経済・産業トレンド

6月の米雇用統計、新規雇用者数は市場予想を下回る

2026年7月2日、米国労働省労働統計局(BLS)が発表した6月の米雇用統計によると、非農業部門の新規雇用者数は前月比5万7,000人増と市場予想を大幅に下回りました。失業率は4.2%に低下しましたが、労働参加率の低下が寄与したとみられ、労働市場の弱さが示唆されました。平均時給は上昇したものの、実質賃金の改善には至っていません。全体として、景気や労働市場の急激な悪化を示すほどではないと評価されています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

米国の雇用統計は、労働市場の伸びの鈍化と実質賃金の停滞を示しており、米国市場に事業展開する企業や、米国経済動向を注視する金融・製造・小売業などの企業に影響を与える可能性があります。特に、消費者の購買力低下は、製品・サービスの需要に影響を及ぼすため、マーケティング部門や経営戦略部門は動向を注視する必要があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 広報 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
発表日 2026-07-14
分類 経済・産業トレンド
地域 米国

発表された内容

2026年07月14日

添付資料(221 KB)

米国労働省労働統計局(BLS)は7月2日、6月の雇用統計を発表した。非農業部門の新規雇用者数は前月と比べて5万7,000人増加した。セントルイス連邦準備銀行が試算する新規雇用者数のブレーク・イーブン・ポイント(注1)である1万5,000~8万7,000人の範囲内に収まる結果となったが、ダウジョーンズによる市場予想(11万5,000人増)を大幅に下回った(「CNBC」、7月2日)。ここ数カ月、非農業部門の新規雇用者数は堅調な伸びを維持していたが(2026年5月11日記事参照)、伸びの鈍化を示す内容となった(注2)。

家計調査(注3)の結果をみると、失業率(4.2%、前月から0.1ポイント低下)は前月からわずかに低下したが、労働参加率の低下が失業率押し下げに寄与したとみられる(添付資料表1、図1参照)。労働参加率は61.5%と前月から0.3ポイント低下し、過去5年で最低の水準となった。また、失業者数は21万3,000人減少した一方、就業者数は前月比50万7,000人減少した。労働市場から退出する人が増えたことで失業率が押し下げられた格好であり、失業率の低下が必ずしも雇用環境の改善を示すものではない点に留意が必要だ。総じてみれば、6月の家計調査は引き続き労働市場の弱さをうかがわせる内容となった。

新規雇用者数の内訳では、前月比で政府部門が8,000人増、民間部門が4万9,000人増だった。民間部門を業種別にみると、教育・医療業(6万9,000人増)、対事業所サービス業(3万6,000人増)、建設業(1万人増)、などが増加を牽引した。一方、娯楽・接客業(6万1,000人減)および情報業(9,000人減)は減少した。娯楽・接客業については、2026FIFAワールドカップ開催に伴う需要拡大が見込まれるとみる報道もあったが、政治情勢や移民政策強化(2026年6月15日記事参照)の影響による観光需要の鈍化が雇用の重荷となっている可能性がある(添付資料表2、図2参照)。

前年同月比でみると、教育・医療業(64万8,000人増)、娯楽・接客業(11万4,000人増)が増加し、政府部門(25万8,000人減)および金融業(10万人減)は減少となった。

賃金に関しても、依然として力強さを欠く状況にある。平均時給は37.64ドルで前月比0.3%増、前年同月比3.5%増(添付資料表1)となったが、上昇率は5月の消費者物価指数(CPI)上昇率(前年同月比4.2%、BLS)を下回っており、実質賃金の改善には至っていない。このため、中間選挙を控える中、アフォーダビリティー(購入しやすい価格かどうか)を巡る懸念は引き続き重要な課題となっている。

今回の雇用・賃金関連指標は総じて力強さを欠く内容であったものの、景気や労働市場の急激な悪化を示すほどではなく、政策対応を迫るような内容ではなかった。連邦準備制度理事会(FRB)は6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、当面、インフレ抑制を優先する姿勢を維持すると述べている(2026年6月18日記事参照)。

(注1)失業率が上昇しないために必要と考えられる新規雇用者数を指す。バイデン前政権下の緩和的な移民政策のもとで外国人労働力が大きく増加した2023年のブレーク・イーブン・ポイントは約16万人だったが、第2次トランプ政権下では外国人労働力を中心に労働供給が大幅に減少した結果、数値は大きく低下している。
(注2)4月の非農業部門の新規雇用者数は、17万9,000人増から14万8,000人増へ3万1,000人下方修正され、5月の数値も17万2,000人増から12万9,000人増へ4万3,000人下方修正されている。(注3)雇用統計は失業率などを含む家計調査と、非農業部門新規雇用者数や平均賃金などを含む事業所調査の2種類の統計から成り立っている。

(大垣ジャスミン)

(米国)

ビジネス短信 72373603a52dc141

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6月の米雇用統計、新規雇用者数は市場予想を下回る

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/72373603a52dc141.html

時系列

主な数値

非農業部門新規雇用者数(2026年6月、前月比) 57000人増
市場予想(ダウジョーンズ) 115000人増
失業率(2026年6月) 4.2%
労働参加率(2026年6月) 61.5%
失業者数(2026年6月、前月比) 213000人減少
就業者数(2026年6月、前月比) 507000人減少
平均時給(2026年6月) 37.64ドル
消費者物価指数(CPI)上昇率(2026年5月、前年同月比) 4.2%
4月の非農業部門新規雇用者数下方修正幅 31000人
5月の非農業部門新規雇用者数下方修正幅 43000人

この事例から確認すべきポイント

2026年6月の米雇用統計は、非農業部門の新規雇用者数が市場予想を大きく下回り、労働市場の伸びの鈍化を示唆する結果となりました。失業率の低下は労働参加率の低下に起因するものであり、必ずしも雇用環境の改善を意味しない点に留意が必要です。特に娯楽・接客業や情報業での雇用減少は、政治情勢や移民政策強化といった外部要因の影響を示唆しており、特定の産業における雇用動向を注視する必要があります。また、平均時給の上昇が消費者物価指数を下回る状況は、実質賃金の改善が停滞していることを示しており、購買力への懸念が継続する可能性が高いです。企業は、今後の労働市場の動向、特に労働供給の変化や実質賃金の推移が、消費行動や人材確保に与える影響を継続的に分析し、事業戦略に反映させる必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-14

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