ホルムズ海峡通航増を受け米EIAが石油生産増と油価低下予測発表、一方で船舶攻撃再発
この発表の要点
- 米EIAはホルムズ海峡通航増を受け、世界の石油生産増と原油価格低下を予測した。
- EIA予測後、米国とイラン間の攻撃が再開し、国連がエネルギー供給への懸念を表明した。
- UNECEは攻撃再開により、湾岸諸国依存国の危機継続、価格高止まり、供給混乱の可能性を指摘している。
企業・自治体への影響
エネルギー多消費産業、物流・海運業、およびサプライチェーンに石油製品や関連資源を含む企業は、中東情勢の変動による原油価格の再上昇や供給途絶のリスクに直面する可能性があります。自治体においては、エネルギー調達コストの増加や、住民への安定供給確保に向けた対策の見直しが求められる可能性があります。
対応すべきこと
- 中東情勢および国際エネルギー市場の最新動向を継続的に情報収集する。
- 自社のサプライチェーンにおけるエネルギー調達リスクを再評価し、代替供給源や備蓄の可能性を検討する。
- エネルギー効率化対策の推進や再生可能エネルギーへの投資について、中長期的な視点で検討を開始する。
- 関係部門(経営層、調達、生産、経理など)と情報を共有し、事業継続計画への影響を協議する。
対象部門: 経営者 総務 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ(日本貿易振興機構) |
|---|---|
| 業界 | エネルギー |
| 発表日 | 2026-07-10 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月10日
米国エネルギー情報局(EIA)は7月7日付プレスリリースを発表し、世界の石油生産予測を上方修正し、原油価格も低下すると見通しを示した。同発表によると、米国とイランが覚書に署名(2026年6月19日記事参照)し、ホルムズ海峡の通航が増加したことを受け、世界の原油生産量と貿易量が年末までに軍事衝突前の水準近くに回復し、停止した生産施設の多くが2027年第1四半期までに操業再開するとの予測だ。
同プレスリリースによると、6月のブレント原油のスポット価格平均は1バレル当たり85ドルで前月から22ドル安となった。また、EIAは2026年のブレント原油価格平均は1バレル当たり82ドルとし、前月時点予測から13ドル低下との見通しだ。2027年は1バレル当たり65ドルと予測している。
一方、EIAがこれらの見通しを予測したのは2026年7月1日時点となっており、それ以降に再びイランと米国の攻撃の応酬が発生している。
攻撃再開、国連がエネルギー供給懸念を表明
国連の7月8日付発表によると、アントニオ・グテーレス事務総長は、米国とイラン間の攻撃再開について言及し、攻撃の応酬は憂慮すべき事態であり、停戦枠組みの外交的な進展を頓挫させる懸念があると述べた。
さらに、国連欧州経済委員会(UNECE)は、攻撃の再開が湾岸諸国の資源に依存する国々の危機を継続させるほか、今後数カ月間は価格が高止まりと資源供給の混乱が続く可能性があるとの予測を示した。加えて、中東情勢が急速に正常化したとしても、2026年は供給混乱の影響は残る可能性があるとした。UNECEは、エルニーニョ現象が引き起した猛暑により、冷房電力の消費量増加やインフラへの影響を懸念するとともに、エネルギー効率化対策・節約、石油備蓄増加の必要性を強調した。また、多くの国で長期的に国内でのエネルギー生産・配電能力や再生可能エネルギーへの投資に対する関心が高まったとした。
なお、英国海事機関(UKMTO)は7月7日付通告において、ホルムズ海峡における船舶への攻撃発生とそれに伴う注意喚起を発信した。一方、IMFと英国のオックスフォード大学が共同で開発した船舶自動認識装置(AIS)情報を基に船舶データを提供する「ポートウオッチ」によると、6月29日から7月5日までの1週間におけるホルムズ海峡における通航隻数(1日当たり)の平均は32隻で、6月の1日当たりの平均15.3隻からは増加していた。
中東情勢の最新動向は「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、物流動向は「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」を参照。
(井澤壌士)
(中東、イラン、米国、世界)
ビジネス短信 e7703d06a062d7c4
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ホルムズ海峡通航増を受け米EIAが石油生産増と油価低下予測発表、一方で船舶攻撃再発
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/e7703d06a062d7c4.html
時系列
- 2026-06-19 米国とイランが覚書に署名
- 2026-06-29 ホルムズ海峡における通航隻数(1日当たり)の平均が32隻に増加(7月5日まで)
- 2026-07-01 EIAが石油生産増と油価低下の見通しを予測した時点
- 2026-07-07 米国エネルギー情報局(EIA)がプレスリリースを発表
- 2026-07-07 英国海事機関(UKMTO)がホルムズ海峡における船舶への攻撃発生と注意喚起を通告
- 2026-07-08 国連が米国とイラン間の攻撃再開について発表
主な数値
| 6月のブレント原油スポット価格平均 | 85ドル/バレル |
|---|---|
| 2026年のブレント原油価格平均予測 | 82ドル/バレル |
| 2027年のブレント原油価格予測 | 65ドル/バレル |
| 6月29日〜7月5日のホルムズ海峡通航隻数平均 | 32隻/日 |
| 6月のホルムズ海峡通航隻数平均 | 15.3隻/日 |
この事例から確認すべきポイント
米国エネルギー情報局(EIA)はホルムズ海峡の通航増加を受け、世界の石油生産量と貿易量の回復、原油価格の低下を予測しましたが、この見通しが発表された直後に米国とイラン間の攻撃が再開し、中東情勢の不確実性が再び高まっています。国連やUNECEは、この攻撃再開がエネルギー供給の混乱や価格高止まりを招く可能性を指摘しており、企業のサプライチェーンやエネルギー調達戦略に影響を及ぼす懸念があります。特に、湾岸諸国の資源に依存する企業や、エネルギー多消費型の産業においては、地政学リスクの再燃による燃料価格の変動や供給途絶のリスクを再評価し、エネルギー効率化対策や代替調達先の検討など、事業継続計画の見直しが求められます。また、エルニーニョ現象による猛暑が冷房電力消費を増加させる可能性も指摘されており、エネルギー需要と供給のバランスに対する多角的な視点でのリスク管理が重要となります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-10
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