ブラジルの上半期貿易黒字、前年同期比40.3%増加
この発表の要点
- ブラジルの2026年上半期貿易黒字は前年同期比40.3%増の423億ドルに拡大した。
- 中国向け輸出と韓国からの輸入が大幅に増加した一方、米国向け輸出は過去最低水準に減少した。
- 電動車への輸入関税減免措置の段階的廃止を前に、乗用車の輸入が急増した。
企業・自治体への影響
ブラジルと貿易を行う企業、特に自動車、農業、鉱業、石油、電子部品関連企業は、貿易政策の変更や国際情勢によるサプライチェーンへの影響を注視する必要があります。米国からの追加関税措置は、ブラジル製品を扱う輸入業者や、ブラジル市場に製品を輸出する企業に直接的なコスト増をもたらす可能性があります。
対応すべきこと
- ブラジルとの貿易に関わる企業は、米国通商法301条に基づく追加関税措置の動向を継続的に確認する。
- 電動車関連企業は、ブラジルの輸入関税政策の変更が自社の輸出入戦略に与える影響を評価する。
- 主要輸出品目(大豆、原油、鉄鉱石、牛肉)や輸入品目(乗用車、FPSO、集積回路)を扱う企業は、国際市場価格や為替レートの変動リスクを管理する。
- 関係部門へ本発表内容を共有し、今後の事業戦略への影響を検討する。
対象部門: 経営者 法務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 発表日 | 2026-07-15 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月15日
添付資料(120 KB)
ブラジル開発商工サービス省(MDIC)は7月3日、2026年上半期(1~6月)の貿易収支(通関ベース)を発表した。輸出額(FOBベース)は前年同期比11.5%増の1,847億7,283万4,258ドル、輸入額(FOBベース)は5.1%増の1,424億1,537万4,268ドルだった(添付資料表1参照)。貿易黒字は40.3%増の423億5,745万9,990ドルだった。MDICは2026年通年の見通しについて、輸出額を3,944億ドル(前年比13.2%増)、輸入額を3,044億ドル(同8.6%増)、貿易黒字を900億ドル(同32.3%増)と予測している。
品目別の輸出額をみると、大豆(構成比15.8%)は前年同期比14.9%増加した(添付資料表2参照)。原油・粗油(構成比15.1%、28.9%増)、鉄鉱石(構成比7.3%、5.2%増)、牛肉(構成比4.9%、38.5%増)も増加した。サンパウロ大学応用経済研究所(CEPEA)は、大豆輸出の増加要因として、対レアルでのドル高を背景にした、国際需要の拡大を挙げている(7月6日付同研究所ウェブサイト)。また、インテル銀行のエコノミスト、アンドレ・バレリオ氏は現地紙「バロール」(7月5日付)の中で、原油・粗油の輸出増加について、中東情勢の悪化に伴う国際原油価格の上昇が影響したと説明している。
輸出額を国・地域別にみると(添付資料表1参照)、最大の輸出相手国である中国(構成比31.6%)向けが前年同期比21.9%増加した。一方、米国(構成比9.4%)向けは13.0%減、アルゼンチン(構成比4.0%)向けは19.4%減少した。米国向け輸出の構成比は、現行方式で統計を集計し始めた1997年以降、上半期として過去最低水準となった。ブラジル米国商工会議所(Amcham)のアブラン・ネト会頭は同所ウェブサイト(7月7日付)で、「上半期の結果は、2国間貿易が強い圧力にさらされていることを示している。通商法301条に基づく調査に伴う追加関税措置(注1)を回避するための合意の必要性があらためて浮き彫りになった。追加関税が実施されれば、ブラジルと米国の貿易はさらに深刻な影響を受ける可能性がある」と述べた。
品目別の輸入額をみると、乗用車(構成比5.5%)が前年同期比89.1%増と大きく伸びた。インテル銀行のバレリオ氏は「バロール」(7月6日付)で、その背景として電動車(注2)に対する輸入関税減免・免税措置の段階的廃止を指摘している。ブラジルでは電動車に対する輸入関税減免・免税措置が講じられていたが、2024年1月1日から2026年7月1日にかけて段階的に廃止されることが決定されている(2023年12月5日記事参照)。同氏によると、関税率の引き上げ前に、特に中国電動車メーカーが大量の車両を前倒しで輸入したことが輸入増加につながったという。
輸入額を国・地域別にみると、韓国(構成比4.2%)からの輸入額は前年同期比約2.3倍と大幅に増加した。韓国からの輸入品目では、浮体式生産貯蔵積み出し設備(FPSO)が最大で、次いで集積回路が続いた。国営石油会社ペトロブラスがサントス堆積盆地プレソルト層のブジオス鉱区に設置するFPSO「P-79」は韓国で建造され、2026年2月に同鉱区に到着しており、これが韓国からの輸入額を押し上げたとみられる。また、ロイター(6月30日付)によると、集積回路については人工知能(AI)の普及を背景に韓国製品の輸出が増加傾向にあるという。
