経済・産業トレンド 政策計画

中国国務院、脱炭素に向けた5カ年規画期間のアクションプランを発表

中国国務院は2026年7月5日、「第15次5カ年(2026~2030年)カーボンピークアウトアクションプラン」を発表しました。本プランは、2030年までに単位GDP当たりの二酸化炭素排出量を2025年比17%削減し、非化石燃料エネルギー消費総量比率を25%へ引き上げることを目標としています。エネルギー、産業、建築、交通など多岐にわたる分野で具体的な計画が示され、関連法規制の整備や資金支援の強化も盛り込まれています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

中国市場で事業を展開する企業、特にエネルギー、製造、建設、運輸関連企業は、この計画による規制強化、市場の変化、投資機会を詳細に分析する必要があります。サプライチェーン全体での脱炭素化要求が高まる可能性があり、関連技術開発や設備投資の加速が求められるでしょう。日本企業も、中国との取引や投資において、これらの環境規制や目標達成に向けた動向を注視し、事業戦略に反映させる必要があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 広報 人事 経理 情シス 総務

対応期限:目標達成期限あり

基本データ

企業・団体 中国国務院
業界 エネルギー, 製造, 建設, 運輸
発表日 2026-07-05
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月15日

中国国務院は7月5日、「第15次5カ年(2026~2030年)カーボンピークアウトアクションプラン」〔国発(2026)22号〕を発表した(中国政府ウェブサイト掲載は7月9日)。本アクションプランは生態環境法典(注1)ならびにカーボンピークアウト・カーボンニュートラル総合評価考課弁法などの関連要求に基づき制定された。2030年までに単位GDP当たりの二酸化炭素排出量低下率を2025年比17%削減し、非化石燃料エネルギー消費総量比率を25%へ引き上げることを目標とし(注2)、各分野での計画を示した。

エネルギー分野では、非化石エネルギーの開発に注力するとして、2030年までに風力と太陽光発電の総設備容量を28億キロワット以上、従来型水力発電の設備容量を約4億1,000万キロワット、原子力発電の稼働設備容量を約1億1,000万キロワットに引き上げるとした。また、電力システムにおける新エネルギー受容能力の向上(注3)、石炭消費のクリーン代替、石油・天然ガス消費構造の最適化が掲げられた。

産業分野では、鉄鋼、アルミ、セメント、ガラス、石油化学など高排出産業の省エネ改造を加速させるとともに、国家級ゼロカーボン園区を約100カ所、ゼロカーボン工場を約500カ所建設するとした。また、産業構造をハイエンド化、スマート化、グリーン化へと転換し、第15次5カ年規画期間におけるエネルギー関連重点プロジェクトおよび新業態への投資規模は20兆元(約480兆円、1元=約24円)を超えるとした。その他に、伝統産業の省エネ・低炭素化、演算設備のグリーン・低炭素化、循環経済の炭素削減への寄与向上が掲げられた。

重点分野として、建築、交通に係る計画も挙げられた。建築分野では省エネ・低炭素化管理を強化し、第15次5カ年規画期間における建築面積単位当たりの直接炭素排出量を3%削減させるとした。交通分野では、新エネルギー車(NEV)の保有台数を継続的に増加させるとともに、公共車両の電動化を加速させるとした。また、新エネルギー大型トラックの大規模導入を支援し、電気、液化天然ガス、バイオディーゼル、グリーンメタノールなどを動力とする船舶の開発を推進するとした。2030年までにNEVの保有率を30%に、新エネルギー商用輸送車両の保有率を25%に引き上げることを目標として掲げた(注4)。

その他に、関連法規制の整備、統計・算出システムの整備、人材育成、国家低炭素転換基金の設立など資金支援の強化、価格政策の整備、市場化メカニズムの整備などが挙げられた。

(注1)生態環境法典は2026年8月15日に施行予定。詳細はジェトロ調査レポート中国「生態環境法典」の要点整理と対応策を参照。
(注2)第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議で3月5日に発表した政府活動報告においても、グリーン・低炭素の分野で、「単位GDP当たりの二酸化炭素排出量低下率を5年累計で17.0%」「非化石燃料エネルギー消費総量比率25.0%」を拘束性指標として掲げていた(2026年3月11日記事参照)。
(注3)具体的目標として、2030年までに揚水発電の設備容量を約1億6,000万キロワット、新型エネルギー貯蔵設備容量を3億キロワットに引き上げるとした。また、全国の仮想発電所(バーチャルパワープラント、VPP)の最大調整能力を5,000万キロワット以上に引き上げ、電力需要応答能力をピーク時需要の5%以上に高めるとした。
(注4)中国公安部による2026年1月27日の発表では、2025年末のNEV保有率は12.01%だった。なお、中国の2025年のNEVの販売台数は前年比28.2%増の1,649万台となり、自動車の販売台数全体に占める割合は47.9%と2024年より7.0ポイント上昇している(2026年1月16日記事参照)。

(亀山達也)

(中国)

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中国国務院、脱炭素に向けた5カ年規画期間のアクションプランを発表

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/eef74c5d29e0cb47.html

時系列

主な数値

計画期間 2026-2030年
単位GDP当たりCO2排出量削減目標 17%
非化石燃料エネルギー比率目標 25%
風力・太陽光発電総設備容量目標 28億キロワット以上
従来型水力発電設備容量目標 4.1億キロワット
原子力発電稼働設備容量目標 1.1億キロワット
国家級ゼロカーボン園区建設目標 100カ所
ゼロカーボン工場建設目標 500カ所
エネルギー関連投資規模 20兆元以上
エネルギー関連投資規模(円換算) 480兆円
建築面積単位当たり直接炭素排出量削減目標 3%
NEV保有率目標 30%
新エネルギー商用輸送車両保有率目標 25%
揚水発電設備容量目標 1.6億キロワット
新型エネルギー貯蔵設備容量目標 3億キロワット
仮想発電所最大調整能力目標 5000万キロワット以上
電力需要応答能力目標 5%以上

この事例から確認すべきポイント

中国国務院によるカーボンピークアウトアクションプランは、2026年から2030年までの期間における中国の脱炭素化への強いコミットメントを示すものです。エネルギー、産業、建築、交通といった主要経済分野にわたる具体的な数値目標と大規模な投資計画が提示されており、中国市場で事業を展開する企業にとっては、事業戦略の見直しや新たな機会創出の必要性を示唆しています。特に、非化石エネルギーへの転換、高排出産業の省エネ改造、新エネルギー車の普及加速は、サプライチェーンや技術開発、設備投資に大きな影響を与えるでしょう。企業は、関連法規制の動向、資金支援策、市場化メカニズムの整備状況を継続的に監視し、自社の事業活動への影響を評価するとともに、中国の政策方向性に合致した事業展開を検討することが求められます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-15

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