シンガポール貿易産業省、中国国家原子力機構と協力覚書を締結
この発表の要点
- シンガポール貿易産業省と中国国家原子力機構が原子力技術の平和利用に関するMOUを締結
- 原子炉の安全性評価や人材育成、原子力安全・保障措置などの能力構築を促進
- シンガポールはSMR導入検討やIAEAのINIRミッション受入など、エネルギー政策の見直しを多国間で推進中
企業・自治体への影響
エネルギー関連産業やシンガポールに進出・展開する企業に対し、同国のエネルギー政策の動向や将来的な電力供給構造の変化に関する情報を提供する。経営企画部門や法務・総務部門において、中長期的なエネルギーコストやインフラ政策の変化を把握する上で参考となる。
対応すべきこと
- シンガポールのエネルギー政策および原子力・SMR導入に関する公式発表の継続的な確認
- 関連する海外動向の社内関係部門への共有
対象部門: 経営者 総務 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | シンガポール貿易産業省(MTI) |
|---|---|
| 業界 | エネルギー・インフラ |
| 発表日 | 2026-08-19 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月19日
シンガポール貿易産業省(MTI)は8月17日、中国国家原子力機構(CAEA)との間で、原子力技術の平和利用に関する協力覚書(MOU)を締結した。署名式では、タン・シーレン貿易産業相(エネルギー・産業担当)とCAEAの単忠徳主任の立ち会いの下、MTIのオーガスティン・リー事務次官(エネルギー・貿易担当)とCAEAの劉敬副主任がMOUに署名した。
MTIの同日付プレスリリースによると、今回のMOUは、両国間での能力構築(キャパシティービルディング)の促進を図るものだ。具体的な協力内容として、原子炉技術の安全性・技術評価、人材育成・視察、公共教育・広報・理解促進、原子力安全・保障措置(セーフガード)・セキュリティー、原子力技術の応用などが挙げられている。
シンガポールは現在、発電用エネルギーの9割を輸入天然ガスに依存しており(2023年11月15日付地域・分析レポート参照)、原子力発電を利用していない。しかし、ローレンス・ウォン首相兼財務相が2025年2月に小型モジュール式原子炉(SMR)の導入検討を発表するなど(2025年2月26日記事参照)、近年、電力政策の見直しが進められている。シンガポール持続可能性・環境省(MSE)は2026年5月、将来的な原子力技術の導入可能性を検証するための準備として、2027年から国際原子力機関(IAEA)による統合原子力基盤レビュー(INIR)のフェーズ1ミッションを受け入れると表明した。
シンガポールは現在、原子力分野の能力構築に向け、複数の国との協力を進めている。米国とは2024年7月に原子力協定(通称「123協定」)を締結したほか、フランスとも2025年5月の共同声明で原子力の平和利用に係る相互協力を明言。韓国とは2026年3月にSMRの潜在的な活用に関する共同調査などで合意し(2026年3月5日記事参照)、日本とも2026年3月の首脳会談の際、「戦略的パートナーシップ」への格上げを宣言した共同声明において、エネルギー協力の対象分野に民生用原子力が盛り込まれた。今回の中国CAEAとのMOUも、シンガポールが原子力発電の導入可能性に関して、客観的かつ技術的な評価を行う能力を得るための一環として位置づけられている。
(広木拓)
(シンガポール、中国)
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シンガポール貿易産業省、中国国家原子力機構と協力覚書を締結
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/3da80ed72f96f5c4.html
時系列
- 2026-08-17 シンガポール貿易産業省(MTI)が中国国家原子力機構(CAEA)との間で原子力技術の平和利用に関する協力覚書(MOU)を締結
主な数値
| 天然ガス依存度 | 9割 |
|---|
この事例から確認すべきポイント
本事例は、シンガポール政府が将来的なエネルギー多様化および脱炭素・電力政策の見直しの一環として、中国との間で原子力平和利用に関するMOUを締結した動向を伝えるものである。シンガポールは発電用エネルギーの大部分を輸入天然ガスに依存しており、小型モジュール式原子炉(SMR)の導入検討や国際原子力機関(IAEA)のミッション受入表明など、原子力導入に向けた客観的かつ技術的な評価能力の獲得を多国間協力で進めている。エネルギー関連産業や海外展開を行う企業にとっては、各国のエネルギー政策転換や原子力・SMR導入に向けた動向、規制整備の動向を注視することが実務上重要となる。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-19
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