2025年末の対米直接投資残高は5兆8,600億ドル、日本が7年連続で首位
この発表の要点
- 2025年末の対米直接投資残高は5兆8,644億ドルで、前年比4.8%増加した。
- 日本は最終的な実質所有者(UBO)ベースで8,271億ドルを記録し、7年連続で対米直接投資国別首位を維持した。
- 日本製鉄によるUSスチール買収(142億ドル)が、日本の金属原料・加工品分野の対米投資を大きく押し上げた。
企業・自治体への影響
本発表は、米国への事業展開を検討している製造業、特に電気機械、金属原料・加工品、卸売業の企業にとって、市場の動向と投資機会を把握する上で重要です。また、米国の通商政策が対米投資に与える影響を理解し、今後の事業戦略やM&A戦略を策定する上で、経営層や事業開発部門、国際部門に影響があります。
対応すべきこと
- 米国市場への投資を検討している企業は、最新の投資統計と業種別動向を確認する。
- 米国の通商政策、特に大統領選挙後の政策変更の可能性を継続的にモニタリングする。
- 自社の事業分野における対米投資の機会とリスクを評価し、戦略に反映させる。
- 関連する公式出典(米国商務省経済分析局など)で詳細なデータを確認する。
対象部門: 経営者 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 経済・産業調査 |
| 発表日 | 2026-07-22 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月22日
添付資料(242 KB)
米国商務省経済分析局(BEA)は7月21日、2025年の直接投資統計を発表した。同年末の対米直接投資残高は、前年比4.8%増の5兆8,644億ドルとなった。投資国・地域別では、最終的な実質所有者(UBO)ベース(注1)で日本が最大の8,271億ドル(1.6%増)だった(添付資料図参照)。日本は2019年から7年連続で国別首位を維持した(2025年7月23日記事参照)。
2025年末時点の対米直接投資残高を業種別でみると、製造業が前年比4.2%増の2兆5,123億ドルで、中でも電気機械・電化製品・部品(29.3%増、1,539億ドル)や金属原料・加工品(19.7%増、1,295億ドル)が増加した。非製造業では、卸売業が8.9%増と最も伸び、5,340億ドルだった。
UBOベースで投資国・地域別にみると、日本に続いて大きかったのがカナダ(前年比5.4%増、8,200億ドル)で、ドイツ(6.6%増、7,062億ドル)が続いた。増加幅ではドイツが490億ドル増となり最大だった(注2)。
国・地域別で最大だった日本の投資残高を産業別にみると、製造業が3,661億ドルと、全体の44.3%を占めた。ただし、前年比で3.9%減となっており、特に製造業の中で最大の構成比を占める化学(19.7%減、1,180億ドル)、続いて大きい輸送機械(20.6%減、604億ドル)はいずれも減少した。一方で、金属原料・加工品は約2.2倍の256億ドルと大きく増加した(添付資料表参照)。日本製鉄が2025年6月に、米国鉄鋼大手のUSスチールを142億ドルで買収し、完全子会社化したことが反映されたとみられる(2025年6月19日記事参照)。
トランプ政権は2025年4月に相互関税を発表して以降、各国・地域と個別に通商交渉を行い、日本(2026年3月23日記事参照)や韓国(2026年3月16日記事参照)などから対米投資の拡大に関する約束を取り付けた。対米投資の拡大は、トランプ政権の通商政策における重要な柱に位置付けられている。
(注1)投資主体を最終的に所有またはコントロールしている事業体(UBO:Ultimate Beneficial Owner)が所在する国を基準とした集計値。
(注2)BEAの発表によると、欧州からの投資残高が1,824億ドル増加したことで、投資残高全体を押し上げた。
(赤平大寿)
(米国、日本)
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2025年末の対米直接投資残高は5兆8,600億ドル、日本が7年連続で首位
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/474386eb8d6aaf35.html
時系列
- 2025-04 トランプ政権が相互関税を発表
- 2025-06 日本製鉄が米国鉄鋼大手のUSスチールを142億ドルで買収し完全子会社化
- 2025-12-31 対米直接投資残高の集計時点
- 2026-03-16 韓国との対米投資拡大に関する通商交渉に関する記事が公開
- 2026-03-23 日本との対米投資拡大に関する通商交渉に関する記事が公開
- 2026-07-21 米国商務省経済分析局(BEA)が2025年の直接投資統計を発表
- 2026-07-22 日本貿易振興機構(ジェトロ)が本記事を公開
主な数値
| 対米直接投資残高(2025年末) | 58644億ドル |
|---|---|
| 日本の対米直接投資残高(2025年末、UBOベース) | 8271億ドル |
| 日本の対米直接投資残高首位維持期間 | 7年 |
| 製造業の対米直接投資残高(2025年末) | 25123億ドル |
| 日本製鉄によるUSスチール買収額 | 142億ドル |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、米国への直接投資が堅調に推移している現状と、その中で日本が主要な投資国としての地位を確立していることを示しています。特に、トランプ政権下での通商政策が対米投資拡大を重視している背景があり、今後の米国の政治動向が投資環境に与える影響を注視する必要があります。業種別では製造業が引き続き大きな割合を占め、特に電気機械や金属原料・加工品といった分野での成長が顕著です。日本の投資動向では、製造業全体では減少傾向にあるものの、日本製鉄による大型買収が金属原料・加工品分野の投資を大きく押し上げており、個別のM&Aが統計に与える影響の大きさが確認できます。企業は、米国の政策動向、特に通商政策や産業政策の変更が自社の事業戦略に与える影響を継続的に評価し、投資判断に反映させる必要があるでしょう。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-22
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