渉は決裂し、米国は一部のカナダ製品に対して50%の追加関税を発動し、カナダは9月8日から同規模の報復措置を導入する方針だ(2026年8月24日記事、2026年8月26日記事参照)。
シェインバウム大統領は続けて、マルセロ・エブラル経済相が8月24日に米国に渡り、米国との交渉のために数日間滞在することを明かした。シェインバウム大統領は、「米国と合意することを期待している。(合意は)メキシコと米国の双方の利益を保証しなければならない」と強調し、「合意に達することができると楽観視している」と述べた。
米国との交渉について、米国側からは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の規定にメキシコが違反しているとして、いくつかの論点が提示されたと述べた(注)。その中で、メキシコから米国への輸出額が増加しており、特に電子機器分野で顕著であることを取り上げた。シェインバウム大統領は「米国で人工知能(AI)とデータセンターのブームが来ている」とした上で、こうしたデータセンター用の電子機器の輸入において、米国側は、メキシコを経由して無関税で米国に輸入する迂回貿易に懸念を示していることを示唆した。メキシコで付加価値が一切加えられることなく、米国への経由地になることは「われわれにとって望ましいものではない」と米国に賛同していることを強調した。
メキシコから米国への輸出額をみると、2025年6月時点で電子機器や機械類が含まれるHSコード84類が、自動車・同部品を含む輸送用機器の87類を上回った(添付資料図参照)。また、2025年末にはデータセンター用のサーバが含まれる自動データ処理機である8471項に絞っても87類を上回っている。主力輸出品であった自動車を超えて、データセンターやAI用の自動処理機の輸出が急増したことがうかがえる。
シェインバウム大統領は、「現在のメキシコの立場は極めて良好だが、さらに有利な立場を確立したいと考えている」と述べ、メキシコが米国との交渉において、他国よりも優位な立場にいることを強調した。
(注)会見で具体的な内容は明らかになっていないが、過去に米国通商代表部(USTR)は外国貿易障壁報告書(NTE)でメキシコの通関システムやエネルギー・鉱業政策を批判している。詳細は2026年5月29日付地域・分析レポート参照。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国、カナダ)
ビジネス短信 4f5d977082261097
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メキシコのシェインバウム大統領、USMCA合意を楽観視
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/4f5d977082261097.html
時系列
- 2026-08-20 カナダのマーク・カーニー首相とメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領が電話会談を実施
- 2026-08-24 メキシコのシェインバウム大統領が早朝記者会見を実施。マルセロ・エブラル経済相が米国へ渡航
主な数値
| カナダに対する米国の追加関税率 | 50% |
|---|---|
| カナダの報復措置導入予定日 | 2026-09-08日 |
この事例から確認すべきポイント
本件は、北米地域におけるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を巡る通商交渉の動向を伝えるものである。米国がカナダに対して追加関税を発動したほか、メキシコに対してはAI・データセンター関連機器等の迂回貿易に関する懸念を示しており、北米サプライチェーンにおける貿易管理や原産地規則の適用が厳格化するリスクがある。製造業、IT・電子機器関連企業などは、今後の米墨間の交渉結果やUSMCAの運用方針の変化を注視し、調達ルートや通関・関税リスクの評価を行う必要がある。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-26
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