パキスタン、信用格付けの引き上げを歓迎、投資誘致拡大は依然として課題も
この発表の要点
- S&Pがパキスタンの長期ソブリン信用格付けを「B-」から「B」へ引き上げ、見通しを「安定的」とした。
- IMF支援下での構造改革や財政規律の強化が評価される一方、2025/2026年度の対内直接投資(FDI)流入額は前年度比約34%減となっている。
- 今後の課題として、規制や行政手続きの透明性向上を通じた海外投資家の信頼醸成が挙げられている。
企業・自治体への影響
パキスタンに進出している企業や現地との貿易・投資を担う経営企画部門、財務部門において、国の信用力向上による資金調達環境の変化や今後の制度・規制運用の動向を把握する上で参考となる情報です。
対応すべきこと
- 公式出典および現地経済ニュースを確認し、パキスタンの格付け変更や経済動向を把握する。
- パキスタンに進出している場合は、現地の行政手続きや規制運用の変化に留意する。
- 関係部門へマクロ経済の動向を共有し、リスク管理に役立てる。
対象部門: 経営者 総務 財務 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 金融・経済 |
| 発表日 | 2026-07-27 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月27日
パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は7月22日、信用格付け大手S&Pグローバル・レーティング(以下、S&P)がパキスタンの長期ソブリン信用格付けを「B-」から「B」へ1段階引き上げ、見通しを「安定的」としたことを歓迎した。首相は今回の格上げを「国民経済にとって重要な節目」と位置付けるとともに、政府が進めてきた経済改革に対する国際社会の信認が一段と高まった結果であるとの認識を示した。
格付け「B」は、依然として投機的格付けの範囲内にあるものの、財政・対外収支環境や制度面の改善が評価され、デフォルトリスクの低下と国際的な信用力の向上が示された。シャリフ首相は声明の中で、経済安定化政策、財政規律の強化、税制改革、外貨準備高の積み増しに向けた継続的な取組みなどが正しい方向に進んでいる証左であると強調した。また、インフレ率を抑えつつ一定の経済成長を実現するために「困難だが不可欠な経済的決断」が着実に成果を上げ、それが国際的に認識され始めていると述べ、投資家の信頼向上や海外投資の拡大を通じた経済成長への期待を示した。
近年の経済基盤改善を背景に、2025年には主要格付け会社が相次いでパキスタンの信用力評価を引き上げており、今回の格上げはこの流れをさらに後押しするものだ。2025年4月にフィッチ・レーティングスがパキスタンの外貨建て長期格付け(IDR)を「CCC+」から「B-」へ、7月にS&Pが「CCC+」から「B-」(注)へ、8月にムーディーズが「Caa2」から「Caa1」へそれぞれ引き上げた。これらの格上げは、政府の対外債務状況の改善に起因していた。
今回の格上げは単なる「経済危機からの脱却」ではなく、IMFの支援下で進められてきた構造改革が経済基盤の安定化というかたちで一定の成果を上げ、国際的な信用力の改善につながったと捉えられる。一方で、パキスタン中央銀行(SBP)によると、2025/2026年度(2025年7月~2026年6月)の対内直接投資(FDI)流入額は前年度比約34%減となっており、投資誘致の拡大は依然として課題だ。今後、格付け改善を実際の投資拡大の呼び水としていくためには、財政改革と経済安定化政策の継続に加え、民間セクターの視点に立った公正かつ予見可能な制度運用や規制・行政手続きの透明性向上を通じて、既存の進出企業を含む海外投資家の信頼を醸成できるかが重要な焦点となる。
(注)S&Pの長期ソブリン信用格付け定義は次のとおり。他の主要格付け会社による評価もおおむね同水準に相当する。
CCC+:デフォルト(債務不履行)のリスクが高く、不利な事業・財務・経済環境に対して極めて脆弱(ぜいじゃく)な水準。
B-:投機的格付けの範囲内にあり、現時点では債務履行能力を有しているものの、不利な事業・財務・経済環境の変化に対して脆弱な水準。
B:投機的格付けの範囲内にあるものの、「B-」より信用力が一段階改善した水準。現時点では債務履行能力を有しているが、不利な事業・財務・経済環境の変化に対しては依然として脆弱性を有する。
(糸長真知)
(パキスタン)
ビジネス短信 08dc17c72a8af6f0
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パキスタン、信用格付けの引き上げを歓迎、投資誘致拡大は依然として課題も
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/08dc17c72a8af6f0.html
時系列
- 2025-04-01 フィッチ・レーティングスがパキスタンの外貨建て長期格付け(IDR)を「CCC+」から「B-」へ引き上げ
- 2025-07-01 S&Pがパキスタンの長期ソブリン信用格付けを「CCC+」から「B-」へ引き上げ
- 2025-08-01 ムーディーズがパキスタンの信用力評価を「Caa2」から「Caa1」へ引き上げ
- 2026-07-22 S&Pグローバル・レーティングがパキスタンの長期ソブリン信用格付けを「B-」から「B」へ引き上げ、見通しを「安定的」とする
- 2026-07-27 ジェトロがパキスタンの信用格付け引き上げに関するビジネス短信を発表
主な数値
| 2025/2026年度対内直接投資(FDI)流入額の前年度比増減率 | 約34%減 |
|---|
この事例から確認すべきポイント
本発表は、パキスタン経済における信用格付けの改善と、それに伴うマクロ経済の動向を伝えています。格付けの引き上げはデフォルトリスクの低下を示す一方で、対内直接投資の減少といった実体経済の課題も併記されています。パキスタンに進出している、または進出を検討している企業の実務においては、マクロ経済の安定化によるメリットを見据えつつも、規制運用や行政手続きの透明性、今後の投資動向の変化を引き続き注視し、リスク管理を行うことが重要となります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-27
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