米EIA、ホルムズ海峡制約で原油供給懸念長期化を予測、紅海情勢も悪化
この発表の要点
- 中東地域の原油生産減少とホルムズ海峡の通航制約が長期化し、2027年末まで日量約60万バレルの供給障害が継続する見込み。
- ブレント原油価格予測が上方修正され、2026年第3四半期は1バレル85ドル、2027年には69ドルと予測されている。
- 紅海情勢は商船への攻撃再発により不安定化しており、地政学リスクが原油供給懸念を強めている。
企業・自治体への影響
エネルギー関連企業、製造業、物流業など、原油価格や供給安定性に影響を受ける全ての企業において、原材料費や輸送コストの増加リスクが高まります。特に、中東からの原油調達に依存する企業は、サプライチェーンの再評価とリスクヘッジ策の強化が求められます。
対応すべきこと
- 最新の原油価格動向とEIAの予測を継続的にモニタリングし、事業計画への影響を評価する。
- エネルギー調達部門は、代替供給源の検討や在庫水準の最適化など、サプライチェーンのレジリエンス強化策を検討する。
- 経営層は、地政学リスクが事業継続に与える影響を再評価し、リスクマネジメント体制を強化する。
- 関係部門(調達、生産、経理など)へ本情報を共有し、連携して対応策を検討する。
対象部門: 経営者 総務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ(日本貿易振興機構) |
|---|---|
| 業界 | エネルギー |
| 発表日 | 2026-08-12 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月12日
米国エネルギー情報局(EIA)は8月11日付プレスリリースにおいて、中東地域における原油生産の減少が7月時点予測(2026年7月10日記事参照)より長期化するとの予測を発表した。ホルムズ海峡の通航制約は少なくとも8月中は継続すると想定する。中東地域における原油生産の大部分は2027年初頭までに米国・イスラエルとイラン間の紛争開始前の平均水準近くまで回復すると見込む一方、日量約60万バレルの継続的な供給障害が2027年末まで続くとしている。
原油価格については、2026年第3四半期のブレント原油価格平均は1バレル当たり85ドルと予測し、前月時点予測から3ドル引き上げた。今後数カ月にわたり、世界の石油在庫がさらに減少すると見込む。生産量の回復に伴って2027年には1バレル69ドルまで下落するとしているが、これも前月時点予測から4ドル上昇している。
日本にとって石油の主要代替輸入国である米国(2026年8月3日記事参照)の原油在庫は、2026年末まで過去5年間の最低水準を下回る状況が続くと予測する。原油輸出の増加、輸入の減少、製油所の高い稼働率により、4月中旬以降毎週、原油在庫の減少が続く。米国の原油生産については、今後2027年にかけて1,400万バレル前後の安定した生産が見込まれるという。
予断を許さないホルムズ海峡、紅海情勢
ホルムズ海峡を巡っては、イランとオマーンの間で新たな航路運用を巡る交渉妥結が近いと報じられているが、合意成立後ただちに海峡通航の全面的な再開には至らないという(8月8日付ロイター通信)。
サウジアラビア産原油の主要代替ルートでもある紅海の情勢も依然不安定だ。2026年7月以降、紅海では商船への攻撃が再発し(2026年7月24日記事参照)、英国海事機関(UKMTO)は8月に入って2件の紅海およびアデン湾における船舶攻撃を報告している。うち8月11日の攻撃については、イエメンのフーシ派によるものだと報じられている(8月11日付ロイター通信)。国連は、イエメンは2022年の国連仲介停戦以降で最大の大規模紛争再燃リスクに直面しているとしており、紅海情勢についても予断を許さない状況が続く。
(塩川裕子)
(中東、米国、世界、イラン、オマーン、イエメン)
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米EIA、ホルムズ海峡制約で原油供給懸念長期化を予測、紅海情勢も悪化
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/d08aa350b11c89be.html
時系列
- 2026-07-10 EIAが7月時点の原油生産減少予測を発表
- 2026-07 紅海で商船への攻撃が再発
- 2026-08-08 ホルムズ海峡の新たな航路運用を巡る交渉妥結が近いと報じられる(ロイター通信)
- 2026-08-11 米国エネルギー情報局(EIA)がプレスリリースを発表し、中東地域の原油生産減少の長期化を予測
- 2026-08-11 紅海での船舶攻撃がイエメンのフーシ派によるものだと報じられる(ロイター通信)
- 2026-08 英国海事機関(UKMTO)が紅海およびアデン湾における船舶攻撃を2件報告
主な数値
| 継続的な原油供給障害量 | 60万バレル/日 |
|---|---|
| 2026年第3四半期ブレント原油価格予測 | 85ドル/バレル |
| 2027年ブレント原油価格予測 | 69ドル/バレル |
| 米国の2027年原油生産予測 | 1400万バレル |
| 紅海・アデン湾における船舶攻撃報告件数(8月) | 2件 |
この事例から確認すべきポイント
この発表は、中東情勢の不安定化が世界の原油供給と価格に与える影響の長期化を示唆しています。特に、ホルムズ海峡の通航制約や紅海での商船攻撃の再発は、サプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにします。企業は、原油価格の変動リスクを再評価し、エネルギー調達戦略の見直しを検討する必要があるでしょう。また、地政学リスクが物流コストや生産コストに与える影響を継続的にモニタリングし、代替供給源の確保や在庫管理の最適化など、事業継続計画(BCP)におけるリスクヘッジ策を強化することが求められます。日本企業にとっては、主要輸入国である米国の原油在庫が低水準で推移する予測も、調達リスクを高める要因となるため、より慎重な対応が不可欠です。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-12
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