経済・産業トレンド

米税関、IEEPA関税の還付進捗を報告、約70%分にめど

米国税関・国境警備局(CBP)は、米国国際貿易裁判所(CIT)に対し、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき徴収した関税の還付システム「CAPE」の運用状況を報告しました。約1,660億ドルの徴収額のうち、約70%にあたる約1,217億5,000万ドルの還付がCBPにより承認され、約50%にあたる約863億ドルが財務省による支払い段階に入っています。CAPE申請では、記録上の輸入者不一致や申告番号の不備、テンプレート不適合によるエラー、また輸入日超過やHTSコード記載漏れによる却下が発生しており、一部では銀行口座情報の未登録により支払い手続きが滞っています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

米国との貿易を行う企業、特にIEEPA関税を支払った輸入者やその通関業者にとって、還付金の回収進捗は資金繰りに直接影響します。申請手続きの不備によるエラーや却下は、還付の遅延や不承認に繋がり、財務部門や法務部門に負担をかける可能性があります。正確な情報入力とCBPの要件遵守が、還付を円滑に進める上で極めて重要となります。

対応すべきこと

対象部門: 経理 法務 総務

対応期限:公募締切まで

基本データ

企業・団体 米国税関・国境警備局(CBP)
発表日 2026-07-15
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月15日

米国税関・国境警備局(CBP)は7月13日、米国国際貿易裁判所(CIT)に対して、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき徴収した関税を還付する「統合通関管理・処理システム(CAPE)」の運用状況を報告した。IEEPA関税の徴収額約1,660億ドルのうち、約70%分はCBPによる還付の承認が終わり、約50%分は財務省による還付の支払いの段階に入った。

CAPEでは、(1)電子通関システム(ACE)にIEEPA関税の還付を請求する輸入申告番号(Entry Number)をまとめたCSVファイルをアップロードする「CAPE申請」、(2)IEEPA関税に該当する米国関税分類番号(HTSコード)を削除し、IEEPA関税を申告しなかったものとして還付金額を再計算する「一括処理」、(3)「審査および清算・再清算」、(4)財務省による「還付」の4段階を経る(2026年4月14日記事参照)。

今回のCBPの報告によれば、米国東部時間7月10日午後3時時点で、22万9,609件(前回6月29日時点:21万3,939件)のCAPE申告が提出され、そのうち16万1,792件(前回:14万9,840件)がエラーなくシステムにアップロードされた。今回CBPが指摘したエラーの主な理由は、これまでと同様に、(1)記録上の輸入者(IOR)または申告者が一致していないこと(注1)、(2)輸入申告番号が一致していないこと(例:桁数が不適切、番号が存在しない)、(3)CSVファイルがACEで公開されているテンプレートに準拠していないこと、だった(2026年7月3日記事参照)。

アップロードされたCAPE申請のうち、輸入申告ベースでは2,440万件(前回:1,810万件)についてIEEPA関税の還付が承認された。このうち1,674万件(前回:1,592万件)は、清算・再清算を終えた。一方、CBPは477万件(前回:436万件)の輸入申告について還付申請を却下した。却下の主な理由もこれまでと同様に、(1)輸入日がCBPによる90日間の再清算権限期間を過ぎていること(注2)、(2)輸入申告書類にIEEPA関税の算定に使用するHTSコード99類の番号が記載されていないこと(注3)、(3)異なるCAPE申請で既に申告済みであること、だった。

CBPによれば、還付が認められた金額は約1,217億5,000万ドル(前回:1,042億9,000万ドル)に達した。IEEPA関税の徴収額は約1,660億ドルのため、金額ベースでは70%超の還付にめどがついた計算となる(注4)。このうち、利子を含めた約863億ドル(前回:710億6,000万ドル)については、財務省において還付金の支払い手続きが進められている。なお、自動決済機関(ACH)に関税還付用の銀行口座情報が登録されていないとの理由から、9,837件(前回:8,384件)件は支払い手続きが進まなかった(注5)。

6月29日から開始した、事後清算の「調整(reconciliation)対象」としてフラグが付された輸入申告に対する還付申請(「フェーズ2」の還付申請)については(2026年6月25日記事参照)197万件だった(前回6月30日午後5時時点:160万件)。

(注1)CAPE申請が可能なのは、IOR、またはIORに代わって輸入概要書を提出した通関業者に限られる。
(注2)「フェーズ1」のCAPE申請は、関税が未清算、または清算後80日までの輸入申告を対象としている。
(注3)IEEPA関税などの追加関税が賦課される際は、本来のHTSコードに加え、追加関税対象であることを指すHTSコードが新たに99類に作成される。輸入申告時には、このHTSコードも併せて申告する必要がある。
(注4)還付金には利子が含まれる。そのため、仮に全てのIEEPA関税が還付される場合、還付額は1,660億ドルを超える。
(注5)ACHは米国の電子送金システムを指す。還付は電子的に行われるため、電子還付プログラムへの登録手続きを行っておく必要がある(2026年1月8日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国)

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米税関、IEEPA関税の還付進捗を報告、約70%分にめど

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/37d10f50b0e99afd.html

時系列

主な数値

IEEPA関税徴収額 1660億ドル
CBPによる還付承認済み金額 1217.5億ドル
CBPによる還付承認済み金額の割合 70%
財務省による支払い手続き中の金額 863億ドル
財務省による支払い手続き中の金額の割合 50%
CAPE申告提出件数(7月10日時点) 229609件
エラーなくアップロードされたCAPE申告件数(7月10日時点) 161792件
還付承認された輸入申告ベース件数(7月10日時点) 2440万件
清算・再清算を終えた輸入申告ベース件数(7月10日時点) 1674万件
還付申請却下された輸入申告件数(7月10日時点) 477万件
支払い手続きが進まなかった件数(ACH未登録) 9837件
フェーズ2還付申請件数(7月10日時点) 197万件

この事例から確認すべきポイント

米国税関・国境警備局(CBP)による国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税還付は、約70%の承認、約50%の支払い段階と着実に進捗しているものの、申請プロセスにおける課題が依然として顕在化しています。特に、記録上の輸入者(IOR)や申告者の不一致、輸入申告番号の不備、CSVファイルのテンプレート不準拠といった基本的な入力エラーが多数報告されており、申請者側の手続き理解度や正確性の向上が求められます。また、輸入日がCBPの再清算権限期間を過ぎているケースや、IEEPA関税算定に必要なHTSコード99類の記載漏れによる却下も多く、申請要件の厳格な遵守が不可欠です。さらに、自動決済機関(ACH)への銀行口座情報未登録により、承認された還付金の支払いが滞る事例も発生しており、還付を待つ企業は電子還付プログラムへの事前登録が重要となります。これらの状況は、貿易関連企業が還付申請を行う際に、CBPのガイドラインを詳細に確認し、正確かつ期限内に手続きを進めることの重要性を改めて示唆しています。企業は、自社の申請状況を定期的に確認し、エラーや却下理由を分析することで、今後の申請手続きの改善に繋げ、資金回収の確実性を高める必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-15

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