経済・産業トレンド

ジェトロ、米・EU向け越境ECの物流に関するウェビナーを開催

ジェトロは、米国・EU向け越境ECの物流に関するウェビナーを開催しました。本ウェビナーでは、ECMSジャパン代表取締役の小松英樹氏が登壇し、越境ECの商流概要、米国・欧州の最新物流動向について解説。米国CPSCによる輸入者向け電子申告義務化(7月8日適用)や、EUの150ユーロ未満小包への関税課税(7月1日適用)など、新たな規制への対応が企業に求められることが示唆されました。約280人が参加し、越境ECが価格競争から価値競争へ移行するとの見解が示されました。

この発表の要点

企業・自治体への影響

越境ECで米国・EU市場へ展開する日本企業は、物流、通関、税務、製品情報管理の各部門において、新たな規制への対応が急務となる。特に、DDP配送方式への移行や電子申告義務化、少額小包への関税課税は、コスト構造や顧客満足度、サプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性がある。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 情シス 広報 経理

対応期限:施行日まで

基本データ

企業・団体 ジェトロ
業界 Eコマース・物流・国際貿易
発表日 2026-07-08
分類 経済・産業トレンド
地域 日本

発表された内容

2026年07月08日

ジェトロは7月3日、「越境ECセミナーシリーズ(市場調査編)第2回」と題して、越境EC(電子商取引)商流の概要と米国・欧州物流の最新動向に関するウェビナーを開催した。講師として、ECMSジャパン代表取締役の小松英樹氏が登壇し、日本企業を中心におよそ280人が参加した。

物流や通関対応は、越境EC販売事業者にとって重要度の高い課題だ。ジェトロが実施するJAPAN STOREプログラムの参加者に対するアンケートで、米国・英国アマゾン(Amazon)販売に取り組む事業者に自社の課題を聞いたところ、52%が「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク​」と回答した。

小松氏は、越境ECの関税支払いについては関税込み持ち込み渡し(DDP、注1)と仕向け地持ち込し渡し(DAP、注2)の2つの形式があるものの、DAPは輸入税が代金引き換えとなり、顧客満足度に影響を及ぼすほか、荷物の受け取り拒否につながる可能性があることを指摘した。近年はイーベイ(eBay)やウォルマート・マーケットプレイス(Walmart Marketplace)といったECモールにおいて、DDPで配送することが指定されており、対応を迫られる企業も多い(2025年10月9日記事参照)。

米国の物流最新動向については、米国消費者製品安全委員会(CPSC)の最終規則(16 CFR Part 1110)として、7月8日から適用される輸入者による米国税関・国境警備局(CBP)への電子申告(eFiling)の義務化について言及した。また、米国の非課税基準額(デミニミス)ルール廃止の影響に関して、「関税額を商品価額に上乗せしても、価値の高い商品の需要減退は感じなかった」とする企業の声が複数あったことから、越境ECは価格競争ではなく、価値競争の時代に移行することを示唆した(2025年10月27日記事参照)。

EUの物流最新動向としては、EUに輸入される150ユーロ未満の小包(少額小包)に対し、7月1日から対象品目ごとに3ユーロの関税が課せられる変更について説明した(2025年12月17日記事参照)。製造者が主体となってストック・キーピング・ユニット(SKU、注3)・型番・標準バーコードなどの製品識別情報や原産国情報の提供を行う必要があり、申告の正確性が求められると述べた。

小松氏は、これらの制度変更は、中国系ECを中心とした越境ECおよび消費者直送型出荷の増加により、越境ECが個人消費から大規模な流通チャンネルに拡大し、低価格商品や安全基準を満たさない商品が増加したことが背景にあると説明した。少額・少数ゆえに特例が存在した越境EC輸入が、今後、規制・安全試験・税負担における一般貿易との不均衡是正のため、一般貿易と同様の輸出入制度が適用される傾向に注視が必要だ。

セミナー後に実施したアンケートで、今後1年で取り組みたいことを聞いたところ、42%の回答者が「輸出のための準備(輸入規制対応、配送業者選定、税務対応など)」と回答した。本セミナーに参加した事業者からは、「目先の対応だけでなく、変化の激しい状況で今後を見据えた準備の視点を得られた」といった声が寄せられた。

本ウェビナーのアーカイブは、ジェトロウェブサイト(ウェビナー/WEBセミナー)において公開されている。

(注1)関税・税金がセラー負担となる配送方式。
(注2)関税・税金がバイヤーに請求される配送方式。
(注3)受発注や在庫管理を行う際の最小の管理単位。
(清野華蓮)

(日本、米国、EU)

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ジェトロ、米・EU向け越境ECの物流に関するウェビナーを開催

ジェトロ公式SNSアカウント

出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/158bc551c2a1bcee.html

時系列

主な数値

ウェビナー参加者数 280人
JAPAN STOREプログラム参加者アンケート回答率(物流・通関・関税・返品リスク) 52%
EU少額小包関税対象額 150ユーロ
EU少額小包関税額 3ユーロ
セミナー後アンケート回答率(今後1年で取り組みたいこと:輸出準備) 42%

この事例から確認すべきポイント

本ウェビナーは、米国およびEU市場への越境EC展開を検討・実施する企業にとって、物流・通関・税務に関する最新の規制動向と実務上の課題を深く理解する機会を提供しました。特に、米国CPSCによる電子申告義務化やEUの少額小包への関税課税は、越境ECのコスト構造、配送プロセス、顧客満足度に直接的な影響を及ぼすため、迅速な対応が求められます。DDP(関税込み持ち込み渡し)方式の普及は、販売事業者が関税・税金負担を負うことで、顧客体験の向上と荷物受け取り拒否リスクの低減に繋がる一方で、企業側の税務・物流管理の複雑性を増すことを示唆しています。越境ECが「価格競争」から「価値競争」へと移行するとの指摘は、単なる低価格戦略だけでなく、コンプライアンス遵守、正確な製品情報提供、効率的なサプライチェーン構築が競争優位性を確立する上で不可欠であることを強調しています。企業はこれらの変化を経営戦略に組み込み、リスク管理と機会創出の両面から越境EC事業を見直す必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-08

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