タイ、「サイアム・シリカ」計画を発表、半導体人材を育成
この発表の要点
- タイ政府は「サイアム・シリカ」計画を発表し、半導体・エレクトロニクス産業の発展と人材育成を強化する。
- 2030年までにIC設計8拠点、前工程1拠点、高度パッケージング2拠点の設置を目標とし、指導者・研究者・エンジニア・技術者の確保を目指す。
- 国家半導体訓練センター(NSTC)を通じた実践的カリキュラムやリスキリング支援、ASEAN地域連携を推進する。
企業・自治体への影響
タイの半導体・エレクトロニクス産業への投資を検討する企業、または既に進出している企業にとって、政府の支援策や人材育成の動向は中長期的な事業戦略に影響を与える可能性があります。特に、半導体製造、IC設計、データセンター関連、PCB/PCBA分野の企業は、この計画が提供する機会や人材供給の変化に注目し、事業計画に反映させる必要があります。関係する業種は製造業(半導体、エレクトロニクス、データセンター関連機器)、部門は経営者、事業開発、人事、広報などが挙げられます。
対応すべきこと
- タイの半導体・エレクトロニクス産業への投資や事業展開を検討している場合、本計画の詳細を公式出典で確認する。
- タイでの人材採用・育成戦略を策定する際、国家半導体訓練センター(NSTC)のプログラムや目標人材像を考慮に入れる。
- ASEAN地域での半導体サプライチェーンに関する動向(ASEANチップ法案、AFISS)を継続的に注視し、自社の事業戦略への影響を評価する。
対象部門: 経営者 広報 経理 人事
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | タイ高等教育・科学技術イノベーション省(MHESI) |
|---|---|
| 業界 | 半導体・エレクトロニクス |
| 発表日 | 2026-08-10 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | タイ |
発表された内容
2026年08月10日
タイ高等教育・科学技術イノベーション省(MHESI)は7月28日、半導体・エレクトロニクス産業の発展に向けて、人材育成を含めた支援策の枠組みを発表した。
同27日に開催されたMHESIの会合では、ヨッチャナン・ウォンサワット副首相兼高等教育・科学技術相やMHESI・国立科学技術開発庁(NSTDA)の関係者らが検討を行った。タイ政府は国家半導体ロードマップ(2026年1月15日記事参照)の下、2030年までに、集積回路(IC)設計を8拠点、前工程を1拠点、高度パッケージングを2拠点設置する目標を掲げている。
この目標達成のため、ヨッチャナン副首相は7日27日、人材育成を含む半導体エコシステムの構築を目指す「サイアム・シリカ」計画を発表した。このため、NSTDAは、指導者152人、研究者・専門家950人、エンジニア553人、技術者1,330人の確保が必要と定めた。また半導体分野のうち、フォトニクス・ファブ(光半導体製造)、高度パッケージング、IC設計、量子フォトニクス、パワーデバイスなどに注力する方針だ。
フォトニクス分野では、タイ投資委員会が30日、エヌビディアなどデータセンター関連の光ファイバーケーブル・通信機器などについて、過去5年間で827億バーツ(約3,887億円、1バーツ=約4.8円)相当の投資申請があったと発表している。また、NSTDAのスリン・カムファイ副長官は、大手企業の組み立て拠点が立地するプリント回路基板(PCB、PCBA)についても、有望な投資誘致分野との見方を示した(2025年3月13日付地域・分析レポート参照)。
人材育成策としては、MHESI傘下の「国家半導体訓練センター」(NSTC)の下、学部向けの実践的なカリキュラム「IC設計サンドボックス」、産業界のニーズに基づく能力評価による人材育成「タイランド・スキルブリッジ」、半導体・ハイテク産業へのリスキリング・アップスキリングを支援するデジタル基盤「STEMプラス・プラットフォーム」などを推進する。
また地域連携に向けて、ヨッチャナン副首相は6月に「ASEANチップ法」案を提案。同案にはフォトニクスやPCBを含め、人材育成や交流促進、基板設計の研究アクセス支援、環境配慮型の製造プロセス、エネルギー効率の推進などが盛り込まれている。ASEANでは、2045年までの取り組みを定めた「ASEAN半導体サプライチェーン統合枠組み(AFISS)」が採択されている(2025年11月27日記事参照)。
(藪恭兵)
(タイ、ASEAN)
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タイ、「サイアム・シリカ」計画を発表、半導体人材を育成
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/42ca4e4e6bc978a8.html
時系列
- 2026-06 ヨッチャナン副首相が「ASEANチップ法」案を提案
- 2026-07-27 MHESIの会合が開催され、ヨッチャナン副首相が「サイアム・シリカ」計画を発表
- 2026-07-28 タイ高等教育・科学技術イノベーション省(MHESI)が半導体・エレクトロニクス産業の発展に向けた人材育成を含む支援策の枠組みを発表
- 2026-07-30 タイ投資委員会がデータセンター関連の光ファイバーケーブル・通信機器などについて、過去5年間で827億バーツ相当の投資申請があったと発表
主な数値
| 2030年までの目標拠点数(集積回路(IC)設計) | 8拠点 |
|---|---|
| 2030年までの目標拠点数(前工程) | 1拠点 |
| 2030年までの目標拠点数(高度パッケージング) | 2拠点 |
| サイアム・シリカ計画における指導者確保目標 | 152人 |
| サイアム・シリカ計画における研究者・専門家確保目標 | 950人 |
| サイアム・シリカ計画におけるエンジニア確保目標 | 553人 |
| サイアム・シリカ計画における技術者確保目標 | 1330人 |
| データセンター関連の投資申請額(過去5年間) | 827億バーツ |
| データセンター関連の投資申請額(日本円換算、過去5年間) | 3887億円 |
この事例から確認すべきポイント
タイ政府が発表した「サイアム・シリカ」計画は、国家半導体ロードマップに基づき、半導体・エレクトロニクス産業の競争力強化と自立的なエコシステム構築を目指す包括的な取り組みです。特に、2030年までの具体的な拠点設置目標や、指導者・研究者・エンジニア・技術者といった多岐にわたる人材確保目標を明確にしている点が特徴です。フォトニクス・ファブ、高度パッケージング、IC設計、量子フォトニクス、パワーデバイスといった先端分野への注力は、グローバルサプライチェーンにおけるタイの戦略的地位向上を意図していると推察されます。また、国家半導体訓練センター(NSTC)を通じた実践的なカリキュラムやリスキリング支援、さらには「ASEANチップ法」案の提案や「ASEAN半導体サプライチェーン統合枠組み(AFISS)」への参画といった地域連携の推進は、単一国家の枠を超えた広範な視点での産業育成を示しており、今後のASEAN地域全体の半導体産業の動向を占う上でも重要な発表と言えます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-10
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