カーニー首相、米国の追加関税方針に反発、CUSMA協議強化の意向を示す
この発表の要点
- 米国がカナダ産品(乳製品、アルコール飲料、自動車部品)に対し、8月19日以降に50%の追加関税を課す大統領布告を発表した。
- カナダ首相は、この措置をCUSMA違反の一方的なものと非難し、米国との協議強化の意向を示している。
- 今回の関税措置はCUSMA適用品目も対象とし、1930年関税法第338条に基づくもので、過去に適用例がない。
企業・自治体への影響
カナダから米国へ乳製品、アルコール飲料、自動車部品を輸出する企業は、50%の追加関税によりコスト増大や競争力低下のリスクに直面します。サプライチェーンにカナダ産品を含む米国企業や、メキシコを含む北米サプライチェーンを持つ企業は、調達コストや物流計画の見直しが必要となる可能性があります。特に自動車産業は、部品調達に大きな影響を受ける可能性があり、今後の協議の動向を注視する必要があります。
対応すべきこと
- 自社がカナダから米国へ輸出する乳製品、アルコール飲料、自動車部品、またはそれらを含む製品がないか確認する。
- 対象品目がある場合、8月19日以降の追加関税適用による事業への影響を評価し、代替調達や価格戦略の見直しを検討する。
- 関係部門(経理、法務、調達、営業など)へ本発表の内容を共有し、情報収集と対応策の検討を開始する。
- CUSMAに関する米国、カナダ、メキシコ間の協議の進展、特に今後の公式発表や合意内容を継続的に監視する。
対象部門: 経営者 総務 法務 広報 経理
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | カナダ首相府 |
|---|---|
| 業界 | 食品・飲料, 自動車製造 |
| 発表日 | 2026-07-20 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月21日
カナダのマーク・カーニー首相は7月20日、米国がカナダ産品の一部に対して新たに50%の追加関税を課す意向を表明したことを受け、声明を発表した。カーニー首相は今回の措置について、「米国による一方的な措置」とし、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA、注1)に違反するとの認識を示した。
米国のドナルド・トランプ大統領は同日、1930年関税法第338条に基づき、カナダの乳製品、アルコール飲料、自動車部品に対し、米国東部時間8月19日午前0時1分以降に輸入通関される製品を対象として、50%の追加関税を課す大統領布告を発表した(2026年7月21日記事参照)。1974年通商法122条に基づく10%の追加関税などでは、CUSMAの適用品目は追加関税の対象外とされていたが、今回の措置ではCUSMAの適用品目も追加関税の対象となる。
カーニー首相は、「米国はこれまでもCUSMAに違反してカナダに関税を課してきた。これには自動車産業への関税も含まれ、カナダはこれに対し同等の対抗措置を講じてきた」と述べた(2025年2月3日記事、2025年4月7日記事参照)。また、CUSMAの共同見直しについて、過去18カ月にわたり通商摩擦の解決に向けた詳細かつ包括的な提案を米国側に提示してきたとし、今後数週間にわたり米国との協議を強化する用意があると表明した。7月1日にオンラインで開催されたCUSMAの見直し協議では、カナダはCUSMAを16年間延長することに積極的な姿勢を示したものの(2026年7月3日記事参照)、米国はCUSMAの延長に応じない姿勢を示していた(2026年7月2日記事参照、注2)。
カナダの自動車部品製造業協会(APMA)会長のフラビオ・ボルペ氏は、CBCニュースのインタビュー(7月20日)で、「338条は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく対世界一律の関税措置とは異なり、特定の国による差別的措置を対象とする規定だ」とした上で、「トランプ政権は338条を他国・地域で他の条件にも適用できるか試しているのではないか」との見方を示した(注3)。その上で、自動車部品を対象とした品目リストには、自動車産業との関連が薄い品目も含まれているとして、「慌てる必要はない」と述べた。
(注1)米国ではUSMCA、メキシコではT-mecと呼ばれる。
(注2)メキシコもCUSMAの16年間の延長を求めている(2026年7月2日記事参照)。米国とメキシコとの間では7月22~24日にかけて3回目の公式協議が行われる予定だが、カナダとの公式協議はまだ行われていない。メキシコのロベルト・ベラスコ・アルバレス外相は7月17日、メキシコが米国と先行して2国間合意を結ぶのではと問われ、CUSMAは3カ国間の合意だと強調した上で「各国間にはそれぞれ異なる2国間課題があり、その解決に取り組んでいる」と述べた。
(注3)これまでに338条を基に関税を課した大統領はおらず、仮にカナダに対して8月19日以降に追加関税を課せば、トランプ大統領が初となる。
(木村勇翔)
(カナダ、米国、メキシコ)
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カーニー首相、米国の追加関税方針に反発、CUSMA協議強化の意向を示す
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/3cd8f94d2d09db30.html
時系列
- 2026-07-01 CUSMAの見直し協議がオンラインで開催され、カナダは16年延長に積極的な姿勢を示す
- 2026-07-02 米国がCUSMAの延長に応じない姿勢を示す
- 2026-07-20 米国がカナダ産品の一部に対し新たに50%の追加関税を課す意向を表明
- 2026-07-20 カナダのマーク・カーニー首相が声明を発表し、米国の一方的な措置をCUSMA違反と認識
- 2026-07-20 米国のドナルド・トランプ大統領が、乳製品、アルコール飲料、自動車部品に対し50%の追加関税を課す大統領布告を発表
- 2026-08-19 米国東部時間午前0時1分以降に、対象製品への追加関税が課される予定
主な数値
| 追加関税率 | 50% |
|---|---|
| 関税発効日 | 2026-08-19 00:01米国東部時間 |
| CUSMA延長期間 | 16年間 |
この事例から確認すべきポイント
この発表は、米国、カナダ、メキシコ間の貿易協定であるCUSMAを巡る国際的な通商摩擦が激化している状況を示しています。特に、米国が1930年関税法第338条を根拠に、CUSMAの適用品目をも対象とする50%の追加関税を課す方針は、従来の通商慣行からの逸脱であり、国際貿易における新たな法的解釈や適用範囲の試行である可能性が指摘されています。カナダ首相が「一方的な措置」としてCUSMA違反を主張し、対抗措置の可能性を示唆していることから、今後の協議の行方によっては、関係国間の貿易関係に深刻な影響を及ぼす可能性があります。企業は、対象品目や関税発効日を注視し、サプライチェーンへの影響を評価する必要があるでしょう。また、CUSMAの共同見直し協議の進展、特に米国とメキシコ間の協議、そしてカナダとの協議の再開と結果が、今後の貿易環境を大きく左右する重要な要素となります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-21
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