米FDA、医薬品製造施設の登録制度見直し案を公表
この発表の要点
- 米FDAは医薬品製造事業者および販売業者に対する登録手続きの変更規則案を公表した。
- 規則案は、製造拠点登録の簡素化と、外国企業を含む医薬品製造施設および医薬品の登録規制の明確化を目的としている。
- FDAは本規則案に対し、2026年9月11日までパブリックコメントを受け付けている。
企業・自治体への影響
本規則案は、米国市場に医薬品を供給する国内外の製薬企業および販売業者に影響を与えます。特に、複数の製造拠点を有する企業は登録手続きの効率化が期待できる一方、これまで登録が不要だった外国施設が新たに登録義務の対象となる可能性があります。これにより、法務・総務部門におけるコンプライアンス体制の見直しや、経理部門におけるコスト評価が必要となる場合があります。
対応すべきこと
- 米国向けに医薬品を製造・販売する企業は、規則案の詳細を確認し、自社の事業への影響を評価する。
- パブリックコメント期間(9月11日まで)中に、自社の意見をFDAへ提出することを検討する。
- 登録手続きの変更点(簡素化、新規登録要件、外国施設への義務化)を把握し、社内での対応方針を検討する。
- 医薬品サプライチェーンの透明性向上と医薬品不足防止に向けたFDAの今後の動向を継続的に注視する。
対象部門: 経営者 総務 法務 広報 経理
対応期限:公募締切まで
基本データ
| 企業・団体 | 米国食品医薬品局(FDA) |
|---|---|
| 業界 | 医薬品製造 |
| 発表日 | 2026-07-10 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月15日
米国食品医薬品局(FDA)は7月10日、医薬品の製造事業者および販売業者に対する登録手続きを変更する規則案を公表した。7月13日に官報でも公示した。本規則案は、米国で流通する医薬品および原薬(API)を製造する外国企業を含む製薬企業を対象としており、FDAは9月11日までパブリックコメントを受け付ける。
本規則案には大きく2つの目的がある。1つは、製造拠点登録の簡素化だ。現在、米国向けに医薬品を製造する企業は、品質管理の中核拠点の下で複数の製造拠点を運営している場合でも、各製造拠点を個別に登録する必要がある。本規則案では、全ての製造拠点を1つの事業所として登録することが可能になるため、企業にとっては手続きに要する時間や費用を削減できるメリットがある。具体的には、登録情報の更新手続きを通じて、製造拠点の追加、移転、削除が可能となる。なお本規則案では、初めてFDAに製造施設を登録する場合、米国内の製造拠点が医薬品の製造を開始した5日以内、または医薬品が米国に輸入される前のいずれか早い方までに登録を行わなければならないとしている。
もう1つの目的は、2022年に成立した「パンデミック防止法(PREVENT Pandemics Act)」に基づく、医薬品製造施設および医薬品の登録に関する規制の明確化だ。連邦食品医薬品化粧品法は、米国に輸入される医薬品やAPIなどを製造する外国の製造施設に対し、FDAへの施設登録および当該医薬品の登録を義務付けている。一方、米国外向けのみに医薬品を販売する場合、FDAへの登録は必要ない。だが本規則案では、医薬品が別の外国施設で追加加工され、最終的に米国市場に流通する場合、FDAへの登録を義務付ける。本規則に基づくFDAへの登録および医薬品リスト登録に伴い、FDAおよび企業に発生する年間純コストは、年間で48万2,472~66万4,495ドルと推定されている。
本規則案は、医薬品不足の防止を目的とする、米国内の医薬品製造力強化およびサプライチェーンの透明性向上を図るFDAの取り組みの一環に位置付けられる。米国では、医薬品サプライチェーンの中国への過度な依存に対する懸念が高まっている(2026年3月26日記事参照)。米国薬局方(USP)によると、米国で使用されるAPIに含まれる主要有効成分(KSM)の41%は中国から調達されている。また、米国は後発医薬品(ジェネリック)の供給をインドに大きく依存しているが、インドのジェネリック医薬品の製造に用いられる主要なAPIの多くは中国から調達されている。中国への依存度が最も高いのは上流の製造工程であり、本規則案は当該分野の監視強化を図る内容となっている。
(大垣ジャスミン)
(米国)
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米FDA、医薬品製造施設の登録制度見直し案を公表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/59ea8d595ee7fbd1.html
時系列
- 2022 「パンデミック防止法(PREVENT Pandemics Act)」が成立
- 2026-03-26 医薬品サプライチェーンの中国への過度な依存に関する記事が参照される
- 2026-07-10 米国食品医薬品局(FDA)が医薬品の製造事業者および販売業者に対する登録手続きを変更する規則案を公表
- 2026-07-13 規則案を官報で公示
- 2026-09-11 規則案に対するパブリックコメント受付締切
主な数値
| 年間純コスト(推定) | 482,472~664,495ドル |
|---|---|
| 米国で使用されるAPIに含まれる主要有効成分(KSM)の中国からの調達割合 | 41% |
この事例から確認すべきポイント
本規則案は、米国市場に医薬品を供給する国内外の製薬企業に対し、登録手続きの簡素化と同時に新たな登録義務の範囲拡大をもたらす可能性があります。特に、複数の製造拠点を有する企業は手続きの効率化が期待できる一方、これまで登録が不要だった外国施設が新たに義務付けられるケースも生じます。これは、医薬品サプライチェーンの透明性向上と、特定の国への過度な依存を解消し、医薬品不足を防止するというFDAの戦略的な意図を反映しています。企業は、9月11日までのパブリックコメント期間中に、自社の事業への影響を評価し、必要に応じて意見を提出することが重要です。また、最終的な規則の内容を注視し、登録システムの変更に迅速に対応するための準備を進める必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-15
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