イラク原油輸出、日量平均200万バレルに回復
この発表の要点
- 8月初めから14日までのイラクの原油輸出量は日量平均約200万バレルに回復。
- 8月14日の輸出量は280万バレルに達し、衝突以降の最高水準を記録(8月16日時点4隻が積み込み中)。
- 海峡内まで船を入れる買い手に1バレル当たり最大約30ドルの大幅な値引きを提示し、シャトル方式等の輸送手段と組み合わせて輸出回復を実現。
企業・自治体への影響
エネルギー関連企業やエネルギー多消費産業(製造業・物流等)において、中東情勢に伴う原油供給量や調達価格の変動リスクを把握・管理する必要性高まる。経営企画部門や調達・購買部門での動向注視が求められる。
対応すべきこと
- 公式出典や関連市場データに基づき、エネルギー調達価格や供給安定性への影響を確認する
- 中東地域の地政学リスクおよび海上輸送ルートの状況を関係部門へ共有する
- エネルギーコスト変動に備えた調達先の多角化やリスクヘッジ策の妥当性を検証する
対象部門: 経営者 総務 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | エネルギー・資源 |
| 発表日 | 2026-08-26 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月26日
イラクのバシム・ムハンマド・フダイル・アルアバーディー石油相は8月14日、記者会見で、7月の原油輸出総量は4,900万バレルで、日量平均で約150万バレルだったのに対し、8月初めから14日までの輸出量は日量平均約200万バレルだったと明らかにした。
2月末に始まった米国・イスラエルとイランの軍事衝突前、イラクは日量360万バレルの原油を輸出しており、このうち約340万バレルが同国南部のバスラからホルムズ海峡を経由して輸出されていた。
16日には、フダイル石油相は国営イラキーヤ・テレビで、14日の原油輸出量が280万バレルに達し、軍事衝突でホルムズ海峡の通航が混乱して以降、最高水準となったと述べた。また、同日時点で4隻のタンカーがイラク原油を積み込み中だとした。
輸出回復を支えているのは、ホルムズ海峡を往来できる輸送手段を持つ買い手だ。国営石油販売会社(SOMO)のアリ・ニザール・シャトリ総裁は、イラクは原油輸送については他社に依存する戦略を採用してきたと説明した。報道によると、アラブ首長国連邦のアブダビ国営石油会社(ADNOC)のトレーディング部門は、バスラ原油などを船でホルムズ海峡の外まで運び、別の船に積み替えてアジアの製油会社に届ける取引を提示している(「ブルームバーグ」8月12日)。ADNOCは自社原油でも4月以降、同様のシャトル方式を運用している。
一方、SOMOによると、イラク原油のホルムズ海峡通航を特別に認める措置はない。シャトリ氏は、ホルムズ海峡内まで船を入れ、原油を受け取って海峡外へ運び出せる買い手の能力が輸出を左右すると説明した。SOMOは、8月に船積みするバスラ原油について、海峡内まで船を入れて原油を受け取る買い手に、1バレル当たり最大約30ドルの大幅な値引きも提示している(「ロイター」8月3日)。
海峡通航のリスクを負って原油を輸送する買い手を確保するため、イラクは価格面でも大きく譲歩し、輸出量の回復につなげている。
(大野晃三)
(イラク)
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イラク原油輸出、日量平均200万バレルに回復
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/823e9943ba60b6c6.html
時系列
- 2026-08-03 ロイター報道で、SOMOが8月積みのバスラ原油について海峡内まで船を入れる買い手に1バレル当たり最大約30ドルの値引きを提示したことが伝えられる
- 2026-08-12 ブルームバーグ報道で、ADNOCのトレーディング部門などが船の積み替えによるシャトル方式の取引を提示していることが伝えられる
- 2026-08-14 バシム・ムハンマド・フダイル・アルアバーディー石油相が記者会見で、8月初めから14日までの原油輸出量が日量平均約200万バレルになったと発表
- 2026-08-16 フダイル石油相が国営イラキーヤ・テレビで、14日の原油輸出量が280万バレルに達し衝突以降の最高水準となったこと、4隻のタンカーが積み込み中であると述べる
主な数値
| 7月の原油輸出総量 | 49,000,000バレル |
|---|---|
| 7月の日量平均原油輸出量 | 1,500,000バレル |
| 8月初めから14日まで日量平均原油輸出量 | 2,000,000バレル |
| 軍事衝突前の日量平均原油輸出量 | 3,600,000バレル |
| 軍事衝突前の南部バスラからの日量原油輸出量 | 3,400,000バレル |
| 8月14日の原油輸出量 | 2,800,000バレル |
| 8月16日時点で積み込み中のタンカー数 | 4隻 |
| 8月積みバスラ原油の値引き額 | 30ドル/バレル |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、中東地域における軍事衝突およびホルムズ海峡の通航混乱を受けたイラクの原油輸出動向に関するものである。特筆すべきは、海峡周辺のリスクや通航制限がある中、独自の輸送スキーム(シャトル方式等)や最大1バレル当たり約30ドルという大規模な価格譲歩を組み合わせることで、輸出量が日量平均約200万バレルまで回復した点である。実務・広報の観点からは、地政学リスクがエネルギー供給や調達コストに与える影響の大きさ、および代替輸送手段を持つ事業者の動向を継続的にモニタリングし、調達先の多角化や価格変動リスクへの対策を検証することが極めて重要となる。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-26
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