(注1)米国通商代表部(USTR)は6月1日、ブラジルの不公正な貿易慣行に関する1974年通商法第301条に基づく調査結果を公表し、ブラジルからの輸入品に対して原則25%の追加関税を課すことが適切と提言した。米国の法定手続きに基づき、措置は7月15日までに発効すると見込まれている(2026年6月4日記事参照)。
(注2)電動車とは、バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)の総称。MDICの貿易統計(Comex Stat)によると、2026年上半期の乗用自動車輸入額のうち、PHEVが38.8%、BEVが27.0%、HEVが12.7%を占め、電動車の割合は合計78.4%となった。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、米国、中国、韓国)
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ブラジルの上半期貿易黒字、前年同期比40.3%増加
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/5f5af6a0bcd1482d.html
時系列
- 2023-12-05 電動車に対する輸入関税減免・免税措置の段階的廃止が決定
- 2024-01-01 電動車に対する輸入関税減免・免税措置の段階的廃止が開始
- 2026-02 FPSO「P-79」がブラジルのブジオス鉱区に到着
- 2026-06-01 米国通商代表部(USTR)がブラジルの不公正な貿易慣行に関する1974年通商法第301条に基づく調査結果を公表
- 2026-06-04 米国通商代表部(USTR)の調査結果に関する記事が公開
- 2026-06-30 ロイターが韓国製品の集積回路輸出増加傾向を報じる
- 2026-07-01 電動車に対する輸入関税減免・免税措置の段階的廃止が完了
- 2026-07-03 ブラジル開発商工サービス省(MDIC)が2026年上半期(1~6月)の貿易収支を発表
- 2026-07-05 インテル銀行のエコノミスト、アンドレ・バレリオ氏が現地紙「バロール」で原油・粗油の輸出増加について説明
- 2026-07-06 サンパウロ大学応用経済研究所(CEPEA)がウェブサイトで大豆輸出の増加要因を挙げる
- 2026-07-06 インテル銀行のバレリオ氏が「バロール」で乗用車輸入増加の背景を指摘
- 2026-07-07 ブラジル米国商工会議所(Amcham)のアブラン・ネト会頭がウェブサイトで米ブラジル貿易への懸念を表明
- 2026-07-15 米国通商法301条に基づく追加関税措置が発効すると見込まれる
主な数値
| 2026年上半期輸出額 | 1847億7283万4258ドル |
|---|---|
| 2026年上半期輸入額 | 1424億1537万4268ドル |
| 2026年上半期貿易黒字 | 423億5745万9990ドル |
| 2026年通年輸出額予測 | 3944億ドル |
| 2026年通年輸入額予測 | 3044億ドル |
| 2026年通年貿易黒字予測 | 900億ドル |
| 大豆輸出構成比 | 15.8% |
| 原油・粗油輸出構成比 | 15.1% |
| 鉄鉱石輸出構成比 | 7.3% |
| 牛肉輸出構成比 | 4.9% |
| 中国向け輸出構成比 | 31.6% |
| 米国向け輸出構成比 | 9.4% |
| アルゼンチン向け輸出構成比 | 4.0% |
| 乗用車輸入構成比 | 5.5% |
| 韓国からの輸入構成比 | 4.2% |
| 電動車輸入割合(乗用車輸入額に占める) | 78.4% |
この事例から確認すべきポイント
ブラジルの2026年上半期貿易収支は、輸出入ともに増加し、貿易黒字が大幅に拡大したことを示している。これは、大豆や原油といった主要輸出品目の国際需要拡大や価格上昇、対レアルでのドル高が背景にある。特に中国向け輸出の好調が全体の輸出を牽引している。一方で、米国向け輸出の減少や、通商法301条に基づく追加関税措置の可能性は、今後の貿易関係に不透明感をもたらす。輸入面では、電動車に対する関税減免措置の段階的廃止を前にした駆け込み輸入が乗用車輸入を急増させ、韓国からのFPSOやAI関連集積回路の輸入も全体の輸入額を押し上げた。これらの動向は、国際商品市況、為替レート、各国の貿易政策、そして特定の産業政策が複合的にブラジルの貿易構造に影響を与えていることを示唆している。企業は、これらの要因を継続的にモニタリングし、サプライチェーンや市場戦略への影響を評価する必要がある。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-15
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