ドナウ川の渇水でパクシュ原発の出力低下、ハンガリー政府は企業、自治体、国民へ自主的節電を要請
この発表の要点
- ドナウ川の渇水によりパクシュ原発の出力が段階的に低下し、一時的に通常出力の約1割まで落ち込んだ。
- ハンガリー政府は電力需給逼迫に対応するため、企業、自治体、国民に自主的な節電を要請している。
- 電力供給危機時にはMAVIRが大口需要家へ負荷削減を指示・停止できる制度が改正されたが、現時点では強制措置は導入されていない。
企業・自治体への影響
ハンガリー国内の電力供給に依存する製造業、サービス業、公共サービスを提供する自治体は、電力コストの増加や供給制限のリスクに直面する可能性があります。特に電力多消費型企業は、生産計画の見直しや節電対策の強化が求められます。
対応すべきこと
- ハンガリー国内で事業を展開する企業は、政府からの節電要請内容と対象期間を確認する。
- 自社の電力消費状況を把握し、ピーク時間帯(午後5時~午後10時)における節電対策を検討・実施する。
- 将来的な強制的な電力制限に備え、事業継続計画(BCP)におけるエネルギー供給リスクを再評価する。
- 関係部門(生産、施設管理、経理など)と連携し、節電目標の設定と進捗管理を行う。
対象部門: 経営者 総務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ハンガリー政府 |
|---|---|
| 業界 | 電力・エネルギー |
| 発表日 | 2026-08-05 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月05日
ハンガリー政府は7月30日、電力需給逼迫への対応として大口需要家に自主的な節電を要請した。背景には、国内最大の発電施設であるパクシュ原子力発電所(注)が冷却水として利用しているドナウ川の水位が記録的な低水準まで低下したことがある。このため、安全確保の観点から同発電所の出力が段階的に引き下げられている。
政府によると、ドナウ川の渇水による水位低下に伴い、同原発の原子炉・発電設備の出力抑制と停止を段階的に実施している。発電出力は、通常2,000メガワット(MW)であるところ、7月31日時点で960MW、8月1日時点で480MWまで低下した。8月2日には原子炉4基のうち3基が停止し、出力は240MWまで落ち込んだ。政府は、ドナウ川のさらなる水位低下が続いた場合、1982年の運転開始以来、初めて全面停止に至る可能性があるとしている。一方、停止作業の過程および停止後も原発の安全性は確保されるとしている。なお、現地8月3日夕刻時点では1基のみが運転を継続しており、同原発は完全停止には至っていない。
こうした状況を受け、送電系統運用会社MAVIRは電力系統の重大障害に備えた対応プロトコルを発動し、電力供給の継続に必要な措置を講じている。一方、政府は輸入電力や国内の予備発電設備を活用しながら需給バランスの維持を図る方針。
政府は8月1日に公布した政令118/2026号により、電力需給逼迫時や電力供給危機の恐れがある場合、MAVIRが大口需要家に対して負荷削減を指示、場合によっては供給を停止できるよう制度を改正した。ただし、現時点では強制的な需要制限は導入せず、自主的な節電を優先する方針を示している。
政府によると、これまでに300社超が自主的な節電への参加を表明し、約400MWの電力消費削減効果が見込まれている。さらに約270社の追加参加が見込まれるという。
同時に政府は、企業、自治体、国民に対し、電力需要のピークとなる午後5時から午後10時までの節電を要請している。8月2日には、企業や自治体、住民の協力により実際の電力消費が予測を約700MWも下回った。政府は8月3日時点で電力供給は安定としているが、今後数日間が最も重要な局面になるとの認識を示している。
(注)同原発の総設備容量は約2,000メガワット(MW)で、国内電力需要の約4割を賄う基幹電源。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー)
ビジネス短信 ded31253b2985dd0
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ドナウ川の渇水でパクシュ原発の出力低下、ハンガリー政府は企業、自治体、国民へ自主的節電を要請
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/ded31253b2985dd0.html
時系列
- 2026-07-30 ハンガリー政府が電力需給逼迫への対応として大口需要家に自主的な節電を要請。
- 2026-07-31 パクシュ原子力発電所の出力が通常2,000MWから960MWまで低下。
- 2026-08-01 パクシュ原子力発電所の出力が480MWまで低下。政府が政令118/2026号を公布し、MAVIRが大口需要家へ負荷削減指示や供給停止を行えるよう制度を改正。
- 2026-08-02 パクシュ原子力発電所の原子炉4基のうち3基が停止し、出力が240MWまで低下。企業や自治体、住民の協力により実際の電力消費が予測を約700MW下回る。
- 2026-08-03 パクシュ原子力発電所は夕刻時点で1基のみ運転継続、完全停止には至らず。政府は電力供給が安定していると認識。
主な数値
| パクシュ原発通常出力 | 2000MW |
|---|---|
| パクシュ原発7月31日時点出力 | 960MW |
| パクシュ原発8月1日時点出力 | 480MW |
| パクシュ原発8月2日時点出力 | 240MW |
| パクシュ原発の国内電力需要賄う割合 | 約4割 |
| 自主的節電参加表明企業数 | 300社超 |
| 自主的節電による電力消費削減効果見込み | 400MW |
| 追加参加見込み企業数 | 270社 |
| 8月2日の電力消費削減実績 | 700MW |
この事例から確認すべきポイント
この事例は、自然環境の変化が基幹インフラに与える影響と、それに対する政府の危機管理広報および実務対応の重要性を示しています。電力供給の安定性確保のため、政府は段階的な情報開示と、自主的な節電要請、そして将来的な強制措置の可能性を示唆する制度改正を並行して実施しています。企業は、サプライチェーン全体でのエネルギーリスク評価の必要性、政府の要請に対する迅速な対応体制の構築、そして予備電源や代替エネルギー源の確保といった事業継続計画(BCP)の見直しが求められます。また、国民への協力要請と実績の共有は、危機時の社会全体の協調を促す上で効果的な広報戦略と言えます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-05
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