経済・産業トレンド 助成金交付の意向表明

米商務省、CHIPSプラス法に基づきコンピューティング関連の半導体研究開発7社に計8億7,400万ドル助成

米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は、CHIPSプラス法に基づき、コンピューティング分野の半導体研究開発に関わる米国内企業7社と、総額8億7,400万ドルの連邦助成金交付の意向表明書を締結したと発表しました。この助成は、集積フォトニクス、先端パッケージング、AI向けメモリなどの研究開発を対象とし、米国内の製造・技術開発能力強化、高賃金雇用の創出、半導体産業における米国の競争力維持を目的としています。NISTは2025年9月から関連プロジェクトを公募しており、申請は2029年9月30日まで受け付けています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

半導体製造業、AI開発企業、関連サプライチェーン企業は、米国のCHIPSプラス法に基づく大規模な投資動向を注視する必要があるでしょう。特に、先端半導体技術の研究開発に携わる企業は、将来的な提携や市場機会の可能性を検討すべきです。米国への投資を検討する企業は、助成制度の条件(例:少数株式取得)を詳細に確認することが重要となります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理 広報

対応期限:公募締切まで

基本データ

企業・団体 米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)
業界 半導体
発表日 2026-07-30
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月30日

米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は7月29日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、コンピューティング分野のサプライチェーン向け半導体の研究開発に関係する米国内企業7社と、総額8億7,400万ドルの連邦助成金を交付する意向表明書を締結したと発表した。

発表によると、今回の助成は、集積フォトニクスや先端パッケージング、材料などの半導体分野の研究開発を対象とした。各企業の研究開発内容と助成額は次のとおり。

グローバルファウンドリーズ:半導体チップと光通信モジュールを同一パッケージ基板上に統合する「コパッケージド・オプティクス(CPO)」の研究開発に最大3億ドル。

ケプラー・コンピューティング:3次元実装技術や強誘電体技術を活用した、高性能な人工知能(AI)向けメモリの研究開発に最大2億4,500万ドル。

マルチビーム・コーポレーション:複数のチップを組み立て・積層し、数千本規模の配線で接続する先端パッケージング技術の研究開発に最大1億4,000万ドル。

エクストロピック:電子の熱力学的なゆらぎを活用し、従来よりも効率的な計算処理が可能なAI向け半導体チップ「熱力学的サンプリング装置(TSU)」の研究開発に最大7,500万ドル。

シントロニクス:先端パッケージングなどに求められる、超低損失(Ultra-low-loss)の層間絶縁膜の研究開発に最大5,000万ドル。

オブシディア・セミコンダクターズ:AIや先端エレクトロニクス向けの安全なサプライチェーンの構築を目的とした部品識別システムの研究開発に最大3,400万ドル。

アエルマ:AI向けフォトニック相互接続(注1)に用いられる光検出器やレーザーの製造に活用する基板技術の研究開発に最大3,000万ドル。

ハワード・ラトニック商務長官は、「これらの戦略的投資は米国内の(製造・技術開発)能力を強化し、高賃金の雇用を創出し、米国を半導体産業の最前線に維持することになる」と述べ、今回の資金拠出の意義を強調した。

NISTは2025年9月から、先端半導体のほか量子技術やAIなどの研究開発プロジェクトを公募しており(2025年9月30日記事参照)、今回の発表はこれに基づく(注2)。同制度の下、2026年5月には量子コンピューティングに関係する米国内企業9社(総額20億1,300万ドル)を、6月にはAIや量子暗号技術によるソリューションを扱うサンドボックスAQ(5億ドル)と次世代パワー半導体の研究開発を行うI-Pulse(2億5,000万ドル)に助成すると発表していた(2026年6月30日記事参照)。プロジェクトの申請は2029年9月30日まで受け付けている(注3)。

(注1)電子の代わりに光(光子)を用いてデータを伝送する技術。
(注2)今回の助成対象のような研究開発支援については、商務省が各企業の少数株式(非支配株)を取得することが条件となっている。
(注3)トランプ政権は重要産業に関し、米国内への投資を進めるとともに、同盟国・有志国とのサプライチェーン強靭(きょうじん)化や国際的なエコシステム構築にも取り組んでいる。詳しくは、2026年2月6日付地域・分析レポート参照。

(滝本慎一郎)

(米国)

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米商務省、CHIPSプラス法に基づきコンピューティング関連の半導体研究開発7社に計8億7,400万ドル助成

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/9cebeb582d5ace81.html

時系列

主な数値

助成対象企業数 7社
助成金総額 874000000ドル
グローバルファウンドリーズへの助成額 300000000ドル
ケプラー・コンピューティングへの助成額 245000000ドル
マルチビーム・コーポレーションへの助成額 140000000ドル
エクストロピックへの助成額 75000000ドル
シントロニクスへの助成額 50000000ドル
オブシディア・セミコンダクターズへの助成額 34000000ドル
アエルマへの助成額 30000000ドル
過去の量子コンピューティング関連企業への助成企業数 9社
過去の量子コンピューティング関連企業への助成総額 2013000000ドル
サンドボックスAQへの助成額 500000000ドル
I-Pulseへの助成額 250000000ドル

この事例から確認すべきポイント

本発表は、CHIPSプラス法に基づく米国の半導体産業強化策の一環として、コンピューティング分野、特にAI関連の半導体研究開発に大規模な投資が行われていることを示しています。先端パッケージング、フォトニクス、AI向けメモリ、新素材など多岐にわたる技術領域が対象であり、米国内の製造・技術開発能力強化、高賃金雇用創出、半導体産業における米国の競争力維持が明確な目的です。商務省が助成条件として各企業の少数株式を取得する点は、政府の関与の深さを示唆します。過去の助成事例も踏まえ、これは継続的な大規模投資プログラムであり、半導体サプライチェーンの再編や技術革新を加速させる可能性が高いです。関連企業は、米国の政策動向を注視し、中長期的な事業戦略に与える影響を評価する必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-30

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