経済・産業トレンド

米半導体工業会、米国半導体産業の競争力維持へ政策支援強化を提言

米国半導体工業会(SIA)は、2026年版年次報告書を公表し、2025年の世界半導体売上高で米国企業が53.4%を占め、1984年以来最高の市場シェアを達成したと報告しました。米国は研究開発、設計、先端製造で優位性を持つ一方、中国を下回る研究開発支出やサプライチェーンの脆弱性に警鐘を鳴らしています。SIAは、国内生産・技術基盤強化、競争力ある税制維持、公的研究開発投資拡充、人材確保、同盟国との連携、輸出管理の慎重運用、環境規制合理化の7つの政策優先課題を提言し、米国半導体産業の競争力維持には国内投資、研究開発、人材確保、同盟国との協力が一体的に必要であると強調しています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

半導体製造業、関連装置・材料産業、および半導体を利用するIT・自動車・家電などの産業は、米国の政策動向やサプライチェーンの変化に直接影響を受ける可能性があります。特に、輸出管理や技術規制の動向は、国際的な事業展開に影響を及ぼすため、経営層や法務部門、国際事業部門は注視が必要です。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 経理 広報 人事

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 米国半導体工業会(SIA)
業界 半導体
発表日 2026-07-29
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月29日

米国半導体工業会(SIA)は7月27日、米国半導体産業の現状や課題をまとめた年次報告書「State of the U.S. Semiconductor Industry」の2026年版を公表した。報告書によると、米国企業が2025年の世界半導体売上高の53.4%を占め、市場シェアは1984年以来最高となった。SIAは、米国企業が研究開発、半導体設計、先端製造などの幅広い分野で優位性を有していると指摘する。

研究開発についてみると、米国半導体企業の2025年の研究開発支出は768億ドルと前年比10.3%増加した。他方、支出額の水準としては、中国の官民を合わせた研究開発支出を下回っているとして、SIAは米国政府による研究開発支援や税制措置の重要性を指摘している。

また近年では、米国に対する国内外からの投資も相次いでいる。報告書によると、2020年から2025年にかけて、国内30州にわたり160件以上の半導体関連投資計画が発表され、投資総額は7,700億ドルを超えた。投資対象はウエハー製造工場(ファブ)だけでなく、後工程、製造装置、材料、研究開発などサプライチェーン全体に及ぶ。

他方、半導体産業が国際的な分業体制に依存していることを踏まえ、SIAはサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性に警鐘を鳴らした。具体的には、中国によるガリウム、ゲルマニウム、リン化インジウム、レアアース関連製品の輸出規制や、ホルムズ海峡周辺情勢によるナフサやヘリウムの供給制約が、半導体製造に影響を及ぼしていると指摘した。また、中国における成熟プロセス半導体の過剰生産が市場価格を押し下げ、市場をねじ曲げているとの認識を示した。

こうした状況を踏まえ、SIAは政策優先課題として次の7分野を挙げた。

半導体製造支援策や研究開発投資を継続し、米国内の生産・技術基盤を強化する。

半導体の研究開発・設計・製造を促進する競争力ある税制を維持する。

半導体および基礎科学分野への公的研究開発投資を拡充する。

人材育成や高度人材受け入れを通じて半導体人材の確保を進める。

同盟国との連携を通じ、米国製半導体に対する需要拡大とサプライチェーン強靱(きょうじん)化を図る。

輸出管理や技術規制は同盟国と協調しつつ慎重に運用する。

環境・エネルギー関連規制の手続きを合理化し、産業競争力を高める。

総じて報告書は、米国半導体産業の優位性を維持するためには、国内投資や研究開発、人材確保に加え、同盟国との協力による市場アクセスの確保とサプライチェーン強靱化を一体的に進める必要があるとの見方を示している。

(宮島菫)

(米国、世界)

ビジネス短信 dc5d9515a6fa009e

関連情報

dummy

もっと見る

ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

米半導体工業会、米国半導体産業の競争力維持へ政策支援強化を提言

ジェトロ公式SNSアカウント

出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/dc5d9515a6fa009e.html

時系列

主な数値

米国企業の2025年世界半導体売上高シェア 53.4%
米国半導体企業の2025年研究開発支出 768億ドル
米国半導体企業の2025年研究開発支出前年比増加率 10.3%
2020年から2025年までの米国国内半導体関連投資計画件数 160件以上
2020年から2025年までの米国国内半導体関連投資総額 7700億ドル超
2020年から2025年までの米国国内半導体関連投資計画発表州数 30州

この事例から確認すべきポイント

米国半導体工業会(SIA)の報告書は、米国半導体産業が世界市場で高いシェアを維持し、研究開発投資を拡大している一方で、中国との研究開発支出の差やサプライチェーンの脆弱性といった課題に直面している現状を浮き彫りにしています。特に、中国による特定材料の輸出規制や地政学的リスクによる供給制約、成熟プロセス半導体の過剰生産が市場に与える影響は、半導体サプライチェーン全体に波及する可能性があります。SIAが提言する政策優先課題は、国内生産・技術基盤の強化、競争力ある税制、公的研究開発投資の拡充、人材確保、同盟国との連携によるサプライチェーン強靭化など多岐にわたります。これらの提言は、米国政府の今後の政策決定に影響を与える可能性があり、半導体関連企業は、国際的な事業戦略や投資計画を策定する上で、これらの動向を注視する必要があります。特に、サプライチェーンの多様化やリスク管理の強化は、喫緊の課題として認識されるでしょう。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-29

関連事例

自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?

無料でプレスリリースを掲載する