隣国ジョホール州との鉄道開通で消費流出超過に、シンガポール経済団体が試算
この発表の要点
- シンガポールとジョホール州を結ぶRTS開通により、年間2億9,400万Sドルの消費流出超過が見込まれる。
- この消費流出超過額は、2025年のシンガポールの小売・飲食売上高合計の0.4%に相当する。
- シンガポールの小売・飲食セクターは、特に郊外地域で影響を受け、食料品、ドラッグストア、外食、美容サービス品目の消費流出が予測される。
企業・自治体への影響
シンガポールで小売業や飲食業を展開する企業は、RTS開通による消費流出の影響を考慮し、事業戦略の見直しが必要となる可能性があります。特に郊外に店舗を持つ企業や、食料品、ドラッグストア、外食、美容サービスを提供する企業は、顧客のジョホール州への流出対策を検討すべきです。
対応すべきこと
- シンガポールで小売・飲食事業を展開する企業は、RTS開通後の消費動向変化を予測し、事業戦略を見直す。
- 特に郊外に店舗を持つ企業は、顧客のジョホール州への流出対策を検討する。
- SBF、RAS、SRAの共同調査レポート「RTSによるシンガポールの小売り、飲食セクターへのインパクト」を公式出典から確認し、詳細な分析結果を把握する。
- 関連部門(経営企画、マーケティング、店舗運営など)へ本情報を共有し、今後の事業計画に反映させる。
対象部門: 経営者 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | シンガポール・ビジネス連盟(SBF)、シンガポール・レストラン協会(RAS)、シンガポール小売業協会(SRA) |
|---|---|
| 業界 | 小売・飲食 |
| 発表日 | 2026-07-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | シンガポール |
発表された内容
2026年07月22日
シンガポールと隣国マレーシア南部ジョホール州を結ぶ高速輸送システム(RTS)の開通により、シンガポールからジョホール州へのアウトバンドの年間消費額が10億5,000万シンガポール・ドル(約1,323億円、Sドル、1Sドル=約126円)増加する見通しだ。一方、ジョホール州からシンガポールへのインバウンドの年間消費額の増加額は7億5,600万Sドルにとどまり、差し引き2億9,400万Sドルの消費流出超過と見込まれる。シンガポール・ビジネス連盟(SBF)、シンガポール・レストラン協会(RAS)とシンガポール小売業協会(SRA)の共同調査(注)による試算が7月16日の発表で明らかになった。
シンガポールとジョホール州の州都ジョホールバルは現在、2本の橋で結ばれている。RTSが2026年末までに完成すれば、1時間当たり最大1万人の輸送が可能になり、両国間の交通利便性が大幅に向上する見通しだ(2026年3月5日付地域・分析レポート参照)。同調査によると、公共交通機関を利用してジョホールバルを訪れるシンガポールの消費者の年間平均訪問回数は、RTS開通前の8回から開通後には14回へと70%増加する見込みだ。また、自家用車などを利用する消費者についても、年間平均10回から13回へと31%増加すると予想される。RTS開通後も、訪問の6割以上が日帰りになると見込まれている。
RTS開通による2億9,400万Sドルの消費流出超過額は、2025年のシンガポールの小売売上高(522億Sドル)と飲食売上高(193億Sドル)の合計額の0.4%に相当する。地域別では、都心部よりも郊外でRTS開通の影響を受ける見通しだ。シンガポールの消費者のジョホールバルで支出する品目は食料品が最も多く、ドラッグストア、外食、美容サービスが続く。
今回の調査では、2018年に開通した香港・深センの広深港高速鉄道(XRL)の事例が、比較ベンチマークとして用いられた。新型コロナ禍後にXRLが2023年に運行再開した際には、陸路による越境移動が63%増加した。
(注)SBF、RAS、SRAの共同調査レポート「RTSによるシンガポールの小売り、飲食セクターへのインパクト」はSBFのサイトからダウンロードできる。
(本田智津絵)
(シンガポール、マレーシア)
ビジネス短信 297804e26364ce19
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隣国ジョホール州との鉄道開通で消費流出超過に、シンガポール経済団体が試算
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/297804e26364ce19.html
時系列
- 2018-XX-XX 香港・深センの広深港高速鉄道(XRL)が開通
- 2023-XX-XX 新型コロナ禍後にXRLが運行再開
- 2026-03-05 地域・分析レポート参照日
- 2026-07-16 SBF、RAS、SRAの共同調査による試算が発表
- 2026-07-22 ジェトロが本記事を掲載
- 2026-12-31 高速輸送システム(RTS)が完成予定(2026年末まで)
主な数値
| シンガポールからジョホール州への年間消費額増加 | 1050000000Sドル |
|---|---|
| ジョホール州からシンガポールへの年間消費額増加 | 756000000Sドル |
| 消費流出超過額 | 294000000Sドル |
| RTS完成予定時期 | 2026年末 |
| RTS輸送能力 | 10000人/時間 |
| 公共交通機関利用者の年間平均訪問回数増加率 | 70% |
| 自家用車利用者の年間平均訪問回数増加率 | 31% |
| 消費流出超過額の小売・飲食売上高合計に対する割合 | 0.4% |
| 2025年シンガポール小売売上高 | 52200000000Sドル |
| 2025年シンガポール飲食売上高 | 19300000000Sドル |
| XRL運行再開後の陸路越境移動増加率 | 63% |
この事例から確認すべきポイント
シンガポールとマレーシア・ジョホール州を結ぶ高速輸送システム(RTS)の開通は、両国間の交通利便性を大幅に向上させ、シンガポールからのジョホール州への消費流出を加速させる可能性が示唆されています。特に、シンガポール・ビジネス連盟などの共同調査では、年間2億9,400万Sドルの消費流出超過が見込まれており、これは2025年のシンガポールの小売・飲食売上高合計の0.4%に相当するとのことです。この影響は都心部よりも郊外で顕著になると予測され、食料品、ドラッグストア、外食、美容サービスといった品目で消費が流出する可能性が高いとされています。過去の事例として香港・深センの高速鉄道(XRL)の運行再開後の越境移動増加がベンチマークとして用いられており、RTS開通後も同様の消費行動の変化が起こりうると分析されています。シンガポールの小売・飲食セクターは、この消費動向の変化を注視し、今後の事業戦略に反映させる必要性が高まっています。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-22
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